円安時代のオフショア積立ファンド投資法

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冨のイメージ

ワールドインベスターズトラベルカフェでは祝日を除く毎週月曜日に66 Liveというのがあって、私もそこのハッピーアワー(19時から20時30分)に時々顔を出すのだが、そこで話を聞いてみると、香港などでオフショア積立投資をされている方が結構いるようだ。

私が4月11日に書いた「超初心者のための外貨投資入門(2013年版)」とは対照的に、こちらは上級者向けの投資だ。

彼らは、積立投資に際して、日本のクレジットカードでの引き落としにしている人もいると思うのだが、当然のことながら、これらの商品は一定額の米ドルなど、外貨を毎月積立するので、引落とし額はそのときの為替レートによって変動する。

定期的に外貨収入のある人ならともかく、日本居住者の場合は、円安が進むことによって引落とし額も増えることになる。
特にアベノミクス(第二次安倍内閣の経済政策)は円安志向の政策であるのに加え、ヘッジファンドなどの国際金融筋の思惑や、4月4日に黒田東彦総裁が発表した日銀の量的・質的金融緩和政策(PDF)(参考:2013年の日銀公表資料)とも相俟って、今後は余計に円安が加速する恐れがある。

おそらく、1米ドル120円程度までなら彼らの想定内なのだろうが、今後実施される消費税の増税や社会保険料の負担増、賃金の下落などが重なると思ったよりも負担感が増すことになるだろう。

そこで、円安リスクをヘッジするためには、歴史的に見ればまだ円高水準にある今のうちに、ある程度まとまった米ドル資金をHSBC香港に入れておいて、そこからの自動引落とし(Transfers and Payments – autoPay)にすることだが、ただ単純に、例えば5万米ドル(約500万円)を送金して、普通預金(savings)に入れておくだけでは、いずれ資金はなくなってしまうだろう。

そこで、一つの方法が、私が「HSBC香港の口座開設と活用について」で書いているような毎月分配型のファンド(豪ドル建)に500万円(約5万豪ドル)を投資して、その分配金を毎月米ドルに振り替えて、それをオフショア積立ファンドの原資にするやり方がある。

この方法でやれば、失業したり、思わぬ出費が嵩んだときにも積立を続行できるメリットがあり、毎月の積立額に見合った分配金が得られない場合でも、必要に応じて追加資金を日本から送金するだけで事足りる。

幸いにして、HSBC香港のForEx/Renminbi Switching Servicesは、定期的(例えば毎月15日)に外貨を香港ドル又は米ドルに振り替えてくれるサービスがあるので、それを利用するといい。

リンク先の説明では香港ドルのみの記載になっているが、インターネットバンキングにログインすれば米ドルも選択肢に入っていることに気付くだろう。

私が昨年夏以降、香港詣をしたり、高配当米国株の検索をしているときに思ったのだが、毎月分配(配当)型の金融商品は、世界的に見ても特異な選択肢でなくなっているということだ。

そこで運用した金を香港ドルに振り替えてATMで引き出して使う、そんなやり方が一般的なツールとして存在するのだ。

ちなみに、このコラムで書いているオフショア積立ファンドに関しては私が実際にやっているものではない。
なぜなら積立期間が最低15年はないと、長期投資によるメリットが出ないからで、私は今から15年以上も投資をする意欲はないからだ。

実際に、私も香港に行ってランドバンキングを購入したときに、この類のファンドへの投資を勧められたのだが、その時点で私は数年後の早期リタイアを決意していたので、そういった意味でも積立を続行することは不可能だったからだ。

しかしながら、今現在で30代以下の人にとっては投資の選択肢の一つとして検討してもいいのではないかと思っている。
正直なところ、政府の施策に踊らされて、住宅ローンの頭金として500万円を拠出するくらいなら、オフショア投資の原資として活用した方がいいくらいだ。

問題は、オフショア積立ファンドに投資するといっても、どの代理店やファイナンシャル・アドバイザー(IFA=Independent Financial Advisers)を通じて手続きすればいいのか、ほとんどの人にはわからないことだと思う。

そこで現実的には、実際にオフショア積立ファンドをやっている人に話を聞くか、オフショアマッチングなどのサイトを通じてIFAを紹介してもらうことになるだろう。

一応、私が参考にしているサイトとしては、香港マイタン日記パンダ不動産があるのだが、これからオフショア投資をしようと思っている人は気になった記事をチェックしておくといい。

多くの人は、何でそこまでして香港などでオフショア投資をしている人がいるのか、という疑問が湧くだろう。
それは日本の金融鎖国村に嫌気が差したことに始まり、将来の政治・経済リスクといった様々な思惑を持った人たちがそこにはいるのだ。(2012年2月4日-海外への資産逃避(capital flight)は加速するのか

ここで、私の友人であるピエールさん(仮名)がフェイスブックでアップしたコラム(2012年10月13日、14日)を本人の許可を得て転載させていただくことにした。
タイのパタヤビーチの高級コンドミニアムでバカンスを楽しむロシア人夫婦から貴方は何を学ぶだろうか。

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トロピカル・ハイ

今回パタヤを訪れたときにビーチサイドの最高級コンドミニアムに住んでいるロシア人夫婦とお話するチャンスがありました。(私は何時でもチャンスがあれば情報を集めます)

私が日本人だとわかると、打ち解けてフランクに話してもらえました。(意外かもしれませんが、ロシア人は親日な人が多い)
世界中このクラスの人は英会話が出来ますから、当然会話は英語です。

一般的にロシア人は愛想が悪いのですが、この老夫婦は話好きでノリが良いのです。
熱帯の明るい雰囲気がそうさせる「トロピカル・ハイ」な気分なのでしょう。

このご夫婦は以前はモスクワで法律関係の事務所を経営していたが、今はリタイアしてここに引っ越してきたとの事。
会話の話題の中でソ連が崩壊して社会が大混乱する中、庶民の暮らしがどう変わっていったのか、そして、その中でも資産を大きく増やした一握りの人達がいた事など、興味深い事実を何でも話していただけました。

パタヤでロシア人夫婦との会話では、旧ソ連の話が多く出てきました。
「ソビエト連邦は、我々にとってファシストに勝利した栄光でありその後の悪夢の始まりだった。」

社会主義の恐ろしさは、「働いても」「働かなくても同じ」なのではなく、「頑張って働くと、働かない周りの人に迷惑になるから、働かないほうが正しい」ことなのです。
「働き中毒」の私には、ちょっと考えられない生き様ですが・・・

旧ソ連の改革を語るのにはこの人は外せません。
初代で最後の大統領「ミハイル・セルゲーエヴィチ・ゴルバチョフ」氏です。
初めて国家危機の事実を言ったソ連の指導者でしたが、一般の民衆には人気がなかったのです。

働かないで日々暮らす「愛すべき愚者たち」には、旧ソ連の社会のほうが居心地が良かったのです。
(今の日本の社会もこのような傾向があります)

ブタ箱の中で働かないで「不味いパン」を「もう少しおいしくしてほしい」のが民衆の望みだったのでしょう。
そして「愚者の楽園」の終焉は突然やってきました。

がんじがらめの社会の中で働いても働かなくてもよい労働者たちは、「仕事をしているフリをする」「赤字の垂れ流しを知らないフリをする」「時間があったらウオッカを飲んで酔っ払う」しかなくなりました。

結局その社会が大量生産したものは、不良製品の山とアルコール中毒の労働者でした。
そして社会全体に蔓延する「無責任と先送り」「あきらめと無責任」がピークに達してソ連社会主義体制は崩壊したのです。

しかし、その事実を知っていた一部の人達は、事前に資産の防衛をしていました。
そして、経営が成り立たなくなった国営企業を価値が200分の1に下がったルーブルで二束三文で買い叩いて大儲けしました。

ある国営トラクター工場では、民営化のため労働者全てに株が分配されましたが、目端の利く一人の労働者が、少しの現金と「ウオッカ」とですべての株を買い上げて社長になりました。
会社は赤字でも負債の責任は社長にないのです。

しかし、それを理解するものはだれもいない。
ロシア人のほとんどは、資本主義を理解していなかったのです。

「その混乱の中であなたはどうだったのですか?」
私はあつかましく彼に聞きました。
彼はたくさんの国営企業の民営化で法律の手続き仕事はいくらでもあったし、手数料も良かったと言って笑っていました。

最後にこのコンドミニアムは幾らしたのかと聞きました。
即座に4000万バーツ(約1億円)以上とのこと、これ以外にも地中海のカンヌやカリブにも別荘を持っている超リッチマンでした。

彼はロシア社会の激変で大儲けした「勝ち組」だったのでした。
「ハラショー」(ロシア語で、すばらしいの意味)

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