2022年9月23日付のトラベルボイスは「岸田首相、訪日ビザ免除と入国者数上限の撤廃を正式表明、インバウンド個人旅行を本格解禁、10月11日から」と報じ、岸田首相は、国際間の行き来をコロナ禍前の状態に戻すことを表明した。
旅行業界や観光業界などは歓迎の意向を示しているが、果たして彼らの思惑通りにインバウンド需要は回復するのだろうか。
私が6月に実施されたモニターツアーの様子をテレビで見た限りでは、そのカギは日本政府が強調する新型コロナ感染対策(マスク着用)にあると感じた。
モニターツアーの感想を述べた外国人観光客の「感染対策(マスク着用)を緩和しろ」という声を無視したような政策を続ける日本政府、果たして、行く先々で「マスク、マスク」と言われる国に、どのくらい外国人が来てくれるのだろうか。
安倍元首相の国葬で外国要人にマスクを強要するインパクト
9月22日付の東京新聞は「国葬参列の海外要人にマスク要請 217カ国・機関から来日」の記事で、
松野博一官房長官は22日の記者会見で、安倍晋三元首相の国葬への参列者に対し、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、海外要人を含めてマスクの着用を求める考えを示した。
と報じた。
愚かなことだと思う。
安倍元首相の国葬で来日する外国要人に対する接遇を機に、愚劣なマスク強要文化の一掃を図るのでなく、マスク真理帝国の一層の強化を目論んでいるとは愚かの極みだ。
日本人は私のような考えを持つのでなく、俺たちもやらされている(酷暑の屋外マスク!自ら喜んでやってるんだろ!)から外国要人と言えども例外にすべきでないというバカげた発想を持つ者が多いからなおさらだ。
安倍元首相の国葬が国際的にどれだけのニュースバリューを持つかわからないが、日本政府のインバウンド本格再開と合わせて報じられる可能性は高い。
そのときに、外国要人のマスク姿の葬列とともに、街中では寸分違わずマスク姿の日本人の姿が報じられれば、誰が日本ではマスク着用が任意だと思うだろうか。
私が外国人なら、日本は当分の間、観光旅行先から外すだろう。
理由は、マスク(mass=大衆 苦)を実質的に強要されるからだ。
気色悪いマスクゾンビの行列でオ・モ・テ・ナ・シはやめるべきだ
法的に義務付けられているわけでもないのに、酷暑の屋外でもマスクを付けている日本人は、それが集団になると、どれだけの薄気味悪さを与えているか考えたこともないのだろう。
コロナ禍前の花粉症の季節のように、マスクの着用が完全に任意かつ理由があれば、そんなことは感じない。
しかし、今はどうだ?
ほとんどの人は酷暑の屋外でマスクを付けている理由など答えられない。
傍から見ればカルト宗教の信者か犯罪者の集団にしか見えない。
だから、私は彼らのことを「マスク真理教徒」と呼んでいるのだ。
2022年8月25日付のプレジデントは、中川淳一郎氏の寄稿として「世界一マスクを着用しているのに、陽性者数は世界最悪…日本人はいいかげん『忖度マスク』をやめるべきだ」という記事を掲載した。
その中で彼は、
「自分たちは感染対策をしない企業・施設・サービスである」と公表する
これだけで間違いなく「快適に、ストレスなく利用したい」と望んでいる客はやってくる。
実にお手軽かつ余計な経費がかからない販促策だ。とりあえず「お客様のマスク着用は自由です」「スタッフは一切着用しません」と宣言するだけでいい。
施設の入り口にこの旨をデカデカと掲示し、ツイッターやインスタグラム、公式ウェブサイトにも明記する。クレームを受けた場合は「当社の方針です」というだけで押し通す。
と書いている。
中川氏だけではない。
少なくとも私はそういった施設を大いに利用し、ブログで宣伝もしよう。
例えば、北海道中川郡本別町にある「ほんべつ循環器内科クリニック」のようにだ。
このクリニックでは、マスク着用について、このように書いている。
来院時のマスク着用について(2022年6月12日変更・更新)
2022年6月1日時点で、世界の中でコロナ感染症に対する特別な対策をしている国は日本と中国だけとなっています。
マスク着用が健康を害し、余計に感染しやすい状態を作り出すという世界の共通認識に従って、「マスク社会」から脱却していくことが急務であると考えます。
現在、当院では診察時にマスクを外すよう全ての患者さまにお願いしています。特別な事情のない限り、診察の妨げになるマスクは外して頂くようお願い致します。
2022年6月12日 院長 藤沢 明徳
マスク着用~世界の共通認識は、事実かもしれない節がある。
それゆえに、世界一マスクを付けている日本人が周回遅れで感染爆発(第7波)などと言っているのだから・・・
しかしながら、今のところ、私の周辺では、相変わらず「マスクはお持ちですか?お付けいただかないとお入りいただけません」というところが少なからず存在する。
マスク皮膚炎を患ってからというもの、マスクを忌避したい私は、当然ながら、そういうところには二度と行かない。
まして、屋外で「マスクをしてくれと言ったらしてくれ」などと、理由の説明もなく狂ったことを言っているところは、いかなる理由があっても論外だ。
さて、日本人の私でも行きたくないと思うところに、マスク文化など無縁な外国人が行きたいと思うだろうか。
もういい加減、「気色悪いマスクゾンビの行列でオ・モ・テ・ナ・シ」など、愚鈍な政策であることを企業は認識すべきなのだ。
ただ、悲しいことに、私が飲食店のアンケートで「令和ニッポンの大罪~マスクできなければ人権なし」のポリシーから「(従業員の)マスク姿はやめろ」と書いても、それがトップの政策に反映した形跡は今のところないのだ。
不気味な旅館業法改正の足音
2022年9月21日付の読売新聞は「マスク着用しない客の宿泊拒否が可能に…旅館業法改正案の全容判明」と報じ、私が9月20日付で書いた「日本のホテルではマスク着用が義務化されるのか」については、旅館業法の改正案が、秋の臨時国会(10月3日召集の予定)に提出されるとあった。
世間的には大した関心を呼ばない法律案だけに、ほかの議事日程に押されて継続審議等にならない限り、法案はそのまま成立する可能性が高い。
そうなると、今までは「お願い」だった新型コロナ対策のマスク着用が、法的に宿泊拒否を伴う事実上の強制に変わる。
為政者たちは「正当な理由なくして」という但し書きがあることを強調するだろうが、そんなものは日本人が大合唱する「マスク、マスク、何でできないんだ、マスク、マスク」の前に無力であることを身に沁みて感じている私は、そんなお題目を全く信用していない。
再掲するが、日本で大多数を占める忖度マスク民は、旅館業法が改正されようが何も気にしないのだろうが、要請というのが強制というのに変わったここ2~3年の歴史を見れば、世界に逆行する「マスク、マスク、何でできないんだ、マスク、マスク」の復活に繋がるのは火を見るよりも明らかなのだ。
そして、ハワイのような南国へ旅行しているのにマスクをしている日本人にはわからないだろうが、ホテルのフロントやビュッフェコーナーに立ち寄るたびに「マスク、マスク」と言われる煩わしさは半端ではない。
その度に「マスクは(健康上の理由で)できません」と言い、肩身の狭い思いをする。
そういった気違いじみた世の中がずっと継続し、おまけに、法案通過後は、反旗を翻せば宿泊拒否に遭うのだ。
それに外国人観光客が耐えられるのか。
これからは涼しい季節になるからマシかもしれないが、酷暑の夏にそれを求められたらイヤになるだろう。
日本すげー
観光庁の統計に訪日外客数の動向というのがある。
平たく言えば、どこの国からの観光客が多いかという統計なのだが、円安と個人旅行客やビザなし渡航再開に伴って、10月以降はV字回復するのが当然とも言える。
果たして、来年の今頃はこの統計がどうなっているのか、しばらく注視していこうと思う。
日本政府がある政策を実施しようというとき、アクセルとブレーキを同時に踏むようなマネはお家芸とはいえ、インバウンドの再開と、マスク強要の両建てとは、大したものだと思う。
中川淳一郎氏は、2022年7月7日付の「日本が滅びる前に『コロナ騒動の終わらせ方』をいい加減本気で考えないか」でこうも書いている。
この夏の日本など「コロナ禍体験ツアー」に参加したい奇特な外国人しか来ないだろう。ツアー旅行の間、常に添乗員に監視され、施設に入ってもマスクの着用を求められる。せっかくのバカンスに誰がこんな国を旅行したいと思うだろうか。
そして、仮に、インバウンド需要が復活すれば、訪日外国人観光客に対応するために、政府や地方自治体、経済界は、在日外国人に対して、低収入(円安のため外貨建てで)、長時間労働、外国語(ここでは日本語)能力に対するリスペクト(賃金増)なし、マスク強要の国で「働いてください」とも言うだろう。
ホントに心から思う。日本すげー
最後に、私の友人の風じさんが、9月20日付で「日本だけが取り残される新型コロナウイルス感染症対策」というコラムを書いている。
国民がマスクをすることだけが対策の日本では全然収束しないだろうな~と心から思うわ。
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