社会保険庁の年金情報漏洩問題

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耳を塞ぐ女性

今日の毎日新聞で「社保庁年金情報問題:アクセス判断、職員まかせ 広がる動揺、「犯人捜し」躍起」というのが載っていた。


確かに個人情報の漏洩は重大問題だが、こんなことは「政治家の年金未納・未加入問題」以前に、3月22日に女優の江角マキコさんの国民年金保険料未納が発覚した段階で疑って然るべきものだったのだ。

そのときは江角さん本人と社会保険庁の広報担当が火の粉を浴びているだけだから俺たちは全く関係ないとばかりに頬被りを決め込んだ政治家、溺れた犬をこのときとばかりに叩いたマスコミ、しかし今度は自分らが不利になったばかりに犯人探しだ。

情報を漏らした社会保険庁の職員の行為は、国家公務員法違反に問われる行為だが、これがきっかけで政治家のペテンが暴きだされ、法案が国民にとっていい方向に修正されるなら、ノンフィクション作家の吉岡忍氏が言うように「内部告発」としての一面も認められていい行為とも言えるのだ。

例えば、今年の10月からわずか3年間とはいえ、1986年以降の未納が遡って納められるようになれば、今まで年金受給資格期間が数年不足しているだけで受給できなかった人が場合によっては有資格者になれるからだ。(実際には2005年4月から第3号被保険者の特例届出制度が創設された。厚生労働省-平成16年年金制度改正

現行法だと2年しか遡れず、周りの同年代の人たちが年金の話をし始めたときに、「俺は?私は?」と言って役所に相談しに行ったらもう時遅しというのが私の周囲でもあった話だからだ。

本当の狙いは「議員の未納・未加入問題の幕引き」とも言われてるが、特例納付の対象は、あくまで対象者全員なのだからボロクソに言われてる改正法の中では評価できる修正案だ。

こんなことさえ、今回のことがなければ、議員たちはいくら国民が要望しても「ちゃんとしなかったお前が悪い」レベルの態度をずっと取り続けたに違いない。

ただ、私が懸念しているのは、雪印食品の偽装牛肉事件を内部告発した西宮冷蔵が瑣末な法令違反(在庫証明書を改ざんによる倉庫業法違反)を問われ、会社が潰れてしまったことを挙げるまでもなく、日本のマスコミはいざというときは、ほとんど権力者に歯向かわず役に立たない。

つまり、情報ソースに用がなくなればそいつがどうなろうと知ったことではない、という態度だ。
内部告発者の勇気で膿がえぐり出されたのだから、彼らを守ることが社会正義の輪を広げていく可能性があるのでは、という視点が全くない。

たぶん今回のことも内部情報を得るときは喜々として情報ソースを利用しておきながら、犯人探しで該当者が懲戒処分を食ったら最後、平気の平左で見捨てるであろう。
だから私はこの国のマスコミは信用できないのだ。

年金制度の最大の欠陥である、「わかりにくさ」ということが政治家の口からも白日のもとにさらされたにもかかわらず、「あなた方でさえ、年金法がわかりずらいと思うなら、それを是正するのが立法府にいる政治家の仕事だ。なぜやらない?」というまっとうな切り口をするジャーナリストはほとんどいないだろう。

毎日のように流れてくるニュースも、年金問題の本質には触れず、「未納なんとか兄弟」とか言っては魔女狩り、それが翻って権力者に反撃され始めると「情報漏洩の犯人探し」、所詮、オールワイドショーメディアなのだ。

たまに新聞を電車で読もうと駅のスタンドで見出しを見ただけで、やめてしまう毎日が続く。
視聴者(読者)のレベルが低いのか、マスコミのレベルが低いのか?

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