メーデーに思う

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外国人ビジネスマン

今日がメーデーということを知っている人はどれくらいいるだろうか。多くの人はゴールデンウイークの連休ということで内外の観光地へ旅行に行ったりしていることだろう。

そもそもこのメーデーというものは「産業革命」によって大量に生まれた賃金労働者(サラリーマン)の待遇改善要求が発端である。

今、先進国の趨勢は「情報革命」によって、より少ない時間でより多くの成果を上げた者に多額の報酬を、というものになってきている。

しかし、その恩恵に預かれる者は限りなく少ない。
特に日本の場合、アメリカ型の成果主義を形だけ真似て、世の中の趨勢だと欺き、実のところ昔ながらのメンタリティを持つ幹部が居座って、部下にだけ成果を強要する「なんちゃって成果主義」のところが多い。

今、人事部門の退職者が本を出したりして、世の中に実態が知られたものとして、富士通(6702)「内側から見た富士通『成果主義』の崩壊」「楽しい職場みんなの富士通」とソニー(6758)「ソニー本社六階」がそうだったと言われている。

いずれも日本を代表するハイテク企業で意外に思う人も多いだろうが、私が見聞きした範囲でも「表向き進んでいるように見える組織ほど実態は体育会系で遅れている」というのは真理と思える。

そうでなければ、成果主義に疑問を投げかける著書がこれほど本屋に山積みにされることはないだろう。

ところがメーデーを主催する連合のサイトを見ても、そういうことを重点課題にしている形跡はないし、全労連では労働問題に対峙するより、憲法改悪(第9条改正)阻止というスローガンの方が目を引くような感じだ。

また、近頃では消費者保護の観点から社会的に認知されてきた内部告発者を守ろうという姿勢もサイトを見る限りでは感じられない。

「なんちゃって成果主義」の下では不正行為を正そうとする人はもとより、上司に意見を言うだけで、不利益を一番被る可能性があるだけに、本気で労働者を守ろうという姿勢がなければ、労働基準法も公益通報者保護法も絵に描いた餅と言えないか。

それに派遣労働者やパート労働者が近年特に増えているにもかかわらず、彼らは正社員が組織する組合とは一線を画されているようだ。もはや第二人事部と呼ばれる企業内組合がいくつ集まったところで、一般サラリーマンの支持は得られないのだ。

連合も全労連も、なぜ個人加入の労組に走る人が増えているのか考えてみた方がいいだろう。
メーデーで人集めにイベントをやるのもいいが、せめて「労働時間重視を転換」と題した労働基準改正に対して行動を起こさなければ、メーデーのスローガンが泣く、と思うのは私だけではあるまい。

重ねて言うが日本の「なんちゃって成果主義」を促進する、こうした法改正は企業のコスト減らしの方便でしかない、というのが実情だからだ。

最後に、何でそういうことを厚生労働省自らがやるのか?
役所は成果主義に関係ないからだ、というのが世間一般の見方なのだろうが、私が思うに、中央官庁では「なんちゃって成果主義」が実質的に始まっているのではないだろうか。(2004年8月2日「今日の一言」)そこで立てられた目標が「成果主義を生かすための労働政策を促進する」ということなのだろう。

役所が一度そういう目標を作ると、壁にぶつかって大破するまで何を言われようが走り続ける。それも極めて日本的ではあるがね。

「残業代ゼロ」一般社員も・厚労省方針、労働時間重視を転換 (2005.4.28 NIKKEI NET BizPlus)

厚生労働省は、休日や週40時間を超える労働に割増賃金を支払う規制について、適用除外の範囲を拡大する方針だ。
現在の除外の対象は管理職のみだが、一部のホワイトカラー社員などにも広げる。
働き方の多様化で成果を勤務時間で評価しにくくなっているため。労働時間を最重視した日本の労働政策の転換を意味しており、残業の取り扱いなど企業の賃金政策に影響を与えそうだ。
28日に有識者による研究会を設置する。労働時間を規制した労働基準法の見直しを進め、2007年の国会に改正案の提出を目指す。

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