私は日刊ゲンダイの記事を読んだときわが目を疑った。
外務官僚ともあろうものが国際共通語である英語は最低でもできると信じられていたからだ。
その信頼がにわかに怪しくなったのは2002年5月8日に起きた中国・藩陽の日本総領事館で起きた北朝鮮亡命者連行事件のときだ。
亡命者が手渡した英文の書類を領事館員が読めない、とか言ったと伝えられたときから私はまさかという疑念を抱いていた。
小泉首相は郵政民営化のために命を賭けるとか言ったが、ニューズウィークのファリード・ザカリア編集長が外務官僚のことをこき下ろしたという下の記事を読めば改革が必要なのは郵政より外務の方だということは明白だ。
今も昔も対外交渉能力の巧拙は国運を左右するのだ。
近世においてはフランス語、現代においては英語は外交当事者の必須の言語であるはずだ。
それが話せない外交官など何の価値があるというのだ。
むしろ日本にとってスポットライトが当たらない地味な在外公館のスタッフは有能な者もいると聞くが、国際政治を左右するような地位にある外務官僚の能力がここまでこき下ろされたままでいいわけがない。
小泉首相自身が外交音痴だからどうしようもないのだが、それを支える外交官も旅行会社の添乗員レベルの語学力しかないのだとしたら10年後にはそれこそ誰も日本のことを相手にしないだろう。
なぜなら国際政治に影響力のない小国の外交官でさえ、自国をアピールするために英語を駆使しているのが現実だ。
今や日本の近代化と繁栄に尽力した先人の努力が台無しになろうかという瀬戸際なのだ。
外務官僚は英語ができない!ニューズウィーク編集長がボロクソ (2005.12.17 日刊ゲンダイ)
鈴木宗男議員に国会でボロクソにやられている外務省が、またまた、酷評された。
今度はニューズウィーク誌のファリード・ザカリア編集長(国際版)。先週、経団連で行なわれた講演で、日本の外務官僚は英語ができないからダメだと、ばっさり切り捨てたのである。
講演でザカリア編集長はまず、「日本が国連安全保障理事国入りに失敗したのは信じられない。日本は世界第2位の経済大国で毎年100億ドルの援助を拠出している。それなのに、日本の常任理事国入りを支持した国はほとんどなかった。日本は外交が洗練されておらず、稚拙で長期的計画を持たず、世界の仲間入りをしていないからだ」と酷評。
返す刀でこう言った。
「日本の外交官は中国と比較すると、特に45歳以下は実に大きな差がある。中国の外交官は頭が切れ、皆、英語を話し、国際舞台でどう動けばいいかを熟知している。日本の外交官は上下関係にうるさく、官僚的で、非常に静かで英語ができない人が多い。英語は外交とビジネスの共通語だ。その国が世界とどの程度うまくいっているかを物語る。日本が国際社会で正当な地位を得るためにはこうしたことを変えなければならない」外務官僚もここまで言われたら、形無しだろう。
ついでに言うと、現在、来日中の「ユダヤ人と日本人の不思議な関係」の著者、ベン・アミ・シロニー(Ben‐Ami Shillony)前ヘブライ大学教授はこう言っている。「日本は外国に友人を持っておらず、金で友情を買おうとしてきた。国民の税金の大変な無駄遣いだ。これだけの金をつぎこんで得られたのは外国からの敵意だけだ」
外務省は反論できるか?
コメント
日本の外務官僚って本当にそんなにひどいんですか?
まあ、ありえなくもないと思えてしまうところが残念ですが…。
>日本の外務官僚って本当にそんなにひどいんですか?
KUBOKAWAさん、こんばんは
私が知る限り、最近はとくに酷いと聞きますね。
特に国際政治を左右する国に駐在している外交官の方がという話もあるから余計に問題なのでしょう。
ユダヤ人に尊敬された故杉原氏のような人物が出てくることはないのでしょうかね~