昨日、私はファイナンシャルアカデミーで行われた「ローリスクで儲けるバリュー投資セミナー【基礎編・NISA対応版】」(有料)に参加した。
株式投資で稼いでサラリーマンから個人事業主となった講師の角山智氏が、低迷していることが多い日本市場で、どのように投資して資産を築き上げてきたか興味があった。
私自身は日本株のポジションはほとんど持っていないのだが、成功者の理論は聞いておいて損はないだろう。
それに彼のウェブサイトの「マーケットに参加するための8つの心構え」にあった「投資とは、豊かな人生を送るための手段である」という言葉も気にいったからだ。
ちなみに、今日のコラムでは彼が説明したことのうち、あまり注目されそうもない(!?)地味なことに絞って書くことにした。
テクニカル分析やファンダメンタル分析などの投資手法を知りたい方は、対価を払って彼の講義を聞いてもらいたいと思うからだ。
角山氏が最も強調していたのは、当たり前のことではあるが、損失を最小限に抑えるためのリスク管理をすることである。
彼も講義の中で再三言っていたし、私も何度も経験していることだが、典型的な負けパターンに陥っているときは、「すこしずつ勝って大きく負ける」という形になっている。
彼は、負けている投資家は、「買値の○○%上がったら売る、とは決めても、買値の××%下がったら損切りするとは決めない。また、利益確定した銘柄は保有日数が短く、損失を出した銘柄ほど保有日数が長くなる傾向がある。」と言う。
それをまず逆にしないとダメで、含み益の出ている株はトレンドが逆転しない限りそのまま放置し、含み損の出ている株こそ機械的に損切りすべきと言う。
そのために彼が重要視していることがエクセルを使った損益管理(記帳)で、その効用は大きく分けて次の三つだという。
- 損益を常に把握できる
- 自分の負けパターンがわかる(過去の失敗を未来に生かす)
- 確定申告をスムーズに行える
この中で3の確定申告をスムーズに行えるというのは、日本株を取引している人の場合、特定口座にしておけば、確定申告の時期になると、証券会社から年間取引報告書が送られてくるが、それとは別にエクセルを使って損益管理(記帳)をすることが重要とのことだ。
私が思うに、このとき問題になるのが、株価と為替レート(外国株や海外ETFの損益計算のため)を自動的にエクセルに取り込むようにすることだ。
確定申告用の資料として作るだけなら手処理でもいいのだろうが、定期的にやるとなると、面倒になると思うので、Vectorなどのウェブサイトで株価取得のソフトを探すか、楽天証券のマーケットスピード(利用料は3ヶ月で3,000円)のリアルタイムスプレッドシート(RSS)を利用する方が良いのかもしれない。<参考:確定申告用-株式投資損益計算書(Excel)>
一昨年に「Toward a dream-come-true『経済的自由への扉は開かれた』」を書いて以来、私はキャピタルゲイン狙いの銘柄はあまり保有しないようにしているので、このことは気にしてなかったが、世界市場がきな臭いこともあるので、確定申告が終わったら試験的にやってみようかと思う。
また、角山氏が言う「生活資金用の口座と証券投資用の資金口座の分離」は、私も「今日から新しい人生を歩みたい人のための投資入門講座」の、銀行口座の見直しをする、という一節で、「まずは、日常生活資金用の口座と投資資金用の口座を厳格に分別しよう。これは、家計を管理する上でも重要なことである。」と書いているほどだから、家族(配偶者)から「ドクターストップ」ならぬ「投資中止命令」が下らないようにするためには大切なことと言えるだろう。
こういった家族(配偶者)からの「投資中止命令」が下った人の話は聞いたことがあるし、私も他人事には聞こえなかったからだ。
そして、投資家ならずとも最も関心があるのが、税引き後のリターンを最大化するためには、どうするかということだろう。
角山氏は、まず投資家であるなら確定申告をすること、要するに、自分の所得に対する税率の把握と、その上で節税策を講じるためにはどうしたらいいかということに無関心ではいけないと言う。
もっともなことだ。
ちなみに、給与所得者(サラリーマン)なら1月に受け取る前年分の源泉徴収票を見れば、課税される所得金額(給与所得控除後の金額-所得控除の額の合計額:千円未満切り捨て)と所得税率が把握できる。
そこで、所得税率が5%か10%の人は、日本株から得られた配当金は、総合課税で申告すれば配当控除も適用されるので、住民税の税率が一律10%である以上、所得税の税率区分が変わらない限り、源泉された所得税(15.315%)の一部が戻る形になり、得をすると言う。
微々たる金額であっても、節税の意識と、税法について学べることは何事にも代えがたいものがあるだろう。
但し、源泉分離課税の配当金をあえて確定申告するということは、合計所得金額が増えることになるので、年間の配当金が多額だったり、被扶養者の方、自営業者などで国民健康保険加入者の場合は、所得税や翌年の国民健康保険料が高くなって元も子もないということがあるので、きちんとしたシミュレーションが必要なのは言うまでもない。
従って、角山氏は日本株の高配当銘柄を、少額投資非課税制度(NISA)を使って買う意義はあまりなく、むしろ、そういったことをするなら、外国株や海外ETFの高配当銘柄をNISA口座で買うべきであると言う。
私は日本で外国株取引をしないので全く知らなかったのだが、彼曰く、日本の証券会社で取引している外国株や海外ETFの配当金については、租税条約による源泉所得税(米国の場合は10%)、そして日本側の源泉税(20.315%)が差し引かれて口座に入金されるとのことだ。
つまり配当金のうち、30%も引かれて入金されるということだ。
えええ、と思って、帰宅後に調べてみたらSBI証券のQ&A「米国株式の配当金に対する税金の取扱いはどうなりますか?」に確かにそう書かれている。
これは確定申告において外国税額控除が適用されるので、その分は戻ってくる形になるが、配当控除は適用できないので、NISA口座を使う価値が十分にあると言う。
ただ、私のような高配当のETFなどに投資している場合は、再投資の原資となる金額に多大な影響を及ぼすので、そういった意味では海外の金融機関で投資し、翌年の確定申告でまとめて税金を清算するという形が望ましいだろうか。
とりあえず、私は日本株のバリュー投資の手法より、税金の勉強ができた意義の方が大きかったという点では、ほかの参加者とは視点が違ったと言えようか。(笑)
最後に角山氏は言う。
「投資は時節を待つことが大事であり、不動産も株も買値で儲けが決まる点は変わらない。一方で投資の経験値を高めることも必要であり、そのためには100万円を上限に小さく始めることも一案である。」
彼はアベノミクス(第二次安倍内閣の経済政策)に絡めて、こうも言った。
「安倍内閣の目論見通りに良性のインフレ(経済成長に伴うインフレ)が起こることは考えづらい。生産年齢人口は少子高齢化で減少し、労働者の賃金はグローバル化に伴って減少し続けるからだ。円安を誘導すると言うが、普通の状態で日本の名目金利やインフレ率が米国より上がることは考えづらいので、経済の常識から言えば円高ドル安になってもおかしくない。それが全部逆になるということは、想像したくない世の中がやってくるときだ。」
つまり、安倍内閣の時代に起こるか、次の時代以降になるかはわからないが、現在の経済政策の終点は、私も想像したくない世の中となるだろう。
コメント
角山氏のことをよく知らないようですので
2chを読まれた方がよいと思います
角山智先生を語ろう part 8
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/stock/1392891498/
情報ありがとうございます。
参考にさせていただきます。