2009年4月1日以降、ほとんどの大手航空会社が旅行会社に対する発券コミッションを廃止したことにより、旅行会社は直接顧客に発券手数料を請求するようになった。(航空旅行Blog版-正規割引航空券購入 旅行会社手数料はいくら?)
つまり、同じ航空券を頼む場合でも航空会社のウェブサイトで予約するのと、旅行会社を通じて手配するのでは、単純計算で手数料分だけ余計にコストがかかることになる。
要するに、パソコンや外国語(英語)が苦手だとか、オンライン決済が不安だとか、いろいろなことを対面で相談したいとか、懇意の担当者に頼んで業界の裏技(!?)を使った予約をしたいとか、そういった特別な事情がなければ、旅行会社を使うメリットをあまり感じられない気がしている。
ところが、私自身が某大手旅行会社の旅行券をもらったことから、結果的に、その旅行会社でチケットを発券することにしてみた。
手配したのはガルーダインドネシア航空(Garuda Indonesia)の国内線、ジャカルタ(CGK)からジョグジャカルタ(JOG)までの片道航空券だ。
何で往復にしなかったのかというと、信じられないほど高かったからだ。
この区間のチケットを航空会社のウェブサイトで予約すると、ノーマルチケット(Flexible)でさえ、税・保険込みで片道994,500ルピア(私がチケット予約をした10月1日現在の為替レートで約110米ドル、8,500円)である。
これでいけば、仮にこの旅行会社が今年度に仕入れる外貨建て商品の為替予約をUS$1=100円でしていたとしても、せいぜい1万円程度が相場というものだろう。
これに旅行会社が取る発券手数料が上乗せされるということになるのだが、実際の請求額は税込みのチケット代金が16,170円、これに発券手数料が5,250円が上乗せされ、総額で21,420円となった。
ちなみにチケット本体の価格は、US$189(14,700円)と書かれていて、いったいどうやったらUS$110のものがそんな金額になるのだろうかと思う。
もらった旅行券を使ってタダで手配したからいいようなものの、自腹を切っていたら絶対にオーダーしなかったであろう金額だ。
この旅行会社が私に提示したUS$189という価格、彼らがぼってるのか、あるいは、彼らもインドネシアの航空会社からぼられているのか、いずれにしろ、顧客の側から見れば暴利としか言いようがない。
何しろ総額でオンラインでやった場合の2.5倍かかるというのは尋常ではない。
もし、他のパッケージツアーに含まれる航空券やホテルの手配も同等の条件でやっているのだとすれば、「カモカモかもーん」は誰なのかという先に行き着くだろう。
1997年12月23日、私が友人とバンコクを観光したとき、そこで案内をしてくれた日本語ガイドのビイラチェ・ ビセトビチャポーン(Virach Visetvichaporn)、通称トムさんは言った。
「日本語のガイドブックと英語のガイドブックの双方に目を通すと、ホテル料金の紹介の部分で、ほとんどのところで同じホテルなのに著しい差異がある。」
当時は、まだインターネットでホテルを予約したりすることが一般的ではなかった。
従って、トムさんが言ったバンコクのホテルに存在した「日本人料金」のことは広く知れ渡ることはなく、中国返還前の香港のホテルに存在した「日本人料金」のことが後で明らかになって大きな物議を醸したのだった。
ちなみに、このとき私が感じたことをタイ・香港・マカオ旅行記にも書いている。
「私が常日頃から思っているように、日本の政官財複合体は、わざと国民を英語嫌いにさせて、情報操作をして暴利を貪っているのでは?なんていうのが確信に変わりそうだね!」
これらのことは、それまで海外旅行から帰国の度に口先だけで終わっていた英語の勉強に本気で取り組む契機になったので、私自身にとっては幸いであった。
ところで、去る9月26日のDIGITAL DIMEで、ジャーナリストの山田順氏が「日本人が英語ができないのは政府の陰謀。あなたはわざと英語嫌いにさせられている!」というコラムを書いていた。
これを読んだ私は14年前に自分が書いたことを思い出し苦笑いした。
「日本人に英語は必要ない。日本では日本語だけで十分暮らせる」という英語不要論を唱えたり、英語を日本の準公用語にしようなどと言うと声高に非難する人たちは、おそらく自分たちが損をしていることにすら気づかないのだろう。
今や、インターネットで航空券やホテルが予約できるようになり、かつてのような露骨な「日本人料金」は存在しなくなったように思える。
ところが、今回の大手旅行会社の例に見られるように、パソコンも英語もできない人たちの前には依然として「日本人料金」が存在しているのである。
しかしながら、これはデフレ経済下で縮小し続ける日本のレジャーマーケットの中で苦しむ旅行業界が、利潤を確保するための窮余の一策なのかもしれない。
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