パ・リーグの問題は持ち家サラリーマンの問題と同じだ

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日本地図とビジネスマン

光文社ペーパーブックスが本屋で人気のようだ。

私が読んだ中ではベンジャミン・フルフォード(Benjamin Fulford)の著書や、成績主義を形だけ真似て導入したあげく大失敗に終った富士通の内幕を書いた「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」が印象に残っている。

それを最近になって私の同僚に貸したところ、今度は逆に「地価「最終」暴落」という本を貸してもらった。

その借りた本を何気なく読んでみるとゾッとするようなことが書いてある。

ただ投資関係の本でもそうだが、俗に言われる「危機煽り本」の類のことがあるので、そういう懸念を抱きながら読み進めてみた。
要旨は「少子高齢化」と「年金危機」が「不動産の暴落」を招く、というものだ。

つまり、少子化によってただでさえ将来の住宅需要は減るのに加え、そのときの高齢者が年金を満足にもらえない状況になれば、最後は持家を売って換金しようとする。

そうなればますます需給バランスが供給過多になり、当然のごとく不動産価格は暴落する、というものだ。
住宅ローンの金利負担に耐えかねて持家の売却によってバランスシートの均衡をはかろうとしてもそれは叶わないと・・・

また、住宅ローンを必死になって払い終えたとしても生活資金の融資を受けないといけなくなるような状況にあれば、自宅を担保に「リバースモゲージ」という制度を利用することを考えるわけだが、それが理論上使えても本当に利用できるかどうかは、そのときの不動産市況に大きな影響を受けるので同じことが言える。

住宅ローンを組んで一戸建てを買った人の中には、『いざ(ローンが払えなくなれば)となれば「売れ」ばいい、いくらなんでも今の半値以下にはならんだろう、今がバブル期と比べれば暴落の状態なんだから』と思っている人もいるだろう。

でも近鉄に買収を持ちかけたときのライブドアの堀江社長の言い値を見たらいい。
近鉄の山口社長が「バカにするな」と憤激した値段を・・・

売り方の言い値の約7分の1から20分の1なのだ。
それに憤激した山口社長は「あんな奴に売るくらいならテコでも動かない」となったのに違いない。

要は近鉄の山口社長は、2002年に横浜ベイスターズの親球団が変わったときや、阪急がオリックスになったときのことを念頭に入れた発言だったのだが、ライブドアの堀江社長は「アホか!そんなに出せるかい!」というのが本音だったに違いない。

要は資本主義下における物価は供給者(売り方)でなく消費者(買い方)が決めるという冷酷な現実だ。

まさに持家サラリーマンの運命をも暗示しているのではないだろうか。
何が?って聞きたいだろう。
例えてみれば近鉄の山口社長は貴方がた夫婦、ライブドアの堀江社長は不動産会社のセールスマンだ。

おそらく西武は何が何でも今年中に決着をつけようとするだろう。
もしかしたら西武の身売りが首尾よくいけば次はダイエーだ。
雪崩を打ったように売却騒ぎが持ち上がるだろう。

こうなれば後から売却を持ちかける球団は買い叩かれ、もしかしたら売る気も萎えるほどの価格提示があるかもしれない。
それに今年は買収や新規参入に3社も手を上げたIT企業が来年は全く上げないかもしれない。

私は終身雇用制の崩壊が明らかになった21世紀になってから持家をした人に対して「おめでとう」を言う気は全くない。
それは偽善だからだ。
ただ一言、「幸運を祈る。いつまでも家族円満であるように」というだけだ。

もし、これから貴方が住宅ローンを組んで持家をしようというなら一つ聞きたい。
監理ポスト(上場廃止の可能性がある)入りした西武鉄道(9024)や日本テレビ(9404)の株を多額の借金してまで買う気があるかと・・・

もちろん、足利銀行のときのようにこうしたボロ株でも投機目的で買う奴はいる。
でも多額の借金をしてまで買っただろうか?
おそらく余剰資金で遊んだだけだろう。
今、業者がさかんに売り込んでくる物件など半分以上がこういうものだ。

もちろん、こんなこと言ってる私の家にも不動産会社から電話がバンバンあるし、職場にもある。

ある業者は何度断ってもかけてくるだけでなく、「貯金と思ってローンを払えばいい」と抜かした。
私は冷酷に「貯金は自分で額を上下させられるが、お宅の提携している金融機関やローン会社は債務者の好きな額だけ返せばいいのか?じゃあ返済をやめてもペナルティはないんだな。だって貯金と同じだろ?貯金をやめても罰則はないだろ。」と言い放った。

こんな愚かなセールスマンを使ってまで売ってくるとは、世も末、「売れ残ったババ」を引かせたいとしか思えないのだ。

一般のセールスマンは「家賃を払ってるつもりでローンを払えば・・・」というトークだが、「ローンを70歳完済?この国は70歳になるまで職があるのか?年金不安とか言ってるのは嘘なのか?俺の頭と耳が悪いから理解できないのか?今は老人がアパートが借りずらいが、少子高齢化ということは多くのキャッシュを持った人に土下座して入居してください、と言ってくる時代が来るということではないのか?」と反論する。

もしかしたら老人云々のことについては、私が言うようにはならないかもしれないが、その可能性は低いと思っている。
当然ながらキャッシュも家もない老人になってしまったら最悪の悲劇が待つことは確かだ。

しかし、ローンの返済で頭がいっぱいになった場合の欠点は投資のトレーニングが時間的にも金銭的にも全くできなくなるということだ。「今日の一言(2004.6.27)-気がつけばローン地獄 金利1%落とし穴

これからの時代、どっちが自分たちにとっていいプランか考えてやらないといけないだろう。
人(政府や会社)任せにできる時代は終っているのだ。

これを住宅ローン減税が廃止になるとか、縮小されるとかいうニュースに浮き足だっているとババを引くことになる。
住宅ローンの年末残高に対する所得税額控除の上限が下がると言っても、ほとんどのサラリーマンには払いきれない額での世界だろう。

上限が5000万円が4000万円になったところで困る人間がどの程度いるのか?
私なら1000万円以上のローンは組まない。

つまり、私が1年前の今日の一言(2003.10.31)で言ったように

  • 即金で買えるだけのキャッシュを持っていること
  • ローンを組む場合はどんなに長くとも10年以内に返済が終わること
    当然ながらこれは自分たちのレジャー資金や家族団らんを犠牲にしないで実行できること

のいずれかが持家投資の絶対の条件だ。

かつ、そのことによって家族が幸せを感じることができることは常識以前の問題だ。
当然に、買った当初からローンの資金繰りで夫婦が頭を悩ます、なんていうことは論外というのは言うまでもない。

そうでなければ、あなたの人生は後悔してもし切れないものになるだろう。

私は近い将来、早ければ5年以内に、1980年代後半にボロ会社に貸し込んだ不良債権問題にようやく多額の税金で蓋をしてもらった銀行が、今度は個人に対する住宅ローン債権が不良債権化して大問題になると思っている。

これを見ている貴方がその一方の当事者にならないことを祈っている。

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西武球団売却打診:不祥事コクド、赤字限界 (2004.11.7 毎日新聞)

今年の「日本一」球団までもが、”身売り”の危機に直面した。
西武鉄道グループの中核企業「コクド」(東京都渋谷区)が、子会社のプロ野球球団「西武ライオンズ」を売却する方針を固めた。

有価証券報告書虚偽記載から始まった一連の問題は、西武鉄道グループに抜本的なリストラを迫る事態に発展した。
オリックスと合併する近鉄、親会社が産業再生機構への支援要請を決めたダイエーに続く球界激変の動き。
楽天の新規参入決定で一段落したばかりの球界再編問題も、改めて再燃しかねない状況だ。【吉田慎一、町田明久、湯浅聡】

■鉄道株急落追い打ち

コクドが西武ライオンズの売却に動いたのは、主力のレジャー産業の不振に加え、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載問題の影響が大きい。

所有する西武鉄道株の株価急落など資産の含み益が大幅に劣化し、球団の売却益で財務基盤を強化する必要に迫られたからだ。
「私としては(球団を)持ち続けてほしい」という堤義明・前コクド会長の言葉に応えられないほど、コクドの財務は火の車になっている。

同社は、堤前会長の父で元衆院議長の堤康次郎氏が1920年に設立した箱根土地が前身で、現在はプリンスホテルや西武グループのゴルフ場、スキー場、レジャー施設などの多くを保有。
西武ライオンズやプリンスホテルを完全子会社として持つ。

コクド自体は株式を上場しておらず、有価証券報告書も提出していない。
資本金は1億500万円と、保有資産(2004年3月期で3830億円)に比べて極端に少ない。
株主構成は非公表だが、堤前会長が4割程度を出資しているとみられ、堤氏がグループを間接統治するための存在といえる。

1995年3月期までは本業のもうけを示す営業損益は黒字だった。
もうけは土地や新たな施設建設に回し、さらに膨大な資産の含み益を背景に資金を借り入れて、資産を増やしてきた。
投資で利益を圧縮し、納税額を少なくする戦略でもあった。

しかし、バブル崩壊後、主力のレジャー事業が低迷。
1996年3月期以降は営業赤字になり、本業でもうけられない体質になった。

資本が極端に少なく、赤字がかさむと債務超過に陥る懸念があるため、資産をグループ内に売却して営業外利益を計上、最終(当期)利益で黒字を保つ戦略に変えた。
しかし今後、資産の含み損計上を義務付けられる減損会計に移った場合を考えると、その手法も限界に達しつつあった。

追い打ちをかけたのが、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載問題だ。
コクドと子会社のプリンスホテルが保有する西武鉄道株約2億株の時価総額は今年3月末は3020億円だったが、問題発覚で株価が急落し、今月5日段階で906億円に減った。
今後は、西武鉄道株の買い戻しを求めている企業に対応するための資金も必要になる。

コクドは箱根仙石原プリンスホテルを先月末、初めてグループ外の日産自動車(7201)に売却(日産は経営幹部養成のための研修用施設として来春より利用予定)するなど保有資産のリストラに着手した。
事業の見直しに聖域はなくなり、球団も売り出すしかなくなった。

■提示額200億円 ライブドア断る

ライブドアの広報担当者は6日、西武側の提示額が200億円だったことを明かした。
「高すぎる」と断ったが、提示額が下がれば柔軟に検討する意向という。

プロ野球球団は非上場で財務状況を公表しておらず、過去の球団売却例も少ないため、「相場」の判断は難しい。
ライブドアが近鉄に買収をもちかけた際は10億~30億円の提示だったという。

最近では2002年3月に横浜ベイスターズの親会社がマルハ(1333)から東京放送(9401)に変わったが、TBSグループは球団の株130万株のうち70万株を140億円で購入したとされる。
1株2万円となり、球団価値は計260億円の計算になる。

西武の今季観客動員数はパ・リーグ2位の165万人だが、ダイエーの307万人の半分程度。
巨人戦主催ゲームの放映権収入が見込めるセ・リーグと違い、毎年20億~30億円程度の赤字とされる西武は、200億円では割高との指摘もある。

また、西武球場前駅の年間乗降客約280万人のかなりの部分を野球観戦客が占めており、鉄道事業との関係で、埼玉県所沢市の西武ドームを本拠地として継続使用することも条件とみられる。
しかし、西武ドームは都心から離れていて観客動員に難があり、売却交渉でこの条件がマイナスになる可能性もある。

■第2の合併、再浮上も

パ・リーグは6球団で年間150億円以上の赤字を出してきた。
構造的な赤字体質を支えてこられたのは、セ・リーグに比べ親会社に電鉄系企業など大企業が多かったからだ。
「広告塔」としての役割を重視し、親会社が球団の赤字を広告宣伝費で補ってきた。

しかし、バブル崩壊を経て親会社に余力がなくなり、連結決算制度の本格導入で子会社の赤字にも厳しい目が向けられるようになった。
1993年のフリーエージェント(FA)制度導入などを機に選手年俸も高騰した。

年々膨らむ赤字に、西武の堤・前オーナーは10月、「パ・リーグは破産状態。経営努力だけでは補えない」と漏らした。
楽天(4755)参入を決めた2日のオーナー会議後も、オリックスの宮内義彦オーナーは「膨大な赤字でヘトヘト」、ロッテの重光昭夫オーナー代行も「問題は解決していない。再編の動きはまだまだ続くだろう」と話していた。

ダイエー、西武が売却された場合、新規参入の楽天、合併で誕生する新オリックスも加えると、来季、パは4球団が新しい経営母体となる。
西武の売却交渉がまとまらなければ、西武を軸にした「第2の合併」構想が浮上し、1リーグ化の動きがよみがえる可能性もある。
プロ野球の将来に不透明感が増している。

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