日本市場からはハゲタカすらいなくなるのか

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驚く外国人男性

今からちょうど8年前、ニューヨークタイムズにAs Tokyo Loses Luster, Foreign Media Move On(東京が輝きを失うにつれて海外メディアが撤退)という記事が掲載された。

当時、外国メディアの撤退ラッシュが続いた日本で、「停滞している日本と、今世紀半ばにも経済的に日本を追い越すと言われる中国とどちらを記事にするかと言われれば、記者達はよりダイナミックに変化している国を選ぶのは当たり前である。」と書かれた。

そして今年、奇しくも同じ8月、それも日本の第二次世界大戦の敗戦を思い出させる終戦記念日の間近に掲載されたブルームバーグの記事は、「一部の大手外国金融機関が、収益性の低い日本法人でリストラを検討しているほか、日本の人員枠を他のアジア地域に振り分ける動きなどが出ている。(Global investment banks will eliminate more jobs in Japan as they question growth prospects in the world’s second-biggest economy and deploy staff to expanding Asian markets including China.)」と切り出されている。

2年前の2008年4月、英投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI/The Children’s Investment Fund)の電源開発(Jパワー)株(9513)の追加取得計画を巡って、政府が買い増し中止勧告を出すなど軋轢を生んだのが、まるで嘘のような遠い過去となろうとしている。

私は当時、このことについて「もし外国人投資家なかりせば」と書いたが、今やエグゼクティブ・サーチ・パートナーズの小溝勝信代表取締役をして、真のジャパン・パッシング(Japan passing)となりつつある。

今後、多くの外資が日本に見切りをつけることがあれば、日本からさらに活力は失われるであろう。
何しろ外資に雇用される人たちが高額納税者であることは想像に難くないからだ。

知日英国人投資家のピーター・タスカ(Peter Tasker)が書いた不機嫌な時代-JAPAN2020という本の一節にこういうものがある。

日本には、政治家とヤクザをのぞいて金持ちはめったにいない。所得税の最高税率が80%になったとき、多くの金持ちは香港やハワイに行ってしまった。そのなかに2008年と2011年の景気後退を乗り切った起業家たちもいた。

5年後に、非居住者が日本の会社の大株主になることが禁じられたので、かれらのほとんどは銀行や商社に会社を売り払ってしまった。

原田はこの政策に大賛成だった。「12年体制」の発足以来選挙のたぴに与党に投票してきたのは、かれらが安定と調和という日本の真価を理解していたからだ。

原田が何よりも望んでいたのは、同じような人たちといっしょに、これまで食べてきたのと同じものを食べ、歌ってきた歌を歌い、これまでと似たような仕事をすることだった。
起業家とかそのほかの危険分子は、出る杭と同じく打たれるべきなのだ。

私は彼が描く悲劇のシナリオが現実とならないことだけを祈りたい。

外資系銀行や証券、日本で追加的な人員削減の可能性-調査(2010.8.10 ブルームバーグ)

8月10日(ブルームバーグ):外資系銀行や証券会社が日本で追加的な人員削減を実施する可能性がある。一部の大手外国金融機関が、収益性の低い日本法人でリストラを検討しているほか、日本の人員枠を他のアジア地域に振り分ける動きなどが出ているためだ。

国内外金融機関の人材紹介を手掛けるエグゼクティブ・サーチ・パートナーズの調査によれば、外国の銀行、証券、プライベート・エクイティ、ヘッジファンド、資産運用、不動産投資会社は6月末までの約2年間で既に約5000人を日本で削減。低収益の部門などでは、さらなる削減に踏み切る公算があるという。

外資系金融機関は2008年秋のリーマン・ショック以降、日本で人員を削減してきたが、新規株式公開(IPO)やM&A(合併・買収)助言ビジネスの規模が他のアジア諸国に比べて小さいことなどから、この傾向はしばらく続きそうだ。一方で、外資勢は米国などでの採用を活発化させている。

エグゼクティブ社の小溝勝信代表取締役はブルームバーグ・ニュースの取材に「外国銀行には採用凍結やさらなるリストラを検討しているところがある」と述べた。その上で、「私が懸念し警鐘を鳴らしたいのは、外国資本が日本をリスクを取るに値しないと素通りし香港や上海、シンガポールに投資しつつあることだ」と語った。

中国、世界最大のIPO市場に

ニューヨークに拠点を持つ調査会社のフリーマンによると、世界の金融機関の投資銀行部門の2010年1- 6月の総手数料収入は前年同期比7%増の371億ドル(約3兆2000億円)。このうち約半分が米国市場での取引から発生しており、日本は4%程度だという。中国、香港市場ではその間に倍増した。

中国では7月に中国農業銀行が香港市場などで約208億米ドル(約1兆7880億円)の新規株式公開を実施するなど、世界最大のIPO市場になりつつある。同案件の引き受けには中国国際金融(CICC)とドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、豪マッコーリー・グループ、モルガン・スタンレーなどが携わっている。

また、ブルームバーグ・データによれば、今年これまでの日本企業関連のM&Aは1283件と、中国・香港関連の2036件の半分程度、金額ベースでも日本は675億ドルと中国・香港の約半分にとどまる。株式の引き受け、M&A業務ともに中国・香港は外国銀行にとって魅力的な市場と言え、フィーや主幹事獲得をめぐる競争が激しくなっている。

エグゼクティブ社によれば、外資系金融は2008年3月末から2010年6月末までに日本で4757人を削減し2万3724人となった。各社の報告書によると、ともに1000人超の従業員を抱えるバンク・オブ・アメリカ、JPモルガン、モルガンSは2008年3月末からの2年間で数百人規模、率にして16-24%の人員を削減した。

小溝代表は、「外国銀行の日本市場へのコミットメントが低下すれば『もの作り日本』に代表される日本企業へのリスクマネーの供給が減り競争力が低下する」と指摘する。その一方で「日本の金融機関が収益力や資本力を強化してグローバルに通用するノウハウを蓄積するなど、独自性を持った『日本版投資銀行』の確立が急務だ」と述べた。

英文記事:Global Investment Banks to Deepen Staff Cuts in Japan

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As Tokyo Loses Luster, Foreign Media Move On
(東京が輝きを失うにつれて海外メディアが撤退)
(August 12, 2002 As Tokyo Loses Luster, Foreign Media Move On)

So began another sayonara party at the Foreign Correspondents’ Club of Japan, marking the closing of another news bureau in Tokyo.
After 12 years of Japan’s economy going sideways, stagnation fatigue is rippling through newsrooms.
In the last few months, newspapers closing their Tokyo bureaus included The Chicago Tribune, The Christian Science Monitor, The Independent of London, Dagens Nyheter of Sweden and Corriere della Sera of Italy.
Meanwhile, reporters from other newspapers are increasingly using the bureaus as pit stops as they race around the world to tell stories their editors find more interesting.

東京支局閉鎖のための送別会が、外国人記者クラブでまた始まった。
12年もの日本の経済停滞は報道の現場にも影響を及ぼしている。
このわずか2~3ヶ月の間にシカゴ・トリビューン(The Chicago Tribune)、クリスチャン・サイエンス・モニター(The Christian Science Monitor)、ロンドンのインディペンデント(The Independent of London)、スウェーデンのダーゲンス・ニィヘテル(Dagens Nyheter of Sweden)、そしてイタリアのコリエーレ・デラ・セラ(Corriere della Sera of Italy)といった新聞社が日本支局を閉鎖した。
一方では、他の新聞社から派遣されたレポーターは、もっと面白い記事を編集者に送ろうと世界を飛び回り、あたかもレースでの途中給油(pit stops)の如く支局を使う傾向を強めている。

Today’s editorial ennui with Japan partly revolves around the definition of news.
Given the choice between covering a stalled Japan and a developing China that will probably overtake Japan economically by the middle of the century, editors choose the more dynamic country.
In a typicial move, The Chicago Tribune closed its Tokyo bureau last year and moved its correspondent to China.

今日の日本についての退屈な社説は、部分的に記事が定義づけされて展開しているからだ。
停滞している日本と、今世紀半ばにも経済的に日本を追い越すと言われる中国とどちらを記事にするかと言われれば、記者達はよりダイナミックに変化している国を選ぶのは当たり前である。
そういった流れの中で、シカゴ・トリビューン(The Chicago Tribune)は昨年東京支局を閉鎖し特派員を中国に移動させた。

Bruce Dunning, Asia bureau chief for CBS, who has worked in Japan off and on since 1972, agreed, saying that Japan was a hard story to sell.
With change in Japan generally minute, incremental, and occurring without visible social friction, Mr. Dunning said, “It is very hard to make pictures of economic trends here.”

1972年から日本で働き、去って行ったCBSのアジア支局長、ブルース・デュニング氏は、日本は硬派の記事を売るために存在していた、という言葉に頷いた。
また、彼は概して些細な、明白な社会的軋轢を伴わない偶発的な変化が日本にあるとしても、この国の経済的な趨勢はとても厳しいものを描くことになると言った。

Over lunch at the press club, where most of the diners were nonjournalist associate members, Naoyuki Shinohara, the spokesman of The Finance Ministry, said he was startled by the change.
Returning to Tokyo recently after several years in Manila, he concluded: “I guess we are not the rising sun anymore.”

財務省報道官の篠原尚之氏は、数年間のマニラ勤務後に帰国した際の変化に驚かされたという。
「我々はもはやライジング・サン(rising sun)ではない」と彼は締めくくった。

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