昨今の政治状況を見るにつけ、2024年10月の総選挙で大躍進を果たした国民民主党の「年収の壁対策」が脚光を浴びている。
11月28日に召集された臨時国会は元より、来年の1月に召集される通常国会でも政府・与党との論戦が繰り広げられることが予想される。
国民民主党の「年収の壁対策」とは、野村総合研究所のコラムによれば、
基礎控除等を103万円から178万円に引上げることを通じて、低所得層に対する所得減税を行うとともに、所得税支払いを回避するために労働を控えてしまう「年収の壁」問題への対応を進めることを、同党の「看板政策」と位置付けている。
とある。
しかしながら、減税の恩恵を受けるのは、何も低所得者だけではなく、ほぼ全課税所得者に及ぶ。
なぜなら、特定の税控除が広がるのではなく、基礎控除を広げるからで、その分、課税される所得金額が少なくなり、場合によっては所得税の税率区分が現行よりも下位になる人も出るからだ。
それゆえに、財務省や全国知事会はこの減税策に批判的な論調を崩さないが、彼らは家計が潤うようになれば、その分、内需が拡大する可能性を頭に入れていない。
もっとも、家計が潤っても、その分を貯蓄に回す国民性を見るにつけ、国民民主党が意図するような内需拡大に繋がらない懸念もある。
それに、滞納者にかかるコストの問題がある。
公租公課の負担感が増せば、それに比例するように滞納者は増え、それが国、自治体の徴税コストの増加を招くということがあるのだが、それについて、国民民主党に批判的な財務省も全国知事会も言及しない。
平成以降、度重なる消費増税や社会保険料の負担増など、家計を圧迫する政策のオンパレードに辟易してきた国民からすれば、国民民主党が主張する政策が実現すれば、拍手喝さいを送ることだろう。
それにも増して、市井のメディアがほとんど言及していない波及効果に、国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)も軽減される可能性がある。
これらの計算式を見ればわかる通り、税と違って、基礎控除と年金控除以外にほとんど控除されるものがないため、前年に得た収入に対して、ほとんど丸々が所得金額になってしまい、思ったよりも負担感が増すという現象が生じる。
実際、75歳未満の中で現役世代は、2010年3月13日付で掲載した「法人成りは社会保険制度上でも得なのか?」とか、2020年5月24日付の「4月からサラリーマンでなくなった!どうする健康保険、年金」といったお悩みを持つことになるのだ。
一方で、75歳以上の後期高齢者は、強制的に後期高齢者医療保険の対象となるため、国民民主党の「年収の壁対策」がある程度実現すれば、その恩恵を受けることができるだろう。
実際、私の今年の国民健康保険料は「令和5年分(2023年分)確定申告終了」で株式譲渡所得を計上したこともあって、年額32万円となり、仮に私が個人事業主でなく、法人を設立していれば、代表(私)個人の給与(標準報酬)が、神奈川県の保険料額表の最低区分と仮定すると、健康保険料が6,739.6円×12=80,875.2円(事業主負担分を含む)、厚生年金保険料が同じく16,104円×12=193,248円で、合計すると274,123円で、法人設立の方がお得だったわけだ。
しかも、厚生年金保険料を払っても・・・だ。
今年は昨年の「ビッグなクリスマスプレゼント from XOM」があったために、国民健康保険料がかなり高くなってしまったのだが、来年以降は「2024年配当生活事始め」の収入が、国民健康保険料にどう反映されるかで、法人成りをするか否かを判断していこうと思う。
たぶん、今年からは特定口座の源泉徴収ありに切り替えたから、確定申告で、現年以前の株式譲渡所得との相殺等、何もしなければ、国民健康保険料には反映されないと思うが、国民民主党の提言している「年収の壁対策」の行方も気になるところだね・・・
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