NPO理事長逮捕で遅々として進まぬ民事訴訟

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東京弁護士会

2022年(令和4年)12月7日、私は弁護士を立てて、NPO法人 難病患者支援の会(代表理事、菊池仁達)を相手取り、海外腎移植費用返還請求訴訟を提起した。
これに先立ってNPOに返金を求める内容証明を送付しても、誠実なる回答が得られなかったからだ。

彼は、2022年8月12日付で、自身のウェブサイト上で「当法人に対する一連の報道について」として、私と同時期にキルギスへ渡航した男性患者(Cさんと称している)へ一部返金をしたと公表していたため、最終的には和解交渉になるのではないかと思われた。

なお、Cさんからは、当法人が預かった費用2170万円を超過する多額の賠償金の支払を求められています。
そして、その支払がなされない場合には、マスコミ等へ相談をすると連絡がありました。

当法人としては、賠償金の支払いには応じられないことをお伝えし、預かった費用から検査料及び登録料並びに当法人が要した費用を控除した残金1369万円はCさんにご返金をしております。

私の訴訟提起のことは、2023年1月29日付の読売新聞でも「臓器売買疑惑、患者が移植仲介NPOを提訴…費用返還など3000万円支払い求める」と報じられたのだが、NPOの代表理事、菊池仁達氏の逮捕は、「NPO難病患者支援の会理事長逮捕で完全に頓挫した海外腎移植の目論見」のみならず、私の民事訴訟にも大きな影響を及ぼした。

ノートパソコンとタブレット

ところで、私も当事者になるまで知らなかったのだが、今の民事訴訟は2022年5月17日付の朝日新聞が「民事裁判も離婚調停もオンラインで 全面IT化の改正法が成立へ」と報じているように、当事者同士が裁判所に出向くのでなく、弁護士事務所にいて、オンライン(非公開)でやり取りするようになったようだ。

手続き面では、双方が同意すれば6カ月以内に審理を終え、その後1カ月で判決を出す制度ができる。双方が争った訴訟の地裁審理は平均13.9カ月(20年)かかっており、スピード決着で使い勝手を高める。

とあるようだが、被告(NPO理事長、菊池仁達)が刑事事件容疑者として、収監されたままなので、被告代理人曰く、刑事事件の打ち合わせが優先となり、民事訴訟の方はどうしても後回しになるらしい。

私の友人に言わせれば、代表者が逮捕されても、法人なのだから他に権限を持った人はいないのかということなのだが、非常に残念なことに、かのNPOは菊池仁達氏の個人事業のようなものになっており、被告の代理として出廷してくる人は弁護士だけなのだ。

JR横浜駅

それゆえ、審理は1カ月に1回が限界という状態で・・・

  1. 2023年2月1日 お互いの顔合わせ程度のやり取り
  2. 2023年2月20日 NPO理事長、菊池仁達氏逮捕(2月9日)を受けた今後の進捗について
  3. 2023年3月24日 原告(私)の訴状に対する被告(NPO)の認否をするように催促
  4. 2023年4月17日 被告側の準備書面1(訴状の認否)を受けて
  5. 2023年5月19日 原告側の準備書面1(被告側への反論)を受けて、被告側からは次回期日延期の上申書の提出あり

とりあえず、今はここまで・・・であと何回やればいいのやら(苦笑)

まあ、表題には「NPO理事長逮捕で遅々として進まぬ民事訴訟」と書いたのだが、彼が逮捕されていなくとも、民事訴訟の審理のスピードはこんなものなのだろうか。

ちなみに、菊池仁達氏が逮捕前に私の弁護士に語ったところによれば、彼(NPO)を相手取った民事訴訟が提起されたのは初めてだそうだ。
私にも取材したノンフィクションライターの高橋幸春氏曰く

ブローカーは、先を読んでいて、亡くなったとしても訴訟にはならないというか、すれば患者の方も失うものがあるのを十分わかっています。だから強気なのです。

臓器移植法は、臓器売買をして、海外であっても売った方も買った方も処罰の対象になります。
下手をすれば、ブローカー逮捕は、自分の逮捕にもつながります。

とのことらしい。

それに加え、海外臓器移植へ踏み出そうという人は、それなりの社会的地位や財産がある人も多い。
それゆえに、最悪の結末(死亡)が訪れても訴訟にまで踏み切る人はいなかったのであろう。

最後になるが、明日(5月23日)の19時30分からNHKのクローズアップ現代で「追跡“臓器あっせん事件” 知られざる渡航移植の実態」が放映される予定だ。
興味のある方は是非に・・・(私は出演しないけど)

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