仮想通貨(cryptocurrency)の譲渡益に対する税金はどの時点でかかるのか

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国税庁は仮想通貨(cryptocurrency)の損益に対する課税について、タックスアンサー「No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」で、「ビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。」との見解を示した。

このことで、2017年9月12日付の日経新聞が報じたほか、CNET Japanが「ビットコインは『雑所得』と国税庁-税理士と取引所の見解は(2017年9月8日)」、マネーの達人が「【仮想通貨の利益は雑所得】 課税が発生する3つのタイミングを説明します。(2017年9月11日)」という記事を掲載するなど、仮想通貨(cryptocurrency)の損益に対する課税関係の記事がインターネット上を賑わせている。

ただ、仮想通貨の損益に対する課税区分が雑所得ということに落ち着いたものの、その損益確定はどの時点ですればいいのかなどの詳細は決まっていない。

おそらく、来年の確定申告に合わせて国税庁が急ピッチで作業をするのだろうが、現時点では、株式譲渡所得のように年間取引報告書が仮想通貨取引所から発行されるわけではなく、それにも増して、毎日の仮想通貨の交換レートが証明できるような仕組みにはなっていないので、日本円などの法定通貨から仮想通貨に交換した日と、逆に仮想通貨を売却して日本円などの法定通貨に戻した日の価格差を申告する以外にない。

将来的には、仮想通貨取引所に対して、税務申告用の帳票を備えるように、法改正を行うことは十分に考えられるが、おそらく来年の確定申告は、現在の海外口座における株式譲渡所得と同じように自己申告となるだろう。

問題は、現時点で仮想通貨を売買している人が、仮想通貨を売買した日の交換レートなどの情報を正確に記録しているとは思えないことだ。

税制面での法整備がされた後に、現時点で保有している仮想通貨を売却した場合、損益の計算はどうするのか、かつての株式譲渡所得の計算のように、〇月〇日現在の8掛けとかにするのか、現時点ではわからないことだらけだ。

それ以外にも不確定要素が多いので、とりあえず、真面目に申告したという印象を税務当局に与えることが重要だろうか。(笑)

私の経験で言わせてもらえれば、海外口座における株式譲渡所得の申告も2000年代初頭の黎明期は、納税者も税務当局もお互いに手探りでやっていたような感じがあるので、仮想通貨の場合も同じような歴史を辿るだろう。

まあ、何もわからない状態でいろいろ仮説を立てても仕方ないので、このへんで・・・

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仮想通貨利益は「雑所得」 損益通算不可、国税が見解 (2017.9.12 日経新聞)

国税庁はビットコインをはじめとする仮想通貨をめぐり、取引で生じる利益が「雑所得」にあたるとの見解をまとめた。
上場株式や公社債など他の金融所得とは損益を差し引きできず、所得に応じた累進税率を適用すると明らかにした。

仮想通貨の急速な市場拡大に伴い、巨額の利益を手にした個人投資家も多い。
税務上の扱いを明確にして課税逃れを防ぐ。

これまで、所得税法上どう分類するかは明確でなかった。
国税庁は今年以降の対応として

  1. ビットコインを使用することで生じた利益は所得税の課税対象
  2. 所得区分は原則として雑所得にあたる

という見解を11日までに初めて示した。

例えば10万円で買ったビットコインを50万円で売れば40万円が利益となる。
10万円で手に入れたビットコインを使って50万円分の買い物をした場合も同じ扱いだ。

公社債や上場株式の譲渡損益はお互いに差し引きして課税対象の所得を減らせる損益通算と呼ぶしくみがある。
赤字が出た場合に損失を3年間繰り越し、将来の利益と相殺することもできる。

仮想通貨は通常の金融所得とは異なり、税制上こうしたメリットを受けられない点が明確になった。

同じ雑所得でも、外国為替証拠金取引(FX)や金先物は一律20.315%(地方税含む)の税率が適用される。
仮想通貨の利益は給与所得などとあわせて計算され、所得に応じて5~45%の累進税率がかかる。

国税庁が仮想通貨の扱いを明確にしたのは、激しい値動きに着目した投機的な取引が増えているためだ。

インターネット上ではビットコインによって資産を億円単位で増やした「億り人(おくりびと)」が話題になり、課税逃れに使われているとの指摘も出ていた。

数百万円を投資する都内の30代の男性会社員は「税務上の扱いがはっきりしてすっきりした。
さらなる普及につながればよい」と話す。

仮想通貨に詳しいEY税理士法人パートナーの西田宏之氏は「税法上の取り扱いを明確にすることで申告する人は増える。
取引所は利用者に取引情報などを提供する機能を整える必要がある」と指摘する。

他の金融商品と比べて税務上のメリットが限られる点を懸念する声もあがる。
取引所国内最大手のビットフライヤー(東京・港)は「年末になれば利用者の申告への意識が高まり、ネガティブな影響もあるのではないか」という。

仮想通貨は金融とIT(情報技術)が融合したフィンテックの代表的な存在。
長い目で見て市場育成に資する税制とは何かを考えていく必要がある。

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