個別株より投資信託がリスクが低いなんて嘘?

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相談する女性

今年4月1日からペイオフ(refund cap)が全面解禁となった。

これに先立ち、銀行などの各金融機関や証券会社からは様々な投資商品の売込みが盛んに行なわれている。私のところにもそういった電話があったのだが、基本的には「投資信託」の売り込みである。

そして、マネー雑誌や窓口のファイナンシャルプランナーが推奨する商品は、株よりも投資信託、その中でも債券を多く組入れたものを薦める傾向が強い。

なぜだろうか?これは単に日本人のリスク嫌いを考慮した商品販売戦略でしかないからだ。それと以下の新聞記事にもあるように日本の金融機関が抱える事情から投資信託を薦める傾向があるとも言える。

銀行、証券、保険の業態の垣根を低くする金融制度改革で、銀行に投資信託の販売を先立って解禁(1998年12月)したのは、そういう目論見があったのではないかという憶測も成り立つくらいだ。

私も投資というものを初めてやったときは、外貨預金と投資信託から手を出した。しかしながら、あるときにメリルリンチ日本証券(1998年夏から2003年夏までは個人営業部門があった)の店頭でこう質問した。

「投資信託は複数の株や債券を売買しながら運用するものでしょう。それならパフォーマンス(成績)のいい投資信託を選んで、その上位組入れ銘柄(株)をそのまま買った方が儲かるでしょう。」と・・・
当然ながら店頭の女性の答えはYESだった。

別の証券会社で塩漬けになった投資信託について聞いたときもこういう答えが帰ってきた。

「買値の半分になったような投資信託は切り捨てて、個別株を買ってみては?投資信託は右肩上がりの好調相場でないとなかなか儲からないものよ。それに半値になった投資信託の基準価格が元に戻るにはすごく時間がかかるし、その前に償還されることもあるのよ」と・・・

いかがだろうか。
世間でいう「個別株より投資信託がリスクが低い」という常識がいかに間違いかということがよくわかっただろう。

そもそも私の経験上、日本の投信会社の売る投資信託の目論見書には絶対的に欠けている情報がある。外資系の証券会社の投資信託(ファンド)の目論見書を見ると一目瞭然なのだが、特に設定から日が浅い投資信託の場合、上位組入銘柄というものが明示されてないことが多いのだ。

これは主に、株式を組入れている投資信託(ファンド)の場合に、どういった株や債券を、どれくらい買っているかを示したものだ。
もちろん、これは証券会社などに聞けば教えてくれるのだが、投資の初級者にそこまでの知識を求めるのは酷だし、事実、私もしばらくの間、そんなことはしなかったのだ。

つまり、この情報がなければ、自分の買ったファンドがこれから上がるのかどうかという推測すらできないのだ。

例えば、「東証一部上場の株式の中からファンダメンタルズで優れていると考えられる企業の株式に投資。」とだけしか書かれていなかったら、これはファンドマネージャーに対する盲従と同じだろう。

それでは、投資信託に組入れられている債券や株式がわかったとしたら、どうなるか?株に関してはインターネットで即座に情報がわかる。債券に関しては難しいが、少なくとも今は外国債が組入れられているものがほとんどだから、その国の為替と公定歩合(金利)から近未来を予測するしかない。

つまり、こういうことができるなら、その人はすでに初級者ではないのだ。
では、初級者はどうすればいいのか?
私に言わせれば、為替のリスクしか負いたくないのであれば、外貨預金(外貨MMFへの投資を含む)をするか、外国債そのものを買うか、ある程度リスクを負えるのであれば個別株を買うか。

いずれにしろ「他人(ファンドマネージャー)任せ」になる投資信託は薦められない。つまり、投資信託こそ個別株や債券投資の経験がある人が買うべき商品だと思うからだ。

最後に、情報公開が著しく悪い投資信託、つまり店頭や電話で聞いても満足な情報が得られないものは、当然ながら買うべきではない。

たぶん、そういう商品は、金融機関の不良債権処理や、赤字補填のためのタネ銭集めに使われていると思った方がいいだろう。

投資信託の(販売会社にとっての)最大の利点は、パフォーマンス(成績)が他の会社の類似商品と比べて悪かったとしても、「それがリスクの1つ」といういい訳が常にできるからだ。

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株式新聞-晴雨曇(2005.4.28)

時代の革命-この言葉は、こと、日本の投信業界には程遠いようだ。
ある関係者がいう。「信託報酬(投信の年間コスト)の大半が不明瞭な使途に向けられ、本来、販売会社による顧客へのサービスや、運用者に対する運用費用に充てられていない」。

現在の投信会社は投信、年金双方を運用している会社がほとんどで、一部では、投信の信託報酬が事実上、年金の赤字補填に向けられているケースもあるという。

急拡大した銀行窓販にも危険はちらつく。
ある銀行では、事実上、不良債権処理のため投信を積極販売した、とのうわさがもっぱらだ。

預金保険料を合わせれば0.1%のコストになる預金に対し、信託報酬で年1%強、販売手数料で約3%が徴収できる投信の妙味は確かに大きい。
ただ、勢い余って、かつての証券会社さながらのノルマ販売に至っているとの観測もある。

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