貸家による住宅ローンの返済法

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投資のイメージ

先月の日刊ゲンダイの住宅ローン関連の記事で気になるものが2つあった。

1つは、「ほとんど応じてもらえない住宅ローンのモラトリアム」というもので、これは最初から目いっぱいのローンを組んでいる人には適用が難しいのではないかと思っていたもので、記事にあるようなケースで、住宅ローン返済猶予といっても、当初契約で完済年齢が70歳(35歳のときに35年ローンを組んだ場合)の人で、それが80歳に延びるというのはどうかと思う。

それこそ一生涯を債務奴隷として捧げる人生というのが私に言わせれば???という感じを抱かざるを得ない。

何しろ、日本の住宅ローン債務者が、その返済がきつくなっても自己破産などの法的整理でもしない限り住宅をなかなか手放せないのは、債務者が無限責任を負うようなリコースローンになっていることが根本的な原因なのだが、これを債務者が担保価値分の責任しか負わずに済むノンリコースローンを主にせよというのは今の経済情勢では不可能に等しい。(日経ビジネス-日本の住宅ローンは世界から見れば変則です

なぜなら、そのようなローンは貸し出し金利に、金融機関側のリスクプレミアムが加わることになるからだ。

そして、もう1つは「返済に行き詰まった住宅ローン救済法」というものだ。
住宅金融支援機構の「中小企業金融円滑化法の施行をふまえた取組体制の強化等について」によれば、「住宅に入居いただいた後に、所得の低下によって返済が困難となった場合に所得が回復するまでの間融資住宅を賃貸し、その賃料収入により返済を継続することも可能となります。」とある。

真に困窮している人は記事にあるAさんのように検討すべきだろう。
もし、そんなことをしても大して負担が変わらないとしても、意識しないうちに「投資」というカテゴリーの実地演習をすることになるからやる価値はあるのではないか。

その結果、将来の家計情勢に光明が見えてくるならば、それはとても良いことのように思える。
もっとも持ち家が立地条件の悪いところにあるのなら、この制度を利用することも困難かと思うが・・・

ちなみに、この制度の利用条件は、所得の低下によって返済が困難になったことだけになっているようだ。
今の経済情勢を考えれば、公務員と一部の独占的上場企業(電力、ガス、電鉄会社など)の社員以外は、たいていの住宅ローン債務者が該当するのではなかろうか。

従って、真に返済に困窮してから考えるよりは、住宅ローンを組む段階で、経済や投資の勉強を兼ねると思って、この制度を検討するといいと思う。
頭の回転の早い人なら、これらを読んで違うことを考えているとは思うが、それはね・・・

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返済に行き詰まった住宅ローン救済法 (2010.3.23 日刊ゲンダイ by ライフカウンセラー・紀平正幸)

収入がガクンと減って住宅ローン困窮者が増えている。
このためマイホームを手放す人が後を絶たない。
こうした状況を踏まえ、今年から中小企業金融円滑化法が施行されて住宅ローン利用者のセーフティーネットができた。

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)でローンを組んでいる人は自宅を貸して得た家賃収入でローンを返してもよいことになった。
従来は原則認められなかった。
また、貸すにあたって事前に住宅金融支援機構に承諾を得なくてもよく、住所変更届の提出だけでOK。

この制度を活用して窮地を乗り切ったAさんのケースを紹介しよう。
Aさんは2年前に念願のマイホームを買い、住宅ローン3000万円を年利3%、返済期間30年で融資を受けた。
返済額は毎月9万7000円、年2回のボーナス月が各28万円。

ところが、昨年暮れボーナス支給はなくなり、給料も減ったため返済に行き詰まった。
そこでAさんは、まず住宅金融支援機構に「返済条件の変更」を申し出て、ボーナス返済をやめて毎月返済だけにした。
変更手数料は5150円、変更後の返済額は月12万6000円に。

次に不動産屋を介して今の住まいを13万円で貸し、少し不便な中古賃貸住宅に引っ越した。
毎月の家賃は8万円。
その結果、家賃収入からローン返済と住み替えた家賃を支払って毎月7万6000円の負担になった。
すなわち毎月の返済は約2万円少なくなったのだ。
Aさんは、マイホームを失うよりましだと考えている。

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ほとんど応じてもらえない住宅ローンのモラトリアム (2010.3.2 日刊ゲンダイ by ライフカウンセラー・紀平正幸)

景気悪化に伴う給与やボーナスカットで、住宅ローン返済が困難になっている人が増えているという。
こうした状況に対応するため昨年12月初旬に施行されたのが“モラトリアム法”といわれる「中小企業金融円滑化法」。

同法では住宅ローン債務者から要請があれば金融機関にローン条件を変更する努力義務を課すとともに、条件変更に応じた件数や金額の開示を求めている。
銀行は、主に返済期間を延ばして毎月の返済額を減らす、あるいは返済期間はそのままにして、一定期間、毎月の返済額を減らすといった対応をしている。

たとえば、3年前に2000万円を金利3%で35年返済で借り、毎月の返済額が7万6970円のケースで2つの“救済対応”を見てみよう。
返済期間を10年間延ばして毎月の返済額を減らす条件変更では、返済額が6万9842円になって7128円少なくなる。

ただし、返済期間が延びることで、総返済額は564万円も増えてしまう。
一方、返済期間は変えずに4年目から3年間、毎月の返済額を5万円に引き下げてもらうと、7年目以降の返済額は8万1436円となり、当初の返済より4466円増え、総返済額も58万円アップする。

どちらにしろ対応を受けても総返済額が増えるので、単なる破綻の先延ばしに過ぎない。
昨年12月末時点での対応状況を見ても大手銀行が条件変更に応じたのは1割以下。
しかも来年3月にこの法律は消滅する。
これでは住宅ローン返済に困っている人は救済できない。

大手銀行の住宅ローン返済猶予への対応状況
(2009年12月末現在)
銀行名 申込件数 実行件数 拒否件数
みずほ 567 50 1
三井住友 835 19 0
三菱東京UFJ 1,878 2 9
りそな 518 38 8
合計 3,798 109 18

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