Firstradeが日本国籍者の新規口座開設を再開した理由とは

この記事は約3分で読めます。

エンパイアステートビルからの眺め

去る12月2日付の海外投資を楽しむ会のニュースリリースに「ファーストレード証券(Firstrade)で日本人の新規口座開設が再開されました」とあった。

米国にあるオンライン証券会社のFirstradeは、昨年の11月1日から日本人を含む特定国籍者の新規口座開設を停止していたので、1年ぶりの再開となる。

昨年の11月時点で新規口座開設が認められなかった国で、今回認められるようになったのは、日本人以外にもカタール人とサウジアラビア人があるようだが、どういう理由で再開されるようになったのかはわからない。

昨年の時点では将来的にTD Ameritradeの口座のように強制閉鎖の憂き目(2012年9月29日-TD Ameritradeが2012年10月末で日本を含む特定国の居住者の口座を強制閉鎖へ)に遭うのではないかという不安があっただけに、日本人の新規口座開設再開のニュースは朗報には違いない。

しかし、Firstradeに口座を開いても、日本側の海外送金の窓口がシティバンクの身売りによって狭められつつあり、むしろ、こちらの方が予断を許さない状況になってきている。(2014年12月11日-シティバンクの口座、売却後は三井住友銀行で継続保有の予定

今のところ、外貨をそのままオンライン送金できるところとしては、新生銀行の海外送金サービス(GoRemit)セブン銀行の海外送金(国際送金)サービスなどの方法が残るので、いずれか便利な方法を使えばいいと思うが、それ以外の銀行は窓口送金しか扱わないなど使い勝手が悪すぎる。

おまけに、マネーロンダリング防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)のハイリスク取引条項を恣意的に解釈して、実質的に海外送金を拒む銀行もあると聞いては何を言わんかだ。(2013年2月21日-マネロン防止法の強化で海外送金を拒否されることもあり得るのか

とりあえず、私の場合は、Firstradeの口座の強制閉鎖のリスクが少なくなったので、シティバンクがあるうちに追加送金を再開しようかと思っている。
ただ為替レートが円安に振れ過ぎているのが難点だ。

ところで、突然の再開の理由として考えられるのは、主として米国から甘いと言われていたマネーロンダリング防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)が2013年(平成25年)4月1日に改正され、本人確認が厳格化されたのを受けて、1年たってその法律の有効性が米国においても確認されたのか、日本在住者の口座情報が米国内国歳入庁の国際間情報交換サービス(IRS/Internal Revenue Service – International Data Exchange Service)を通じて日本の国税庁にスムーズに流れるようなスキームができた(2014年2月8日-各国税務当局がオンラインによる非居住者口座情報共有化へ)のか、いずれかでないかと私は推測している。

KPMGジャパンのウェブサイトに掲載された「FATCA関連情報」を見る限り、後者の可能性が高いかもしれない。
つまり、FATCA(Foreign Account Tax Compliance Act=外国口座税務コンプライアンス法)は米国納税義務者(米国人、米国永住者等)が米国外の金融口座等を利用した場合の情報提供を相手国に求めているため、税務行政執行共助条約(租税に関する相互行政支援に関する条約)の観点から言えば、日米相互のオンラインによる口座情報交換が本格的にされ始めたとみていいからだ。

コメント

  1. こねこぢぢぃ より:

    60歳になったのを期に、昨年の12月14日から南の島暮らしを始めて1年になりました。テレビも新聞も無い生活ですので、情報は主にネットからです。Diners Club とCiti bank のWEBで売却が発表されてから、いったいどうなったのかな?と検索していたら貴殿のBlogにたどり着き、売却先が三井住友銀行と知りました。私も邦銀の時代遅れのシステムとサービスの悪さを嫌って外銀にしていたので、そうなると口座を残しておく必要がなくなりますね。大変参考になりました、ありがとうございます。

  2. カルロス より:

    こねこぢぢぃさん、コメントありがとうございます。
    南の島暮らしはいいですね。
    海外ATMを使うなら新生銀行がいいかと思いますが、居住地にunion pay対応のATMがあるならHSBC香港に口座を持つのも悪くないです。

タイトルとURLをコピーしました