地味な党首討論よりパフォーマンスかい

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耳を塞ぐ女性

小泉首相は「郵政民営化」に命をかけているそうだが、彼はその法案作りにどれほど情熱を傾けたのだろうか?

まさか、「公務員はいらないですよね!」と言っている彼が公務員に法案作りを丸投げしたわけではあるまい。

国会答弁は「官製メモ」の棒読みで、突っ込んだ質問をされるとはぐらかしている彼だが、当然の常識として郵政民営化法案ぐらいは自分の目を通していることだろう。

何せ「命を賭けてやる。殺されてもやる」と宣言したくらいなのだから・・・
でも実際はそうではないところが日本の究極の政治家たるゆえんだ。

実際、今日付けの読売新聞でこういう記事があった。

ベテラン奮戦-与野党構わず“なで切り” (2005.9.5 読売新聞)

選挙戦最後の日曜日となる4日、「党の顔」である野党各党の大ベテランも街頭演説やテレビ番組に登場し、熱弁をふるった。
(中略) 小泉首相は4日の昼前、テレビの党首討論番組を突然、途中退席した。首相が向かったのは、東京都北区のJR赤羽駅前。公明党が最重点区と位置づける東京12区の公明党候補の応援に駆けつけたのだ。

「『もっといてくれ』というのを断って、間に合うために出てきたんだよ。申し訳ないけど、テレビよりも大事だと思ってね」
到着後の演説では、選挙戦のパートナーである公明党への気遣いを最大限、アピールして見せた。

「テレビよりも大事」・・・要するに、彼の頭には野党から突っ込まれて答えられるだけのものがないのだ。
全国ネットで中継される日曜のテレビ党首討論と、一選挙区の候補の応援演説とどっちが有権者にとって重要かという物差しは彼にはないのだろう。

私は昼間は働いているので国会中継など見る時間はないが、あれを見た人は一様に呆れていると言う。
外交評論家の天木直人氏(神奈川11区衆議院議員候補)は、その著書「ウラ読みニッポン」の中でこう言う。

2005年1月24日、始まったばかりの国会の代表質問で噴飯物の事件が起こった。衆議院本会議で小泉首相が、イラクへの自衛隊派遣、年金改革問題など九項目に関する岡田民主党代表の再質問に何も答えなかった、というより答えられなかったのだ。

1年前の代表質問のときもそうだった。小泉首相は官僚が用意した答弁を読み上げるだけで、自分の頭で考えて答えることができない。だから岡田党首が再質問しても、いくら議場から野次が飛んでも、バツが悪そうにニヤニヤするだけで全く応じようとしなかった。答弁不能のなのだ。

そういえばわかるだろう。
今回の民主党の1対1の党首討論にも他党に平等でないという理屈をつけて拒否し続けたことが・・・
そんなことをされたら小泉首相自身が困るからだ。

郵政民営化、意義があるとすれば株式の売却益を国庫に入れられるということだろうか。

総選挙で下馬評通りに郵政民営賛成派が勝ち、法案が可決すれば、見た目は改革が進むということで、株式市場もさらに上向きになり、その勢いがついたところで株を放出すれば、国庫が潤う。
いくら郵政民営化に懐疑的な目で見る私でもそうしたメリットは十分にあると思う。

NTT株、6日最後の売却…政府保有は33.7%へ (2005.9.5 読売新聞)

政府は5日、保有するNTT株のうち、112万3043株をNTTに売却すると発表した。
NTTが6日午前中に行う自己株買いに応じる。これにより、NTTへの政府の出資比率は、40.8%から33.7%に低下する。

国債の償還に充てるための国債整理基金特別会計で保有していたNTT株はすべて放出され、19年前に始まったNTT株売却は終了する。
1985年の電電民営化以来、今回を含めた売却収入は総額約14兆4800億円にのぼる。

しかし、小泉・竹中コンビの言う、公務員の人件費が減るという表向きの理由は、官僚に丸投げした法案であれば、下々の兵隊だけが苦い薬を飲まされるようになっているに違いないだろう。

事実、一部の週刊誌では、民営化される郵貯の役員はキャリア公務員の再就職先に・・・という記事が載っていた。
当たり前だ。役員を選出する株主総会を牛耳るのは官僚なんだから・・・

従って私は「重要なのは、郵政民営化のスケジュールの中で、少なくとも政府保有の株式の市場への売却の道筋であり、株式会社の生命線は株主構成であり、それが100%政府所有であれば、今とほとんど変わらない」と言っているのだ。

NTT株は明日、最後の売却が行なわれるらしいが、その後でさえ3分の1以上をギリギリで政府が保有する。
言い換えれば、政府以外の株主が商法上の特別決議(第343条)を要する総会議案(定款の変更など)を可決することはできないということだ。

民営化によって経営の自由度が増すというという人もいたが、NTTでさえこの有様だ。
果たして郵政はどうなるのか?

私は今週末から旅行に出るため期日前投票をしたが、これをご覧になっている方が郵政民営賛成派議員を選ぶということであれば、これらのことがきちっと行なわれるかどうかも監視して欲しいと思う。
それが有権者の最低限の義務でもあるからだ。

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