予想されていたことだが、やはり預金保険機構には金がなかったようだ。
朝日新聞の記事は、まるで会社の組織改正によるコスト減で対処できるかのような書き方だが、論点が完全にずれているとしか言いようがない。
ことは預金保険機構が債務超過になっていることであり、不足している金をどこから調達するかということで、記事によると「預金保険料の引き上げや新しい保険制度の導入、公的資金の投入などが検討されている」らしい。
そして「景気が回復し過ぎて金利負担が増える」ことを警戒している。
それは財務省の役人も同じで、「日の丸ファインス-巨大化の果てに」という特集で、明確に「デフレが続いてくれないと困る」と言っている。
そう、金融当局の政策は「景気回復をし過ぎては困る」ということで一致しており、彼らがそういう政策を維持できなくなったとき、一気にインフレがやってきて、暴落した国債や地方債を山ほど持っている銀行のうち体力のないところは破綻する。
大混乱の末にすべての借金をチャラにできるほどインフレのもとで・・・
そして、「私は300万しか貯金がないのでペイオフなんか関係ない!」と言っていた多くの市民の預貯金も、1預金者当たり最高60万円の仮払金を除いて一時的に引き出しが凍結される。
預金保険機構に金がないのだからすぐには返還されないのは当たり前だからだ。
銀行や郵便局での怒号とケガ人、そして怒れる市民に殴り殺された公務員と銀行員、将来を悲観した老人に若干の死者が出たあと、預金は返還されるだろう。
だが、その購買力は今のUS$30,000でなくてUS$10,000になっているかもしれないがね。
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金保険機構-財務改善へ組織改正 7月 金利負担軽減目指す (2004.4.4 朝日新聞)預金保険機構は、過去の破綻金融機関の処理で巨額債務を抱え込んでいるため、財務体質の改善を目指し、今年7月に組織改正に乗り出す。
破綻時に預金を全額保護する特例措置が完全撤廃されるペイオフ解禁が来春に迫っているため、態勢を整える必要がある。
預金保険機構は、旧日本長期信用銀行(現在の新生銀行)や日本債券信用銀行(現在のあおぞら銀行)の破綻処理にかかったコストがかさみ、約4兆円の累積損失を抱えている。
穴埋めには預金保険料の引き上げや新しい保険制度の導入、公的資金の投入などが検討されているが、すんなりと結論を得るのは容易ではない。
変更は、現在2つの部に分かれている予算作成や資金調達、保険料徴収などを担当する課を財務部として統合。財務企画課を新設する。
預金保険機構は債券発行や銀行借り入れで資金調達しているが、景気回復に伴う将来の金利上昇を視野に、資金調達の仕組みなどを再検討する方針。金利負担の軽減を目指す。
一方で、ペイオフ時に必要となる預金者の名義ごとに預金を集計する「名寄せ」に備え、預金保険部に研修課を新設。地域ごとに金融機関の担当者を集めて金融機関のシステム対応を徹底させるため、集中的に研修を実施する態勢を整える。
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