今日のコラムの表題に「面倒くさいは貧乏の始まり」と付けたのには理由がある。
なぜなら、今の日本で金銭的に豊かになるためには、投資やビジネス(起業)を避けて通ることはできず、これらで成功するためには、相当の努力を必要とするからだ。
まして、手っ取り早く大金を手にしたいがために、「何をやれば一番いいの?どこの株を買うと儲かるの?○○さんは儲かってるの?」のなどと聞く人に対して、まともな人から回答が返ってくる可能性はないだろう。
つまり、このような質問をする人は、自分で何かを考えるということが苦手な面倒くさがり屋だ。
彼らに対して親切なアプローチをする人は、投資信託を売って手数料を稼ぎたい金融マンか、眉唾ものの(たいていすべてをお膳立てしてくれるような)与太話を持ってくる詐欺師だ。
当然、これらの商品は投資家が儲かる可能性はほとんどなく、搾取されたり、騙されたりして終わりとなるのだ。
一方で、すべての金絡みの話に頑なに扉を閉ざす人もいるが、そういった人たちはチャンスをもたらす福の神まで逃がしてしまうという結果になるだろう。
1年前に盛んに紹介したスティーブ・シーボルト(Steve Siebold)著、弓場隆訳の「金持ちになる男、貧乏になる男」(How Rich People Think)の一節に「貧乏になる男はできるだけ『怠けよう』とし、金持ちになる男は人一倍の『努力』をする」とあったことは、至極まっとうなことだ。
「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則」を書いた本田直之氏はお金持ちであり、その類のハウツー本を何冊も買っている人は貧乏のまま、と言ったら言い過ぎだろうか。
実際、私が昨日参加した「知っているようで意外と知らないお金について大切なこと 第25弾~お金の自分軸とリスクを知る編~」セミナー+食事会+キャッシュフローゲーム(大人版・子供版)体験のイベントで、セミナーの講師のもっさんが「投資をするにあたって自分に合ったリスクを探す作業は、非常に知的な行為であるがゆえに、それほど簡単なことではない。」と言っていた。
面倒くさがり屋にはとうてい無理なことだろう。
さて、この種のイベントに私が参加するのは2回目、前回(10月20日)と何が違ったのかというと、セミナー後半部分の「目標設定編」が「リスクを知る編」に変わっただけなのだが、私にとっては自分に合ったリスクを求めるためのアプローチについて再確認できたことが良かったと思う。
また、普段サラリーマンがリスクを認識していない労働も、実は投資であり、リスクがあるのだ、ということを知ることができたので、そういう意味でも有意義な講義だった。
つまり、労働というのは自分自身の能力(体)と時間を雇用主に投資しているのであり、能力や体が衰えてくれば収益(給料)が減り(年功序列賃金の制度はこれに反しているが)、突然の失業で、あるいは順風満帆にいってもいずれは定年となって収益がなくなる。
そのリスクに対して、貴方はどう向き合う(ヘッジする)か、というのが人生のキャッシュフロー(cash flow)のテーマということだ。
ところで、講師のもっさんが言うには、投資を始めるにあたっては、下のステップ1から順番に始めなければうまくいかないのだが、ステップ3から逆に追ってしまっている人が多いとのこと。
私も最初にやったのは、1998年当時に個人営業をしていたメリルリンチ日本証券の高級サロン風の店頭風景に誘われて(笑)、そこで口座を開き、投資信託を買ったり、外貨MMFを買ったりしただけだった。
そのうち、海外投資を始めたが、ステップ1の運用の目的については考えもしなかったような気がする。
ただ単に、日本円預金だけでは自分の将来が危ういと漠然と思ったので、投資を始めたというところだろう。
ステップ1からのアプローチを私がするようになったのは、投資を始めてしばらくたってからだ。
今では早期リタイア後の生活原資を賄うための投資商品を探すことが第一目標であるため、そのための手法は自分の中でかなり明確になってきたと思う。
自分に合ったリスクを求めるためのアプローチ
ステップ1
- 運用の目的
- 所与の条件
ゴールに対し、自分自身のプロファイル(investor profile)を理解する。
- 投資期間(duration)
- 収益目標(returns)-利子・配当・分配金など(income)か成長性(growth)か?
- 換金の容易さ(liquidity)
ステップ2
- リスクの許容度
- リスクのタイプ
自分が取り得るリスクと都合よく付き合う方法を考える。
- 価格変動リスク
- 為替リスク
- 信用(クレジット)リスク
- 金利変動リスク
- インフレリスク
- 流動性リスク
ステップ3
- 運用方法
- 投資対象
自分に適した運用方法を見つける。
- 円預金
- 外貨建て運用
- 債券
- 不動産投資信託(REIT/Real Estate Investment Trust)
- 株式
- 商品(コモディティ/commodity)
- 不動産投資
そして、前述のように、自分に合ったリスクを探す作業は非常に知的な行為だと、もっさんは言う。
基本的には、どういった商品に投資するかを検討するのに、今の経済・国際情勢を理解するための基礎的な知識が必要となるわけだが、その過程を面倒くさがって、わからないから円預金が安全と自分を納得させるのは、あまりにもリスキーな行動だ。
第一、毎月の積み立てで円預金を30年続けて、いくら資産が貯まるか計算(資金係数表(Excel)の年金終価係数を使用)したことがあるだろうか。
また、アベノミクス(第二次安倍内閣の経済政策)がインフレ志向であることを理解できれば、余裕資金を運用するのに、インフレに弱い固定金利型の円定期預金や個人向け国債、それに円建て個人年金がいかに的外れな商品か理解できるはずだ。
藤巻健史氏が「日本大沈没」という著書の中で「日本人が米ドルに投資することは円が暴落したときの保険だと考えればいい。保険は掛け捨てになったとしても悔やむことはないだろう。」と言っている。
そういった割り切り方ができたならさっそく外貨建て投資を始めてみよう。(参考:2013年4月11日-超初心者のための外貨投資入門)
今や長期的な円建て投資が実を結ばない可能性が高いので、まずは為替変動リスクへの耐性をつけることが必要だからだ。
最後に、面倒くさがりなサラリーマンが人生を変える方法を一つお教えしよう。
私が5月10日のコラムで「ふるさと納税して山形牛を実質無料で貰おう」と書いたように、特産品がもらえる自治体へふるさと納税をすることだ。
ちなみに、昨日、私は今年2回目ということで鳥取県財源確保推進課(ふるさと納税)のサイトからクレジットカード決済でふるさと納税(寄附)をしたのだが、すべてがオンラインで完結する優れモノだった。
このふるさと納税もお得感が浸透したのか、5月に私がブログを書いたときに比べて、はるかに人気を博しているようだ。
人気の特産品は品薄状態が続いている自治体もあり、下手すれば、向こう2~3年で実質無料の特産品獲得の旨みは消えてなくなる勢いだ。
そして、ふるさと納税をした場合は翌年に所得税の確定申告をすることになるのだが、これが公租公課(税金や社会保険料)がいくらかかっているかに興味を持つ第一歩になる。
サラリーマンの多くは、毎年12月分の給与明細にあるように、年末調整という日本独特の徴税システムで納税が完結してしまうので、どうしても受身になりがちだ。
従って、所得税の確定申告に縁がなく、尻込みしてしまう人も多いが、今や国税庁の確定申告コーナーで、源泉徴収票などの数字を入れれば自動計算してくれるし、その申告書を印刷して郵送するだけで申告は終わるのだ。(e-Taxの手続きをしている人は電子申請可)
もちろん、パソコンやプリンタがない人もいるだろうが、給与所得と寄附金控除程度なら手計算でもそれほど手間はかからない。
むしろ、これを機に中古のパソコンくらいは買えばいいと思う。
プリンタはわざわざ買わなくても、PDFファイルで保存した申告書をセブンイレブンのマルチコピー機や、ネットプリントのサービスを利用して印刷するといいだろう。
確定申告をすることによって、サラリーマンがいかに政府の搾取の対象となっているかわかると思う。
12月分の給与明細で年末調整の項目を見れば、消費税の増税のときは日本中が騒ぐのに、なぜ社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)の負担増のことではほとんど騒がないのかよくわかるだろう。
そうすれば、給与所得以外のカテゴリーの所得を得るために努力することがいかに大切かもわかるようになる。
また、プライベートで使う情報機器が旧式の携帯(ガラケー)やiPhoneで十分だと思っていた意識も変わるだろう。
そして、私がもっさんのセミナーに出席している理由は一つ。
彼がサラリーマンから自由人になったからであり、私もそうなることが目標だからだ。
コメント
物価上昇を加味しても預貯金だけで食べていけそうな人は、資産運用などしないほうがむしろ安全ではありませんか?
損する人がいるからこそ、あなたのようなプロが得できるわけでしょう。それが相場の世界でしょう?
預貯金だけで食べて行く人は、運用能力が低いです。何かのイベントで預金の価値が無くなれば、もう死ぬしかない。
預貯金の量や、年収で富裕度を評価する時代は既に終わっています。
それに気が付けない人が相場うんぬん言うのは、どうなのかしらね。
何かのイベントで円預金の価値が無くなったら、とんでもない数の死骸が街に転がることになるんですか?
相場のことを知らないのは私一人ではありません。相場のことを知らず、積極的な資産運用を行わない、運用能力が低い人は最低限の生活もままならない時代なのでしょうか?30年後は?50年後は?インフレ一方向ですかね。どうでしょうか。
まず、名無しでなく、ハンドルネームくらい入力をお願いしますね。
それと私やこのセミナーに来ていた人、講師の方は投資のプロではありません。
>預貯金だけで食べていけそうな人は、資産運用などしないほうがむしろ安全ではありませんか?
その十分な預貯金はどこから捻出されるのでしょうか?
一般的には投資やビジネスです。
さもなければ親の遺産や宝くじという人もいますが、そういった方で資産運用能力がない方は、たいてい資金をなくす運命にあると思います。
>何かのイベントで円預金の価値が無くなったら、とんでもない数の死骸が街に転がることになるんですか?
田中氏は「何かのイベント」という書き方をしていますが、今や終戦直後くらいのインフレが起きなければ、国家債務は返済不能と言われています。
今の100万円が10万円程度の価値しか持たなくなれば、年金暮らしの高齢者や公務員、円預金しか持たない人はどうなるか想像してください。
>運用能力が低い人は最低限の生活もままならない時代なのでしょうか?30年後は?50年後は?インフレ一方向ですかね。どうでしょうか。
もう回答はしていますね。ご自身でお考えください。
円預金と年金だけで幸せになれるなら、私は投資も英語も学ぼうとはしなかったと思いますね。
最後に、質問をされるならハンドルの入力をしてください、「名無し」「通りすがり」「初心者」などというのは認めません。
投資せずに預金だけしている人のことを「運用能力がない」という言い方はどうかと思いますよ。失礼じゃないですか?
預金と自宅さえ守っていればなんとかなる人は実在するのですから。
ふやすことが目的ではなく、そのお金で食べていくことが目的でしょう。
運用なんてそのための手段でしかないのに。
>預金と自宅さえ守っていればなんとかなる人は実在するのですから。
ふやすことが目的ではなく、そのお金で食べていくことが目的でしょう。
人の書いていることをお読みくださいね。
日本の現在の状況から言って預金を守るということが難しい時代と書いています。
資産運用というのは増やすことではなく、守ることも当然入ります。
お金持ちはそのための努力をし、子孫にもそのやり方を伝えると言いますけどね。
それに、私は預貯金で食っている人が能力がないと書いているのではなく、何もせず資産をなくしてしまうことが無能と書いているのですがね。
宝くじで高額当選した人、土地が値上がりして思わぬ大金が入った人、親の遺産が転がり込んだ人、全部使い果たして財産をなくして元も木阿弥になっている人は多いと聞きますよ。
以下の記事は一つの例ですね。
「宝くじ、大金を手にした人はどうなってしまうのか 6億円当選30代男性、一晩で1500万円使う」
>>6億円当選者の男性は、プログラマーから投資家に転身して仕事も順調だというが、キャンベル氏が「5年後に70%の人がすべてを失うっていう研究もある」と指摘するように、突然億万長者になると冷静な判断ができなくなる人も少なくないようだ。
http://www.j-cast.com/2013/12/16191866.html
まあ、これ以上は平行線なのですからもうやめにしませんか。
感情的になっても得るものはないと思いますね。
私は私、名無しさんは名無しさんの生き方があるのですから、それでいいのではないですか。
名無しさんへ
まず投資や運用の事を、相場と言う時点で誤解している。
それから、伝統的富裕層は必ず運用をしている。
その歴史は、最古の職業と言われる娼婦より浅いかも知れないが、少なくとも文明とか都市生活とか始まった時には存在していた。
ソクラテスとかプラトンの時代。
貯蓄が上手くいった事を自慢したいのだろうが、それで死ぬまで安定しているかどうかはわからない。個人的には上を見ても30%くらいでしょうね。
安泰でなかった未来が来た時は、僕の言葉が呪いのようにあなたの頭の中で、こだまするでしょうね。
ねぇ田中さん、あなたは自分の知識や資産運用能力の高さをひけらかしているのですか?
私のような、資産は預金と持ち家だけの古い型の人間を見下しているのですか?
ちがうでしょう?
私も、自分の貯金が上手く言ったことを自慢したいわけではなく、そんな貯金はありませんよ。
伝統的富裕層は運用を〜、子孫にもそのやり方を〜とありますが、どうなんでしょうかね。
伝統的富裕層は富の隠し用がないから、そうせざるをえないんでしょうかね。
伝統的富裕層であれ成金であれ、財産を隠し、最期まで子供には教えない人はいると思いますよ。
いくらあるよと言っちゃったが最後、自分自身の力で生きようとしなくなっちゃったら困るから。
コメントはもうこの辺でやめておきます。
僕は結婚する気ないので、自分のことだけ考えていればいいんです。
最期まで他人に依存せずに食べていければ、それでいいです。
カルロスさん、IPアドレス見えてますよね。
お金の話って怖いから、名乗りたくありませんでした。すみません。
こんにちは
コメントが多いなーと思って、読んで見ましたら、面白いですね。
考え方は色々です。
私の考えは、人生天寿をまっとうするまで飢えずに暮らせるかなので、死ぬ時になってみないと、結論は出ませんね。
過去2回もデフォルトしている日本で、円資産もリスク資産。
タンス預金も、インフレの前には元本保証は無い投資と同じ。
年金も、もらえればラッキー程度としか考えておかないといけないので、ポートフォリオから除外。
こう考えると、毎日、頭悩ましています。
年末なので、来年やる確定申告の書類をスクラップブックに並べています・・・本当に税金と国保(また値上げ)+年金は高くて嫌になりますが、扶養家族がいるので、日本からなかなか出ていけません。
しかし、本当に投資先(何に投資するか)は、悩ましいです。
風じさん、こんばんは
貴方までお出ましですか(笑)
まあ、今回のようなことに関しては、人それぞれなので、自分でうまくいっている方法でやればいいのではないでしょうか。
それが自分の確固たる信念に基づいているのであれば、人がとやかく言うことではありますまい。
>ねぇ田中さん、あなたは自分の知識や資産運用能力の高さをひけらかしているのですか?
私のような、資産は預金と持ち家だけの古い型の人間を見下しているのですか?
残念ながらそうです。
いや、少し違うかな。
僕も資産は少なく偉そうなことは言えませんね。
ただ、僕の言っている手法は長い歴史の試練に耐えてきた手法ですし、この方法が正しい事は僕らの住んでいる世界では既に「正しい手法として認識されています」
あまり豊かではない人らが、そうだろうか?そうではないのではないか?と議論しているのを見ると、面白くて仕方ありません。
こどもが食べてはいけないと言われているケーキをたべてしまい、「どうして食べたの?」と問う親に、口の周りにクリームをつけたまま、「僕は食べてない。食べたのはサンタさんだ」と嘘をついているのがわかるくらい、簡単に解っている常識なのです。
僕らの世界では、そのくらい常識な事なのです。
>伝統的富裕層であれ成金であれ、財産を隠し、最期まで子供には教えない人はいると思いますよ。
大きな屋敷に住み、使用人が沢山いる家庭の子供が、「自分の家は裕福かどうか?」くらいはわかるんじゃないですかね。
最後に古い家に住んで預貯金を食いつぶしながら生きようが、運用しようがそれはあなたの自由です。
それを強制する気はないですね。
もちろん名乗らずで結構です。
もしかしたら知っている人かも知れないですしね。
ここはあくまで議論の場。
楽しく打ち合いましょう。
カルロスさんへ。
画面の中で会話して、文字もたくさんあって、かっこいいです。ありがとう。