政府も医師会もメディアも、誰も信じられないことが緊急事態

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日本地図とビジネスマン

2021年1月7日、菅義偉首相が、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県に、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を再発令した。(ロイター-緊急事態宣言を再発令、1都3県に1カ月 飲食店の営業短縮など中心

それにもかかわらず、宣言後の3連休(9日~11日)で首都圏の人出が減らなかったことで、12日のNHK News Webは「“3連休人出減らず 不要不急の外出自粛を”西村経済再生相」と報じた。
おそらく、今夜以降のニュースでも宣言再発令前のように「国民の皆様には政府や医師会の要請が届いていないのでしょうか」の大合唱になるに違いない。

緊急事態宣言に際して正当な補償なき罰則規定は憲法第29条違反にならないのか

ひさご

緊急事態宣言が再発令された翌日の8日、私は所用で横浜へ行ったついでに、馴染みの昼飲みの店である「ひさご」へ立ち寄った。
ここは、私が負傷事故に遭う前は、15時から営業開始だったのだが、コロナ禍の今は、ランチ営業も含め、12時から営業している。

コロナ禍前は言うに及ばす、昨年の11月7日に「リハビリ年内終了決定&お祝いに横浜一人飲み」ということで、ここに行ったときは、夕方にもかかわらず、結構賑わっていたのだが、今年の1月8日の夕方に行ったときは、最初の10数分間は、驚くことに、私だけしかいなかった。

これを見て、私は首都圏の飲食店街は壊滅するのではないかと思った。
対象となる1都3県、例えば、黒岩祐治神奈川県知事の要請にある「酒類提供は19時まで、20時閉店の短縮営業、協力金は日額数万円」では営業が成り立たないところが多数だと思うからだ。

それに関して、1月4日付の日刊ゲンダイは「東京都の時短営業『夜8時』前倒し 飲食店軒並み造反の兆し」と報じ、一方で、1月7日付のNHK News WEBは「営業時短要請応じない飲食店 政令改正で公表可能に」と掲載した。

私は正当な補償なき営業自粛要請は、実質的に、憲法第29条第3項に抵触するのではないかと思うのだが、日頃から憲法第9条と自衛隊のことに噛みつく人たちが、まったくの音無しなのはどういうことなのだろうか。

憲法第29条 

  1. 財産権は、これを侵してはならない。
  2. 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
  3. 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

日本人のGo Toは悪者、外国人ビジネスマンはフリーパスの怪

ひさご

2020年6月18日から日本政府は、ビジネス上必要な人材等の出入国について例外的な枠を設置し、対象国・地域との間での双方向の往来を可能にするスキームを構築した。(外務省-国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について 本邦入国/帰国の際に必要な手続・書類等について

これについて、緊急事態宣言の再発令と同時に、外国人ビジネスマンの新規入国も停止させることが検討されていたのが、一転して継続となったことに、行動自粛を求められている国民は反発している。(2021年1月5日 日経新聞-ビジネス目的の11カ国・地域、新規入国の停止浮上 緊急事態宣言踏まえ 2021年1月9日 日経新聞-首相、ビジネス往来は継続『変異種確認でその国は停止』」)

また、1月8日付の産経新聞では「全入国者にPCR検査 緊急事態宣言解除まで水際対策強化」とあるので、今まではどうなっていたのかというと、

ビジネス往来で中長期滞在者が対象の「レジデンストラック」では14日間の待機が必要だが、PCR検査は必要ない。
中国や韓国など4カ国と合意している「ビジネストラック」は出国時のPCR検査のみが義務付けられている。

大丈夫だったのか・・・これで・・・

昨年末にGo Toトラベル事業がさんざん悪者にされ、旅行することが感染源みたいに言われていたが、一方で、訪日外国人はビジネス目的ならフリーパスみたいなものだった感じがするのは私だけなのだろうか。

2020年11月18日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」の中で、「空港検疫での陽性者の国籍別内訳」を公表しているが、6月に日本が11か国とビジネス往来を再開してから外国人の陽性率が飛躍的に増えている。
そして、これは検査をして陽性が判明した人の数であって、免除されている人は入っていない。

11月24日付の日経新聞が、札幌市の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「GoToトラベル、札幌・大阪を除外決定 12月15日まで」と報じたとき、私の頭を過ったのは、2019年7月5日に私が掲載した「少子化と地方の過疎化が続く日本で将来の国防はどうなるのか」の中で紹介した産経新聞の宮本雅史氏が書いた「爆買いされる日本の領土」だった。

その中の一節(P134)にはこう書かれている。

観光ビザで永住権獲得

外国人が、観光ビザで日本に入国し、日本国内で会社を設立したとする。
事業所が確保され、資本金が500万円以上か常勤従業員が2人以上いれば、中長期在留のための「経営・管理ビザ」を取得できる。

また、このビザを一度取得すると、事業内容など実績に応じて、在留期間を1年、3年、5年と更新でき、継続して10年以上在留すると、永住権を申請できる。

コロナ禍の前、北海道では中国資本による不動産買収が盛んに行われていたと宮本氏は言う。

そもそも新型コロナウイルスは武漢肺炎とも呼ばれ、中国が発生源だし、一時期、新型コロナウイルスを封じ込めたという中国政府の発表があったが、それを信じたものはあまりいないだろう。(2020年4月28日 BLOGOS-中国が新型コロナ「封じ込め」より重視する「プロパガンダ大作戦」

そして、法務省の出入国管理統計の2020年10月の月報には、「経営・管理ビザ」で入国した外国人の総数855人のうち、約3分の1にあたる293人が中国国籍者であることが記されている。

彼らだけに責任を負わせるわけではないが、札幌市の感染拡大と、PCR検査が免除されていた彼らが無縁であると言い切れる人はいないだろう。
少なくとも、日本のマスコミや野党が言うように、Go Toトラベルだけが原因なのか、私は大いに疑念を抱いている。

医療崩壊を防ぐためにできることは外出自粛だけなのか

ひさご

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が再発令された中、グローバルダイニングの長谷川耕造社長が、自粛要請に従わず、通常営業を続行するとのメッセージとして、「緊急事態宣言の発令に関して、グローバルダイニング代表・長谷川の考え方」を出したことが経済各紙で報じられた。

もし、彼を批判するのであれば、

  1. 医療崩壊、本当なのか疑問に思っています。
    冬にウイルス感染症は増えるのは自然の摂理。
    これに対して(パニックを起こして)、医療崩壊とおっしゃっている国や自治体の関係者、感染症専門家の方々は何の準備もしていなかった?
    また、死者数は米国などの約40分の1しかいないのに、なぜ医療崩壊?

ということについて、関係者は言うに及ばず、彼を批判しようとしている人は、論理的かつ真摯に回答すべきだろう。

また、このことについて、元厚生労働省の医系技官で「厚労省と新型インフルエンザ」の著者である木村盛世氏は、2021年1月7日付のニュースポストセブンの記事「元厚労省医系技官 コロナ対策で経済止めれば医療ではなく社会が崩壊」の中で、

毒性の強くない新型コロナを、「指定感染症2類相当(一部I類)」という高いレベルに指定してしまったため、新型コロナ患者の受け入れ病院が限定されてしまった。
これが医療崩壊危機の実態です。

指定感染症2類相当から、季節性インフルエンザと同じ5類にまで引き下げれば、受け入れられる病床は一気に増え、危機は解消するはずです。

が、実際は過剰に怖がった結果、受け入れ病床不足が生じ、「医療崩壊を防ぐため」と称して自粛強化を行ない、経済を止めようとしている。
何でそんなことをするのでしょう。

と言っている。

少なくとも、田村憲久厚生労働大臣や西村康稔経済再生担当大臣、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長、日本医師会の中川俊男会長が、これらに応えていくべきだろう。

つい先日、医療崩壊の危機にあるとして、大阪府の吉村洋文知事などが自衛隊に看護師の派遣要請をしたことがあったが、これで危機が一時的に解消されたことに甘んじて、何も現状を変えようとしないのは、政府閣僚らトップの怠慢としか言いようがない。(2020年12月11日 産経新聞-大阪知事、自衛隊看護師の派遣を正式要請

2021年1月12日付のニューズウイークは、ジャーナリストの木村正人氏のコラムとして「滅私奉公がなければ持たない日本の医療現場」と報じているが、これはコロナ禍の前から言われていたような気がするのは私だけなのだろうか。

ちなみに、医師や看護師の報酬を上げればいいではないかという議論に関して木村氏は、「『月給50万円でも看護師が集まらない』医療逼迫下、日本でも『命の選別』は始まっている」と書いている。
もし、私の手術と入院が今だったらと思うと、背筋が凍らざるを得ない。

このコラムを掲載した後(2021年1月14日)に、ダイヤモンドオンラインの記事で「冬のコロナ大感染、わかりきっていた危機になぜ日本は対応できなかったか」が掲載された。
「現状維持バイアス」・・・まさに、何もせずに失われた平成時代の繰り返しが、ここでも見られたということになろうか

医療に限らず、日本ではこういうことがよくある。
迫り来る「危機」を前にして、「変わらなくては」「改革が必要だ」という声だけは上がるが、政治に影響力のある団体がそれを骨抜きにする。

弱い立場の人間が苦しみボロボロになっても、「がんばれ、がんばれ」と精神論を唱えるだけで「現状維持」に流れるのだ。

多くの人の犠牲でどうにか「危機」を乗り越えた後も、喉元過ぎればなんとやらで、構造的な問題にはなかなかメスが入らない。
だから、またしばらくすると同じような「危機」が再発する。

そして誰も信じられなくなる

ひさご

半藤一利氏の「昭和史 1926-1945」を読むと、戦前の日本が無謀な戦争にのめり込んだ一因は、当時、軍国主義の一端を担っていたマスコミにあると書かれている。
これはあまりにも有名なので、私があえて書く必要もないが、それと、今のコロナ戦争で政府を煽りまくり、国民に過度の自粛を求めているのが、戦前のマスコミの行動と瓜二つだ。

2020年7月5日付のBBC Japanは「なぜ日本では新型コロナウイルスの死者が不思議なほど少ないのか」(原文:Japan’s mysteriously low virus death rate)という社説を掲載した。
そこでは、(2020年4月の緊急事態宣言のとき)政府の要請を国民が聞き入れた(The government asked, people listened)という見出しで記事がまとめられていた。

しかし、いつまでも国民の献身的な努力だけに頼っていれば、強烈なしっぺ返しが来ることを、今の指導者たちは学ぼうともしていない。
つい先日の3連休、首都圏の昼間の人出がいつもと変わらなかったということは、国民の無言の抗議かもしれないのだ。

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