可愛い子には京都でアルバイトをさせよ

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金閣寺

故事に「可愛い子には旅をさせよ」というものがあるが、現代ではさしずめ「可愛い子には京都でアルバイトをさせよ」となるだろう。

何が言いたいかというと、訪日外国人観光客が多く集まるところで、接客の仕事をして、外国語アレルギーを払拭すると同時に、日常的に会話するチャンスを作れということだ。

要するに、外国語を学ぶのに留学するお金が出せる家庭や、語学スクールに行ける余裕のある人はともかく、これからの日本の若者はどんな人でも外国語を話せるようになることが必須と思えるからだ。

私が東南アジアを旅行しているときに、決して豊かだとは言えない現地の若者が、英語を勉強するのに何をしたかというインタビューに基づいたものなので、これからの日本人も同じようにすべきだろうと思うのだ。

ちなみに、京都というのは外国人観光客が多く集まる場所ということだから、北海道のニセコでも、東京の浅草や六本木、長野県の白馬や、岐阜県の高山でもいいのだ。

なぜ、いきなり外国語を話さざるを得ない環境に身を置けと言うのか。

まずは、2017年10月25日付のキャリコネニュース「GACKT、飲食店のブラック企業化について『価格設定と人件費のバランスに問題』と指摘 『昼食が800~1000円は正直おかしい』」というコラムがあるのだが、今や、サービス産業従事者が日本の雇用の7割を占めると言われているため、これを例に取り上げてみた。

従って、賃金水準の高い職種の正規雇用を射止めた人にとっては、これから私が書くことはあまり関係ないので、読み飛ばしてもらって構わない。

さて、サービス産業従事者の中でも賃金水準が低いとされる飲食業や宿泊業従事者の待遇が是正されるためには(厚生労働省「2016年賃金構造基本統計調査」-産業別にみた賃金)、政府がILO条約第172号「1991年の労働条件(旅館及び飲食店)」を批准し、それこそ、タイのインラック(Yingluck Shinawatra)元首相が行ったような最低賃金の大幅引き上げと(2011年7月8日 日経新聞-タイ次期首相候補インラック氏、最低賃金上げ「来年1月に」 )、それに連鎖するような、クアラルンプールのKLIA Ekspresばりの超絶値上げ(2016年1月1日から約60%の運賃値上げ)が起こる必要がある。

KLIA Ekspresを運営する会社のステートメント「Express Rail Link Sdn Bhd (ERL) revises its fares after 14 years (1st December 2015)」では、2002年以来、14年間価格が据え置かれたので、今回は大幅な値上げを政府に申請したということなのだが、日本の諸物価も据え置かれた(消費者に転嫁できなかった)年数は同じようなものだろう。

経済成長著しいタイとマレーシアでもかなりの抵抗があった政策を、デフレ経済20年超の日本でやったらどうなるか。

私が2017年3月にマレーシア・カンボジア・タイ旅行に行ったときに、わずか2年前と比べて、えええと思った感情を全国の庶民が抱くことになるのだ。
それとも、日本もベーシックインカムの実験に踏み切るかなのだが、今回はこのことについて詳しくは触れない。(2015年7月11日 キャリコネニュース-ブラック企業も生きていけなくなる!「ベーシックインカム」の効能を米提唱者が主張

私が講演した「ちゃんとリタイアして豊かな生活を実現する人生の選び方」の中の「将来計画のために」として、「子どものいる方で進学先を考える際に気をつけたいのは、自分たちの老後資金を犠牲にしてまで、やる価値があるかということ。グルーバル社会に対応できない、社畜養成塾の感がある日本の教育に懐疑的な私としては、大金を叩いて、あるいは、奨学金を借りて(給付型はOK)まで2流以下の大学に進学させる価値はないと思っている。そんなことをするなら、子供をバンコクの日系ラーメン店で勤めさせた方がいいとさえ考えている。」と書いたのを覚えているだろうか。

このことは将来のことを考えると決して大げさなことではないのだ。

最後になるが、私が旅ブログとしてたまに拝見している「世界遊牧住み渡り」というものがあるが、彼はバックパックの世界放浪の旅を中断し、旅の資金を稼ぐために働くことにしたという。

どこなのか。
タイのバンコクだ。(2017年9月23日 世界遊牧住み渡り-ラオスのビエンチャンでタイの就労ビザ(ノンイミグラントB)を申請する

1990年代は、彼のような旅人は迷わず日本に帰国し、半年間くらい一心不乱に働いて、再び旅に出たものだ。
賃金水準の高い日本でお金を貯め、物価の安い東南アジアを旅することが理にかなっていたからだ。

ところが、今やバンコクの方が就職先も見つけやすいと彼は書いているし、私もそう思う。
また、今では日本での暮らしが実質的な豊かさを感じられるかどうかわからない情勢な上、ブラック企業の遭遇率は日本の方がはるかに高そうだ。

心身を病むリスクを冒して、非正規雇用の労働者として日本で働く必要などどこにもない。
彼のバンコクでの働き口がどんなところか伺い知れないが、同じ非正規雇用で働くなら圧倒的にバンコクがいいだろう。

私が前出のコラムで、「(自分の子供に)海外や外国語に対して嫌悪感を抱かせないようにするのは必須である。 」と書いた理由がおわかりいただけただろうか。

勘違いしないで欲しいのは、私は日本は素晴らしい国だと思うし、実際に住み続けたいと思っているが、それと、劣悪な労働環境に身を置きたいかというのは全く別問題だ。

外国語アレルギーがないということは、日本を覆いつくすブラック労働環境から離脱するための条件の一つなのだ。

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