専業主婦 vs. working women

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苦悩する女性

今、サラリーマン増税と揶揄される政府税制調査会の税制改正論議の中で配偶者控除の縮小・廃止も議題となっている。

これに関して2005年5月27日の基礎問題小委員会で、専業主婦を侮辱したとかいうことで、テレビのワイドショーが批判しているという。

ワイドショーの主な視聴者は言わずと知れた専業主婦と老人だ。
一般の報道番組である、昨日の日本テレビの「ブロードキャスター」でも少し触れていたが、専業主婦のインタービューだけを放映し、問題視していた。

街角インタビューであれば、女性は専業主婦だけとは限らないと思うが、テレビ番組は有力な視聴者である彼女たちの支持を失えば「お取り潰し」になることから作為的にこうした傾向のニュースを流すことが多い。

こういうものは、男女それぞれインタビューしたものを流すべきだと思うのは私だけではあるまい。
ところで、その発言に関する記事だが、

政府税調 配偶者控除議論 委員の発言波紋 (2005.7.21 産経新聞)

政府税制調査会(首相の諮問機関)の配偶者控除の存廃をめぐる議論の中で、複数の委員が専業主婦を侮辱したと受け取れる発言をしていたことが議事録で分かり、波紋を広げている。

政府税調の事務局を務める財務省では「議事録を公開することで、税制改正論議の透明性を高めている」としているが、配偶者控除の廃止論議は賛否が分かれており、委員の発言は今後の改正論議にも影響しそうだ。

“侮辱発言”が明らかになったのは、「サラリーマン増税」と批判された個人所得課税改革の論点整理に向けて行われた5月27日の基礎問題小委員会の議事録。

議事録では配偶者控除の存廃をめぐり、ある委員が「働く女の人は(人生に)前向きで、子供を産みたい。働かないで家でごろごろしている主婦が子供を産まないんです」としたうえで、「いまパラサイト・ワイフというのができてきた。つまり、生命力のない人たちがたくさん生じていて、お金を持ってぶらぶらしているんですよ」と発言した。

別の委員も「働いている女性の方がちゃんとご飯を作るというデータもあるんです。専業主婦で時間がいっぱいある人こそ、コンビニで買ってきて発泡スチロールで食べさせちゃうというのが多いんです」と追随した。

こうした発言を民放のワイドショーなどが放送し、20日の参院の郵政民営化審議でも、民主党議員が質問の中で問題視した。
基礎問題小委員会は、学識経験者やエコノミストら女性3人を含む計26人で構成され、税制改正の実質的な審議を行っている。

議事録について財務省は「個人攻撃などの発言は委員の了解を得て手直しするが、審議の透明性を優先し、発言内容は原則そのまま公開している」と強調している。
委員同士の真剣な意見の応酬は大切だが、専業主婦への配慮が欠けた点は否めず、今後も尾を引きそうだ。

確かに侮辱的な発言と言えなくもない。
ところが、それに焦点を当てて批判をしていると、肝心なところが見えてこない。

これらの発言は、必ずしも男尊女卑から出ているものではなさそうだし、これに対する3人の女性の委員(ジャーナリストの大宅映子さん、日本総合研究所主席研究員の翁百合さん、世界銀行エコノミストの竹内佐和子さん)がどう反論したのかというのがまるで報道されてない。

もし、侮辱的と思えたのなら、そういう反論が議事録に載るなり、メディアに伝わるなりしてもいいはずだと思ったのは私だけだろうか。
また、一連の報道で欠けているのは「働く女性」が現行の専業主婦優遇のシステムをどう思っているのか、ということだ。

産経新聞のサラリーマン増税に関する特集の記事を読むと、

配偶者控除をめぐっては、平成16年1月から配偶者控除と合わせて最大76万円の控除が受けられた配偶者特別控除が縮小されたばかりであり、専業主婦世帯の負担増は大きい。だが、配偶者控除に対する批判は、同じ女性の立場から強いのも事実だ。

配偶者特別控除の見直しが焦点となった3年前、民放がこの問題を取り上げて財務省の「増税」路線を批判した。

すると、その放送局のホームページには、主に働く女性から「専業主婦世帯を優遇する配偶者控除の廃止は当然」とする意見が殺到した。

財務省主税局幹部は当時について「予想外の反響で驚いた」と振り返る。こうした意見がその後の配偶者特別控除の縮小や、今回の配偶者控除の見直し方針につながっている。

とある。
要するに、「働く女性」が不満に思っているのは国民年金だけではなかったということらしい。

つまり、サラリーマンの妻(第3号被保険者)の年金の掛け金は一律に無料(被用者年金の加入者、要はサラリーマンとOLが専業主婦の年金も負担する制度)ということに、今までも「働く女性」の不満は爆発しているのだが、税制に関してもこれほどとは、と財務省は思ったことだろう。

ちなみに、今年の4月から第3号被保険者の特例届出というのが実施されていて、これを決めた人たちは、年金財政が苦しいというのに無料加入者の大盤振る舞いをしていては、どんなに政治家や社会保険庁の職員がクリーンでも立ち行かなくなると思わないのだろうか?

それでいて「専業主婦はタダで(年金に)加入できてありがたい」とは露ほども思ってないとは、反専業主婦の作家、石原理沙さんの弁だ。

彼女曰く、「自分が好きで扶養されているのに偉そうにするな!貴方が税金や年金を払わない分、ほかの人が払っているんだ。旦那が税金をたっぷり払っていると威張っているが、それは旦那が偉いのであって貴方ではない。」と手厳しい。
実はこういう思いは公務員の若い女性の間でも根強いようだ。

要するに「自分も他人が払った税金の恩恵を受けてるくせに、よくそれだけ人(公務員)のことを言えるわね」という具合だ。

これらは、女性間の冷たい戦争とも言えなくもないが、既婚女性が専業主婦(企業戦士の銃後の守り)になるのが当たり前の時代から、夫婦共稼ぎが当たり前の時代へ変わる中で、すべての企業経営者とサラリーマン世帯が意識の変革を迫られているのだ。(Newsweek Japan 1999.2.24 PDF

既婚女性が働くことはもちろん、副業や投資をするのでさえ当たり前、そういう意識を夫婦ともに持たないといけない時代になってきている
もちろん資産家でもない家の夫婦が配偶者控除の枠なんか気にするようでは家計はジリ貧の憂き目にあう可能性が高い。

隣の芝生の青さを妬んで職場や主婦仲間で愚痴をこぼし、役所に嫌味を言う毎日なんてばかげていると思わないか。
今後、どんなに政治家や公務員がクリーンになり汚職が撲滅されようとも、少子高齢化となる中で、少数のサラリーマンとOLだけで専業主婦のみならず、フリーターやニートの子どもまでをも養い続けることなど不可能なのだ。

東京は今まで世界一物価が高いと言われ、それは今でも変わらない。
それが何でかというと、巷で言われる政府の規制のみならず、実は、大企業のサラリーマンが専業主婦である妻の生活費と、大学進学までの子どもの教育費、そして高額の住宅ローンを払ってなおかつ余裕のある生活ができる賃金水準を維持できるような価格設定がされていたからだ。

言い換えれば、東京の物価が世界一高くなければ、女性が数十年単位で仕事もせずに扶養され続け、しかも高額な消費をすることは論理的に困難とも言えるのだ。

従って、専業主婦が節約と称して100円ショップに出入りすることは、結果として、自分たち夫婦のクビを締めることになっているとも言える。
今、中国やインド、東南アジアの台頭でこのような消費経済モデルは崩壊しつつある。

そういった意味で、エコノミストの森永卓郎氏は言う。
「持家、専業主婦、子どもは現代の3大不良資産」と・・・
そう、私に言わせれば、子どもがこれに入っていることは非常に抵抗があるが、現実には、これがより少子化を加速させる原因ともなっている。

厚生労働省やマスコミがいう、モデル家族(サラリーマン、専業主婦、子2人)は今や跡形もなく崩壊しようとしている。

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