私が持っている海外口座は、メインとなっているHSBC香港(参考:HSBC香港の口座開設と活用について)のほかに、米国の証券会社であるファーストレード証券(Firstrade)(参考:米国証券会社(Firstrade, TD Ameritrade)の口座開設と活用について)と、タイに遊びに行くときにだけ使っているカシコン銀行(Kasikorn Bank)と3つの口座がある。
このうち、HSBC香港と、カシコン銀行(Kasikorn Bank)については、いざというときに直接現地へ渡航して手続きすることができるが、ファーストレード証券(Firstrade)は、私にとっては米国にあることもあって相当に難儀なところだ。
もちろん、オンラインの使い勝手については、さほど不自由していないのだが、私に万が一のことがあったときには、預け資産総額と相続手続きにかかる手間や費用を考えた場合、最終的には、休眠、凍結、没収という経緯を辿る可能性が高い。(参考:海外口座の相続手続きについて)
元々、私が海外の金融機関に口座を開いた理由は、当時、日本の金融機関が販売する商品が貧弱で、海外口座の方がバラエティに富んだ金融商品を買い付けることができることだった。(2015年4月21日-日本における外国株投資ツールの充実と海外口座を巡る最近の情勢)
ところが、あまり分散すると、管理の手間が面倒になるだけでなく、それこそ自分に万が一のことがあった場合に、適正な相続手続きがされずに、すべて雲散霧消しかねないことに気付いた。
そこで、私は海外の金融機関整理の一環として、ファーストレード証券(Firstrade)の撤退を視野に入れて行動することにした。
ここで運用した資産を換金して使おうと思ったときに、小切手の郵送は米国内のみしか行わないと書かれているし、米国内の銀行口座を開設できない限り、その手間がかなり面倒なことがわかったからだ。(Firstrade International Account FAQs – How do I withdraw funds?)
ちなみに、HSBC香港の米国株口座を使えば、取引手数料(US$18)の点で見劣りするものの、取引可能な銘柄も米国内の証券会社とそれほど遜色がないし、頻繁にトレードしなければ手数料の多寡は気にならないだろう。
ファーストレード証券(Firstrade)の口座にある現金を米国外の銀行に出金するためには、Customer Service – Form CenterからOutgoing Wire Transfer Form – International (International Wire Request Form)をダウンロードし、サインした書類(International Wire Request Form記載例)をスキャナーで読み込んで、メールに添付し、cashier@firstrade.comへ送信すればいい。(スキャナーがなければ郵便かFAXで送信する。)
そう、これだけなら私も多少面倒だなと思うだけで何の苦労もないのだが、書類の冒頭に書かれている「* We may contact you to verify information prior to processing the request for security reasons.(安全上の理由により、申請を処理するに先立って、情報の確認のために私どもから貴方様にご連絡を差し上げることがあります)」という一項目だ。
この連絡とは、「wire transfer pending – verification needed(国外送金保留-要確認)」という件名のメールで、We will contact you between 8:30am to 10:30am ET the next business day to validate the wire transfer out request.(国外送金申請を有効にするために、翌営業日のアメリカ東部標準時間の8時30分から10時30分の間にご連絡致します。)と書かれていた。
このアメリカ東部標準時間とは、ワシントン(Washington)やニューヨーク(New York)の時間で、今の時期だと日本時間は22時30分から0時30分まで、一応、こちらの事情も考慮してくれているというわけだが、英語の電話がかかって来るというのは一般の日本人にとって気が重たいことだろう。
さて、この電話で聞かれたことは、自分の生年月日(これはよくある話だから心配することはない)と、Secret Question/Answer(秘密の質問と答え)というパスワードを忘れたときや、本人確認のときに使われる項目だ。
この秘密の質問と答えは、ログイン後のMy Account-Profile-Login/PINの項目で修正可能なので、外出先で電話がかかってきても答えられるように準備しておこう。
それが無事に終わると、「Outgoing Wire Confirmation(国外送金承認)」というメールが送られてきて、1日か2日のうちには指定口座に着金する。
ところで、このとき、せっかくHSBC香港に口座があるのだから、そちらへ送ってもらったのだろうと考える人がいると思うが、残念ながら居住国以外の銀行口座に送金するためには理由の説明を求められるのだ。(Please briefly explain the reason you are requesting to transfer the funds into a HK bank account, while your residency is in Japan.)
説明をした英文を書いて返信しても良かったのだが、苦労するのが目に見えていたし、電話で再説明を求められるとやっかいなので、日本の銀行に送ってもらうことにした。
ファーストレード証券(Firstrade)に口座を持っている人ならSMBC信託銀行(旧シティバンク)に口座を持っている人も多いだろう。
この銀行のウェブサイトには「海外から送金される際の金融機関情報」というページがあるのだが、この記事を参考に、「海外からSMBC信託銀行プレスティアの口座宛て送金を受領する際のご案内」というPDFファイルの書類を一緒に添付すると手続きがスムーズにいく。
とりあえず、ファーストレード証券(Firstrade)撤退作戦の第一弾はこれで終わったのだが、最終的に口座の閉鎖はどうしたらいいのか、申請書類がないので、こればかりはカスタマーサービスに質問メールを送らないといけないのだろうな。
コメント
私はハワイに口座を持っていますが、海外口座のメンテナンスは悩ましいですね。距離が距離だけに、ちょっと行ってくる、というのが難しいからです。
カルロスさんは海外口座のメインにHCBC香港を据えておられますが、先日気になる記事を見つけたので貼っておきます。
産経ニュース
北京から帰国時に私の給与口座は「資産凍結」された 嫌がらせか、外貨流出阻止か 「改革開放は終わった」
http://www.sankei.com/premium/news/161231/prm1612310032-n1.html
1113gauchoさん、コメントありがとうございます。
そうなんですね。HSBC香港は中国リスクがあるんですよね。
どうしたものか、というところですね。
こんばんわ。有益な情報ありがとうございます。
ところで国内送金されたということは、海外での資産は売却されたことと想像しますが、譲渡益課税の申告は送金時点で売却というかたちでされましたか?
それとも、過去随時売却していて5年間以内売却分について、売却時点での譲渡益税を計算して支払う対応をされましたでしょうか?
くのっくすさん、こんばんは
株式譲渡損益の計算は、株やファンドの売却の都度計算です。
日本の一般口座と同じ扱いですね。
為替は仲値でやることが所得税法で決まってます。
日本へ送金すると課税されるのでなく、株式の売却の時点で課税です。
従って、買ったときに円高で売った時に円安だと、為替の分だけ利益が出たことになり、実際は損しても税がかかるということになります。
カルロスさん、ご回答ありがとうございます。
為替は仲値で。。
譲渡益課税と雑所得の課税を別々に計算すると思っておりましたが、譲渡益課税の中で為替損益を含んで計算する考え方もあるのですね。。
参考になりました。。
くのっくすさん
お役に立てて何よりです。