国債の海外販売促進が意味するもの

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投資のイメージ

2003年から売り出された個人向け国債が相変わらずの人気らしい。

私は「財務省の言うケタ違いの金利(第三回債の募集時の金利0.05%が、第四回債のときは0.77%)」には全く興味がないので、これを買うつもりは全くないが、定年退職したサラリーマンや高齢者の資産運用先として好評を博していると報じられている。

それで、以下の記事を読んでどう思うかというのが今日のテーマなのだが、日本の機関投資家が日本の国債を買うのと違い、外国の機関投資家がそれを買うのはどういうメリットがあるのか考えてみるといい。

実際、私が外国債を買うときに一番気にするのは、第一に投資対象国の通貨が今後上がる余地があるかで、金利は二の次だ。
つまり、記事にある「低金利の日本国債も、世界中で分散投資をする大口投資家には魅力があるという。」というのは、ピークにある円ポンド相場が円高に振れる可能性が高い、また円高米ドル安は依然として続く、というように海外投資家は見ていると言える。

ちなみに、もし、貴方が証券会社で外国債を買おうとしているとき、証券マンが「高金利」を第一の魅力に上げるなら信用しない方がいいだろう。
信用できるに値する営業マンは「為替が円安に振れると予想されるから投資価値がある」というはずだ。

要するに、日本の財務当局が海外で国債を順調に売りさばくためには、為替が円高に振れても今までのように日本の輸出企業に配慮した露骨な円安誘導(政府の巨額為替介入)はしにくくなると言える。

なぜなら、国債を買わせた海外投資家に為替差損を意図的に強いることをすれば、そんな詐欺みたいな商品を買う人は誰もいなくなるからだ。

そうなると、世界に冠たるトヨタやキャノン、ソニーやホンダのような日本のリーディングカンパニーは円高に苦しみ、ゾンビ企業や腐れ政治家の懐を潤すために国債を乱発し続けるという悪夢のようなシナリオが続くことになりはしないか。

エネルギーや食料の大半を輸入し、また衣料などの日用品もほとんどが中国からの輸入に頼るようになった日本の消費者にとって、円高は大きなメリットだ。

しかしながら行過ぎた円高は、輸出企業の業績を悪化させ、引いては日本の経済を失速させ、失業者をますます増加させる結果になるというのも周知の事実だ。
本来なら円高を歓迎すべき一般消費者でさえ、投資のポートフォリオに外国債や外貨預金を加えた結果、円安を喜ぶようになり始めている。

しかし、ここにきて政府は今までの円安誘導政策を捨てようとしているようにも見える。
つまり腐れ政治家の献金先を助けるために、日本のリーディングカンパニーと、外貨建て投資にポートフォリオをシフトし始めた家計は見殺しにされるかもしれないということだ。

国債募集引き受けシンジケート団による「国債の強制引き受け」をやめるということは、もはや日系金融機関に国債を買うだけの余力がなくなってきていることを意味しているとも言える。

つまり、それを補わせるのが個人向け国債であり、海外販売促進の意図するところだ。
もはや、日本の国債発行残高は家計でいえばとっくに破産宣告を受けているべき数値だ。
将来、日本政府はあなたが貸した金を返して(国債を現金で償還)してくれるだろうか。

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国債募集引き受けシンジケート団、2006年度廃止へ (2005.1.10 読売新聞)

財務省は、機関投資家に国債を強制的に購入させる「シンジケート団(国債募集引受団)制度」を2006年度中に廃止する方針を明らかにした。
廃止は同制度創設以来40年ぶりとなる。

昨年10月に始まった国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)制度による国債の入札が順調に機能しているため、同制度に全面的に移行する。
シ団制度は1966年に始まり、現在は銀行や証券会社などの機関投資家1200社が引受団を構成している。

現在は毎月行われる新発10年物国債入札にあわせ、一部を決まった割合で引き受けており、6日の新発10年物国債(第266回債、表面利率年1.4%)でも1兆9000億円の発行予定額の15%にあたる約2851億円を引き受けた。
今年4月からは引き受けの割合を10%にまで引き下げる。

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海外に国債売り込め 財務省、英米で説明会へ (2005.1.9 朝日新聞)

国債保有者の各国比較

財務省は、外国人に国債の保有を促す施策に本腰を入れる。
今月に欧米で海外投資家向けの説明会を初めて開き、購入手続きも4月から大幅に簡素化する。

日本国債を保有する外国人の割合はまだ4%程度。
今後の大量発行時代を乗り切るためには、国内投資家だけでは不安なため、保有者層を厚くする狙いだ。

海外向け説明会は、18日にロンドン、20日にニューヨークで開く。
現地の機関投資家がそれぞれ200人以上参加する見込みで、財務省幹部が日本の景気動向や財政政策を説明し、投資を促す。
アジア諸国やドイツなどでの開催も検討中だ。

4月からは、海外の投資家が国債購入で非課税措置を受けるために出す提出書類を統一するなど手続きを簡単にし、人気の高い物価連動債も購入できるようにする。

日本の国債保有者は政府と金融機関が大半を占め、海外は4%。
一方、欧米各国の国債の海外保有比率は、米国やドイツでほぼ4割を占めるなど高い。
手続きが面倒などの理由で、日本の低率が際だっている。

国債発行は、1990年代後半の景気対策で発行した国債の大量償還に伴う借り換え債だけで、2005年度は103兆円。
2008年度には134兆円まで増え、その後も130兆円以上の発行が続く見通しだ。
大量の国債を売りさばくには、「海外と個人の開拓が不可欠」(理財局)という。

低金利の日本国債も、世界中で分散投資をする大口投資家には魅力があるという。
クレディスイスファーストボストン証券の河野研郎・債券ストラテジストは「日本と違った視点で売買する外国人の投資家を増やせば、金利安定などプラス要素が多い」とみる。

ただ、2005年度末の国と地方を合わせた債務残高は774兆円の見通しで、財政運営に対する海外投資家の信認を維持できるかが課題になる。

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