日本のメディア記者が安全なのと報道の自由度ランキングの低迷は記者クラブが原因だ

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外国人ビジネスマン

産経新聞は、自民党支持層の間では極めて人気の高いメディアだ。

本日の第48回衆議院議員総選挙を前に、日本のメディアの間では各候補者や政党の当落予想なるものが紙面を賑わしているが、左派系メディアの反政権プロパガンダが度を越しているともっぱらの評判である。

度を越すだけならともかく、それが日本の仮想敵国とされる中国、韓国、北朝鮮を利していることが多いので、問題は根深い。
要は、左派系メディアが健全なリベラル系メディアでなく、売国メディアと評されるまでになっているために、政権プロパガンダを垂れ流す提灯メディアは世論から何のお咎めも受けない。

それどころか、提灯メディアの記事を引用したブロガーなどによって、まともな政権批判までが日本をディスってる(dis=けなしている)などと的外れな批判を受けて言論封殺の危機に陥ることもある。

実際のところ、軍事ジャーナリストの清谷信一氏が2017年6月9日付で書いた「【東京新聞名物記者】頑張れ、望月衣塑子姐さん。」などはその好例だろう。
その安倍政権の提灯メディアの代表たる産経新聞が(2017年7月20日 清谷信一公式ブログ-官房長官や大臣のご機嫌を取るのが産経新聞記者の仕事か?)、何が言いたいのかわからない社説を披露して悦に入っている。

左派系メディアの売国ぶりが際立っているために、産経新聞がまともなメディアに見えるのだが、所詮記者クラブで取材ごっこをしているだけのメディアの社説にロクなものはないと証明されたのが、10月19日付の産経抄(社説)だ。

はっきり言って、中段以下の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の「日本でリベラリズムは死んだ(The Death of Liberalism in Japan)」(10月15日付の中野晃一氏の投稿記事)のことだけなら、私もそのまま読むだけで終わったであろう。

即断はできないが、「日本を貶める日本人をあぶりだせ」と書かれているので、彼らがそういった主張を繰り広げている人物なのだろうと推定して終わりだからだ。

ところが、社説の冒頭にはマルタで爆殺されたダフネ・カルアナ・ガリチア(Daphne Caruana Galizia)氏のことについて触れている。(2017年10月17日 産経新聞-パナマ文書で実態暴いた女性記者、ダフネ・カルアナ・ガリチアさん殺害か マルタ、車爆弾で The Guardian on 16 October 2017 – Malta car bomb kills Panama Papers journalist

これが、社説の表題である「日本を貶める日本人」と何の関係もないことは明白だ。
いったい何が言いたいのかと言えば、「日本の新聞記者でよかった」と「マルタとは恐ろしい国」ということだろうか。

もし、社説の冒頭でこれを書くのであれば、少なくとも「日本を貶める日本人」とは別のところで書くべきだし、マルタが恐ろしい国などと言うなら、ジャーナリストが恒常的に殺されている国なのか調べるのはメディア記者の基本だ。

私が検索しただけでも2014年12月16日付のAFPの記事「ジャーナリストの殺害、1年で66人 襲撃方法はさらに残虐に」(Reporters Without Borders publishes 2014 round-up of violence against journalists on December 16, 2014)がヒットするのだから、この中にマルタが入っているかを調べてから書くのは当然だろう。

少なくともマルタのジャーナリスト、ダフネ・カルアナ・ガリチア(Daphne Caruana Galizia)氏は権力側の不正を糾弾する記事を書いたことが爆殺の要因になっているのに対し、記者クラブでぬくぬくとしている提灯メディアの記者はそんなことには縁遠いために安全が保障されているに過ぎない。

テロなどとは無縁と思われている日本でも、政官財の暗部に斬り込んだ民主党(現在の立憲民主党)の石井紘基衆院議員は街中で暗殺された。(故石井紘基衆議院議員が命を賭けた官僚総支配体制の打破)(2002年10月25日-毎日新聞 石井議員刺殺:誰が、いったい何の目的で 朝から不審な男の姿

この社説を書いた産経新聞の論説委員は、日本の新聞記者で良かったなどと書くことが、ジャーナリストとして恥だと思わないのだろうか。

それにも増して酷いのが、報道の自由度ランキング(Press Freedom Index)に対する記事で、 「日本に対する強い偏見がうかがえる。一部の日本人による日本の評判を落とすための活動が、さらにそれを助長する。」などと、まるで2ちゃんねるのスレッドでも見ているかのような与太記事だ。

およそジャーナリストの分析とは思えない。
産経新聞の論説委員は、これを英訳して国境なき記者団(Reporters Without Borders)に送ったらいかがなのか。

それにしても毎度思うのだが、産経新聞は左派系メディアが外国で云々と非難するなら、自分たちも英文記事を出して日本を守るために戦おうという気概はないのだろうか。

それとも外国語ができる人は産経新聞には就職しない(できない)のだろうか。
話を元に戻すが、日本の報道の自由度ランキングが低いのは、記者クラブ制度が最たる原因だ。

記者クラブのメンバーでない外国メディア、日本の雑誌社やフリーランスの記者を締め出し、まともな質疑応答さえない学級会のような記者会見、さもなければメディアが加害者と決めつけた相手方の吊るし上げ集会などをやっている記者たちに、外国人記者がNOを突き付けるのは当たり前で、私の知る限り、15年前からこの問題は提起されている。(The Guardian on 29 November 2002 – EU acts to free Japanese media)

従って、これだけは民主党政権時代の方がマシと評価されていて(2010年3月19日-原口総務相のメディア改革は成功するのか)、自民党政権下における強固な記者クラブ制度は独裁国並みという見方をされているのは当然だ。

それを 「日本に対する強い偏見がうかがえる。一部の日本人による日本の評判を落とすための活動が、さらにそれを助長する。」などと論説するのはお門違い、まずは世界にほとんど類を見ない記者クラブ制度を廃止してから言うべきことだろう。

最後になるが、今日は第48回衆議院議員総選挙だ。
台風が日本に接近しているため、投票率が史上最低となってもおかしくないが、野党がだらしないので、大方の予想通り、与党が無難な勝利を収めるだろう。

何と言っても北朝鮮危機下において、まともな国防政策を打ち出せない野党の自滅は大きい。
自民党の公約に憲法改正が入っているので、改憲勢力が3分の2以上を占めた場合、議論のたたき台は自民党の憲法改正草案になるだろう。

当然ながら、これが国民にとって最善のものになるかどうかは、きちんとした情報公開がなされ、政府に対して疑問点があれば質せる気概を持った野党議員とメディア記者の存在が不可欠だ。

そのような中で、メディアのカルテルたる記者クラブや、提灯メディアの御用聞き、仮想敵国の代弁者のようなメディア記者は、国民にとって百害あって一利なしの存在でしかないのだ。

日本を貶める日本人をあぶりだせ(2017年10月19日 産経抄

日本の新聞記者でよかった、と思わずにはいられない。地中海の島国マルタで、地元の女性記者が殺害された。車に爆弾を仕掛けるという残虐な犯行である。彼女は「タックスヘイブン」(租税回避地)をめぐる「パナマ文書」の報道に携わり、政治家の不正資金疑惑を追及していた。マルタとはどれほど恐ろしい国か。

▼今年4月に発表された「報道の自由度ランキング」では47位、なんと72位の日本よりはるかに上位だった。ランキングを作ったのは、パリに本部を置く国際ジャーナリスト組織である。日本に対する強い偏見がうかがえる。一部の日本人による日本の評判を落とすための活動が、さらにそれを助長する。

▼米紙ニューヨーク・タイムズに先日、「日本でリベラリズムは死んだ」と題する記事が載っていた。日本の大学教授の寄稿である。安倍晋三首相の衆院解散から現在の選挙状況までを解説していた。といっても、随所に左派文化人らしい偏った主張がみられる。

▼憲法をないがしろにして軍事力の強化を図る首相の姿勢は、有権者の支持を得ていない。最大野党の分裂のおかげで自民党が勝利するものの、政治はますます民意から離れていく、というのだ。米国人の読者が抱く日本のイメージは、民主主義が後退する国であろう。

▼特定の政治的主張だけを取り上げる、国連教育科学文化機関(ユネスコ)には、困ったものだ。いよいよ問題だらけの慰安婦関連資料の登録の可能性が強まっている。田北真樹子記者は昨日、登録されたら脱退して組織の抜本改革を突きつけろ、と書いていた。

▼そもそも国連を舞台に、実態からかけ離れた慰安婦像を世界にばらまいたのは、日本人活動家だった。何ということをしてくれたのか。

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