確定申告の時期を迎えて平成21年分から適用になる配当所得と株式譲渡損失との損益通算に関して調べてみた。(2010年3月号 ダイヤモンドZAI)
先月、私のところに中央三井信託銀行から「配当金支払い明細書」なるものが送られてきて、それを確定申告の際に添付してくれと書かれてあったのだが、日本株のものであり、額も微々たるものだったので、気にも留めてなかったのだ。
そして、申告の時期を迎えたのだが、海外株式の配当のことなどすっかり忘れていて、ワールドインベスターズのメンバーが、中田たろう氏が「海外ETFの分配金と譲渡損失の損益通算」と「外国税額控除」というコラムを書いていることを教えてくれたので、国内証券の配当のことだけでなく、海外証券の配当のことも含めて、あらためて調べてみた。
詳しいことは法的根拠も含めて同じ題名のエッセイで掲載したが、内容的には中田氏のコラムで書かれていることと相違なく、このたびの調査でわかった主な点は
- 配当所得を申告するときは総合課税か分離課税のいずれかで統一しなければならず、海外の証券会社で買った株式等の配当も例外ではない。
- 配当所得を分離課税で申告するときは、配当控除は受けられないが、外国税額控除は受けられる。
- 配当所得の申告に際して分離課税を選択した場合の、損益通算及び繰越控除の規定について、海外の証券会社で買った株式が適用されないという規定は存在しない。(株式譲渡所得に際して租税特別措置法第37条の12の2の特例条文を適用する場合は、「金融商品取引法第2条第9項に規定する金融商品取引業者への売委託」という縛りが明確に存在する)
したがって、外国株式等の配当所得の株式譲渡損失との損益通算と外国税額控除は併用可能ということになる。
ちなみに、分離課税による配当所得の申告額が、同じ年に生じた株式譲渡損失の額を超えると、その超えた分が「合計所得金額」に跳ね返るので、源泉徴収された税金の還付額を上回る増税、健康保険料の増となる場合がある。
内国法人(日本国内の業者)を通じて得た配当所得に関しては、配当ごとに申告する、しないを選択できるので、微々たる源泉税の還付を受けるために大きな罠に嵌まらないようにしたい。
特に住民税(地方税)額が増えることによって国民健康保険料(税)にも跳ね返る自営業者などは注意が必要だ。
逆に、専業主婦や遺族年金のみの受給者など、もともと非課税となっている人は、非課税(扶養控除)の限度内で申告することは、むしろ節税になるだろう。
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