ゴールデンウイークの中日のみどりの日、房総方面の特急の指定席に空席が多かったことから日帰り旅行を決行した。
行き先は、普段はなかなか行けない南房総の仁右衛門島と誕生寺、安房鴨川を拠点に回れるかと思ったら、地方都市の交通機関の不便さで一筋縄ではいかず、なかなか苦労した旅路となった。
ゴールデンウイークでも意外に空席の多かった房総特急
私は当初の予定では、房総半島南部の安房鴨川まで行くつもりはなく、上総一ノ宮あたりで下りて、九十九里の海でも見て帰ろうかと思っていた。
ところが、みどりの窓口が意外にもガラガラで、東京発9時の特急「わかしお3号」に乗れそうなことから南部への旅行を決行した。
何しろ京葉線の東京駅ホームは東海道線のホームから乗り換えると、どこにも寄らなくても10分は余裕でかかる上、私の足では間に合わない可能性があったのだが、20分前に着ける列車(横浜 8:10-8:38 東京)に乗れたので、それならと行くことにしたのだ。
私が取ったのは指定席だったのだが、後方の自由席車両を見た限りでは、相当にガラガラだったので、ゴールデンウイークでも房総方面は空いているのかなと思った。
仁右衛門島(にえもんじま)
南房総鴨川市太海浜の目前に浮かぶ島、その風光明媚なことと、歴史的伝説があることで知られることから、仁右衛門島は多くの観光客を集める観光名所の一つになっている。
コロナ禍の前(2020年)までは、夏のアクティビティに適したところであり、多くの海水浴客やバーベキューをしに来るところとして人気を博していた。
仁右衛門島への乗船場までのアクセスは、自家用車で行くのが最も便利な方法だが、JR安房鴨川駅東口から仁右衛門島入口行きのバス(日東交通 鴨川市内線)で行けるほか、太海駅から歩いて行くこともできる。
私は安房鴨川駅を11時9分に出発するバスに乗れたので、それで仁右衛門島入口まで行くことができた。
乗客は私一人、まあ、地方都市のローカルバスにはよくある光景である。
駐車場(旧太海フラワーセンター)あるいはバス停から乗船場までは徒歩10分程度、島へのボートは8時半から16時半頃まで随時出航することになっている。
乗船時間は5分程度だが、屋外にもかかわらず、マスクの着用を求められる。
「屋外なのに?」と私はごく当たり前の質問をしても、むっとされて、「屋外だろうが何だろうがマスクしてもらうんです」と・・・
多くの日本人は酷暑の屋外でもマスクを付けているから平気なのかもしれないし、観光案内所でも乗船にはマスクが必須だという注意はされないが、夏は熱中症のリスクと背中合わせになることは肝に銘じた方がいいだろう。
ちなみに、私がノーマスクでボート上で写真に写っているのは、写真のための一時的なものだということは言っておきたい。
仁右衛門島のウェブサイトは未だに
島の周囲に広がる海はいつも青く澄んでいて、春には磯遊び、夏には海水浴がオススメです。
そして、四季を通して花々が絶えることなく咲いているので時には歩みを止めて足下に目を向けてみて下さい。
このように書かれているので、夏に子供でも連れて行こうかと思う人がいるだろう。
ところが、島へ渡って初めてこのような張り紙を目にするとショックを受けるかもしれない。
インターネットでは2020年まで海水浴を楽しめたことが個人のブログなどで書かれているので、2021年に夏のアクティビティが禁止になったのだろう。
2022年の夏はどうなるかわからないが、あらためて島主(平野氏)からの布告を掲載しておく。
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策と致しまして、今夏(2021年夏)は以下についても禁止とさせていただきます。
- バーベキュー
- 遊泳(海水浴、ダイビング、シュノーケリング、飛び込み行為等)
- 発熱、風邪の症状の見られる方のご利用
- ご乗船時、マスクの着用にご協力いただけない方
これが2022年の夏も解除されないようだと、残念ながら、リピーターの来訪はないだろう。
仁右衛門島は、観光で見るだけなら一度来れば十分だと思うからだ。
仁右衛門島の受付で観覧料金(大人1,350円 障害者割引850円)を払うと、簡単なガイドブックをくれて、それを見ながら島を回るように案内される。
ここが島主の住居、この島が仁右衛門島と呼ばれているのは、鎌倉時代の初代、平野仁右衛門以来、代々の平野家が居住してことに由来しているとのこと、つまり、仁右衛門島の新型コロナウイルス感染症対策とは、平野家を守るためのものということなのだろう。
順路に従って歩いて行くと、目の前には大海原が見えてくる。
ここまで来れば、煩わしいマスクなど外して、綺麗な空気を吸えばいいのにと思うが、そうしている人は私を含めて数人しかいない。
この景色の前でマスクをする必要がどこにあるのかと思うのだが、大方の日本人はそうは思わないようだ。
テレビなどを見ていると、誰もいないようなところでもマスクをしている人が映されていることがあるが、彼らは何を恐れているのだろうか。
正一位稲荷大明神、源頼朝が安房へ逃れてきたとき、夜襲を避けて身を潜めたという洞窟の中に祀られている神様、ここに来た人は何を祈って帰ったのであろうか。
見晴台から下方を見ると、何人か岩場を歩いている人がいる。
さすがに私の足ではそこまで行くのは困難なので、上から写真を撮るだけにして退散する。
島にいると、港では感じなかった風の強さを感じる。
これでもう少し強風の状態だとボートが出なかった可能性もあるなと思えるほどだ。
仁右衛門島に来て30分、景色も堪能したことだし、そろそろ港に帰還しよう。
コロナ禍前にここを知っていれば、夏に来て、水遊びをしてから帰ったかもしれないが、それも今後はできるかどうか。
私は、仁右衛門島へのボートに乗っていて思い出したのが、2021年1月23日付の「1か月ぶりのフィットネスと新型コロナ対策雑感」を書いたときにプールで見た
安全のため、プールではマスクを着用しないでください。
という張り紙だった。
当時、私は、プールで泳ぐ人のために、そこまでしないといけないかと思ったのだが、ここでは、乗客がボートに乗るときにマスクをさせられるため、強風に煽られてボートが転覆したときに、咄嗟にマスクを外せるかとフト思ったのだ。
せっかく記念写真を撮るのに無粋なマスク姿を何とも思わない人たち、私は暑くて煩わしくて叶わないのに、酷暑の中で何事もないようにマスクを付け続ける人たち、今では彼らが標準的な姿なのだろうか。
安房鴨川から安房小湊へ~渋滞を避けて列車で移動したものの
私が仁右衛門島からボートに乗って帰還したとき、仁右衛門島入口バス停には13時5分発の安房鴨川駅(13時16分)、安房小湊駅(13時42分)経由、誕生寺(13時45分)行きのバスが来るところだった。
誕生寺まで行くのにどうやって行こうかと思案していた私は、これで何も考えずに済むと安堵した。
しかし、5月4日はゴールデンウイーク真っただ中で、人気観光地へ向かう道路は渋滞していたのだ。
鴨川市の人気観光地は、言わずと知れた鴨川シーワールド、ここを抜けないと、いつ目的地に着くかわからないとバスのドライバー氏は言う。
安房鴨川駅で降りて、列車に乗り換えた方がいいのではと思った私は、さっそくバスを下りた。
ところが、列車で安房鴨川から安房小湊へ、そこからバスで誕生寺へ行くというのは想像以上にハードで、安房小湊駅から誕生寺入口へ行くバスが13時42分の次は、14時22分発までないので、先ほどのバスを下りなかった方が良かったのだ。
結局は、安房鴨川で普通列車(安房鴨川 13:28-13:41 安房小湊)に乗り遅れた私は、特急「わかしお14号」(安房鴨川 14:06-14:15 安房小湊)に乗るという無駄をすることになってしまったのだ。
誕生寺
私は、安房鴨川駅で東京行きの特急「わかしお14号」に乗った瞬間に思ったのは、このまま帰ってしまおうかということだった。
それほど疲れていたのだが、南房総の誕生寺に来ることなどそうそうないことに気づいて、予定通り、安房小湊で下車することにした。
安房小湊駅からバス(日東交通 鴨川市内線)に乗り、誕生寺入口で下車した私は、目的地に向かって最後の力を振り絞って歩いた。
そう言えばランチも取っていなかったと思った私は、寺院に向かって行く街道沿いにある食堂に入って食事をした。
誕生寺入口発の帰りのバスが16時18分までなく、寺院にいる時間だけで2時間を潰すのは困難だったので、ちょうど良かったかもしれない。
誕生寺では今年は「日蓮聖人生誕800年記念」ということで、参拝客もそれなりに多く、ゴールデンウイークということも相俟って、境内は思ったより多くの人がいた。
この寺院は、じゃらんの「千葉・パワースポットおすすめ15選!ドライブで行こう!定番から穴場まで」で紹介されていたところの一つで、病気が治るパワースポットと言われているようなので、行こうと思ったのだ。
ここでは御朱印も手書きをしてくれるので、それだけでもなかなかグッドなところだと思う。
今のご時世だと書き置きというところが多いからね。
鯛の浦
誕生寺とセットで観光するにはちょうどいい鯛の浦遊覧船なのだが、4日はあいにくと強風で欠航となってしまった。
私は安房鴨川駅の観光案内所でそれを知っていたのだが、当初はここへ直接来ようと思っていたので、天気が良くても・・・風がね~ということらしい。
夏になれば、海水浴とセットで遊覧船もいいかなと思うのだが、また来る機会があるだろうか。
自家用車がないと、ちょっと交通に難があるんだよね。
帰路は慌ただしく
誕生寺入口を16時18分に出発するバスは安房小湊駅に16時21分に到着する。
普段の日であれば、ここで16時48分発の特急「わかしお18号」に乗り継ぐことになるので、余裕で間に合う時間だったのだが、土日祝日は、16時29分に「新宿わかしお号」が来る予定になっている。
京葉線の東京駅での乗り換えが面倒だなと思っていた私は、先発の列車に乗り込むことにした。
幸いに自由席はゴールデンウイークとは思えぬほどガラガラで、非常に快適な旅路となった。
今回は南房総の仁右衛門島と誕生寺へ行ったのだが、私がリピートするとしたら鯛の浦観光(誕生寺、内浦)の方に軍配が上がるかなと思った。
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