私が5月24日付のコラム「4月からサラリーマンでなくなった!どうする健康保険、年金」と書いたように、入院中にサラリーマンでなくなった私の懸案事項の一つに、退院後の雇用保険の受給期間延長手続きのことがあった。
退院後もコロナ禍によって休眠状態とはいえ、副業としての個人事業の開業届出をしたままで、雇用保険の手続きができるか、必要書類は何かを書いてみた。
雇用保険の受給延長手続きは郵送で可能か
私は歩行に難があるので、できれば役所に出向くことなく手続きをしたいと思った。
そこで、インターネットの検索サイトで「雇用保険 受給延長 必要書類」と入れると、「東京ハローワークの求職者給付に関するQ&A」(参考:ハローワークインターネットサービス よくある質問)があり、そこにはこう書かれていた。
Q6. 病気のためにすぐに働くことができません。どのような手続きが必要ですか?
A6. 離職日の翌日から原則として、1年間である受給期間内に働くことができない状態が30日以上続いた場合は、「受給期間延長」の手続きを行うことで、働くことができない日数を受給期間に加算することができます。
とあり、受給期間延長申請書等の提出方法として、本人来所、郵送、代理(委任状が必要となります)とあった。
おお、郵送で手続きができるなら・・・と思ったが、肝心の受給期間延長申請書は、管轄のハローワークの雇用保険給付課に電話して取り寄せなければならない上、延長理由を証明する書類として何が必要かを確認しなければならなかった。
おまけに、コールセンターのオペレーターでは、詳しい案内を受けることはできず、担当職員に電話が繋がるまで延々と待つか、自分で必要と思われる書類を判断して、直接行くかのいずれかだった。
6月18日付の日経新聞には「行政手続き、オンライン完結は1割未満 経済の足かせ」という記事があったが、少なくとも私が必要としている手続きに関しては、郵送でさえ完結できるのか怪しかった。
結局、私が現地に持参した書類は
- 雇用保険被保険者離職票-2
- 手続きする日の時点で、就労不能を証する医師の診断書(1月に休職手続きするときに取った書類のコピー)
- マイナンバーカード(本人確認書類)
- 直近の(4月分の)傷病手当金支給決定通知書(これは結果的に不要だった)
これで無事に手続きを終えることができたので、病気やケガで受給期間延長申請をしようという人は参考にして欲しい。
万が一、書類に不備があったとしても、後から郵送で手続きできるだろうから、可能な限り、一旦は、現地へ行くことをお勧めする。
電話口で延々と待たされるのはストレスにしかならないし、もし、私が歩行器を使わなければ歩けない状態だったら、社会保険労務士に依頼しただろう。
関内にあるハローワーク横浜へ
梅雨の晴れ間となった6月16日、私は、思い切って関内にあるハローワーク横浜へ行くことにした。
私がここへ行こうと決意できた理由は、5月下旬のリハビリを通して、年内の本格社会復帰を目標にできたことが大きい。
しかしながら、横浜市内とはいえ、杖歩行の状態で遠出をするのは、健常者が初めて海外個人旅行をするように緊張するものだ。
私の目指すハローワーク横浜は、JR関内駅を降りて、横浜スタジアムに向かい、さらに山下町歩道橋を渡って、中華街に向かうところにある。
ちょうど正午過ぎに現地に到着して、2階の総合受付で用件を言うと、3階の16番窓口で番号札を取って待つように言われる。
おおまかな待ち時間を推定するに、1時間ほど待つような感じだったので、中華街で昼食を取ってから戻ることにした。
さすがに「三密」の中で1時間もいられるほど、私は自分の免疫力に自信が持てるレベルではなかったからだ。
四五六菜館(横浜中華街)で昼食
横浜中華街に来るのは何か月ぶりだろうか。
コロナ禍の前なら平日でも混んでいた街がガラガラだった。
外国人を始めとする観光客らしき人が全くいないのと、6月16日の段階では、県境を超えての移動が自粛されていたので、東京方面から来る人があまりいないことによるのだろう。
自分自身があまり動けないこともあって、私は、ハローワーク横浜からそれほど離れていないところで昼食を取ることにした。
ガラガラの中華街でも、ビジネスウーマン風の女性客で混んでいた四五六菜館へ入ってみる。
サービスランチの八宝菜(880円:税込)を頼んだら、ご飯とスープがお替りできるほど付いてきた。
これはお得感満載かも・・・
それと、一緒に頼んだ甕出し紹興酒、飲み過ぎて歩行中に転ぶとシャレにならないから、少しだけ飲んでみた。
これもリハビリの一環と自分に言い聞かせる。(笑)
個人事業は休眠中なら雇用保険の受給期間延長手続き可能
横浜中華街での昼食を終え、ハローワークに戻ってきてからも30分ほど待つことになった。
順番が呼ばれ、担当職員の面前で手続きをする。
最初に出された質問票には、現在仕事をしているか、あるいは、法人の役員や個人事業主となっているかなどの項目があった。
私が、副業で個人事業をやっていたが、現在は(退院後もコロナ禍のため)休眠中だと答えると、それなら雇用保険の受給期間延長手続きは可能だと言われ、あとは事務処理が粛々と進んで、「受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長通知書」という長ったらしい名前の書類を渡された。
参考までに、職員同士で確認をしている間の会話を聞いていると、個人事業は休眠中であればいいが、法人役員になっているとダメらしかった。
法人役員といっても、名前だけでも報酬が貰える人から、個人事業の法人成りの人まで様々なのだが、雇用保険の手続き上は一緒に取り扱われてしまうようだった。
また、ここで注意されたのは、雇用保険の受給期間延長がされている間は、正規雇用は元より、アルバイトやパートタイマー、個人事業の再開もできないということだった。
もし、そうするためには、医師の診断書(雇用保険受給資格に係る病状証明書)を添えて、2023年(令和5年)3月31日まで(3年間)の間に延長解除の手続きをしないといけないとのことだ。
つまり、就労不能だという診断がされることによって、雇用保険の受給期間が延長され、傷病手当金も貰えるわけだが、個人事業を再開したり、私が密かに応募を目論んでいる横浜市消費生活審議会市民委員(PDFアーカイブ)に就任するというのは、それと相反する証明書が必要になるので、当分の間はリハビリと川合式デイトレードに励む毎日になるわけだ。
副業サラリーマン虎の巻
最近では、副業が許可される会社も増えていて、サラリーマンをやりながら個人事業主を兼ねるというのも珍しいことではない。
もちろん、本業をやめても問題ないくらい稼いでいる人から、小遣い程度の稼ぎしかない人まで様々だ。
このような中で、本業のサラリーマンを辞めたとき、あるいは倒産などの憂き目に遭ったとき、雇用保険が受給できるかどうかは大きな問題だろう。
私は、雇用期間が満了になる直前で、大怪我をして入院したので、副業の法的地位まで気が回らず、退院後にいろいろ調べるハメになった。
国の社会保障関連法の方が実態に追い付いていないこともあるが、副業収入が小遣い程度と自認される方は、私の体験を参考にされるといいかもしれない。
最後になるが、5月24日付のコラム「4月からサラリーマンでなくなった!どうする健康保険、年金」の中にある「マイクロ法人(合同会社など)設立の是非」のところでも掲載した雇用保険のことを再掲するのでお読みいただければ幸いである。
雇用保険に関する業務取扱要領(令和4年10月1日以降)-一般被保険者の求職者給付(第2 受給資格の決定)-P39:50206(6)就職状態にある者から離職票が提出された場合の措置
就職状態にある者が離職票を提出した場合には、当該就職状態が継続する限り、基本手当の支給は行えない旨を説明し、離職票-2の右上部に「就職状態」と記載し、処分年月日、当該安定所名を朱書(その旨のゴム印の押印によることとしても差し支えない。)し、本人に返付する。
また、この場合将来において失業状態となったときは、その者の受給期間内であれば、再度出頭して受給資格の決定を受け基本手当を支給できること並びに特定理由離職者又は特定受給資格者に該当することで離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あることにより受給資格要件を満たしていた者がその後被保険者として15日以上雇用された後に離職し、その離職理由が特定理由離職者及び特定受給資格者に該当しない場合は受給資格要件を満たさない場合があることを説明するとともに、不服がある場合には、雇用保険審査官に対して審査請求をすることができる旨を教示する。
教示を行うにあたっては、あらかじめその旨を記載したゴム印を作成して、これによることとしても差し支えない。
この処分をなすに当たっては、その処分をなす理由等を記載した文書によって安定所長の決裁を受ける。
最後に
2018年(平成30年)1月に、厚生労働省は、モデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除し、副業・兼業について規定を新設した。(副業・兼業の促進に関するガイドライン)
つまり、国の施策としても、副業サラリーマンというのが当たり前になる時代において、雇用保険給付のあり方も変わっていくべきだと思うのだが、今のところは、本業は元より、副業も事実上やっていない状態で、初めて基本手当が支給される仕組みになっている。
そこで、副業をしているサラリーマン諸氏におかれては、副業の税金のことだけでなく、本業を失ったときのセーフティネットについても勉強する必要があると思うのだ。
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