ホワイトカラーの労働生産性の低下を招く日本型チームワークの暗部

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驚く外国人男性

ここ数年、日本の労働生産性(就業者1人当り国内総生産、就業1時間当たり国内総生産)がOECD諸国の中で低下が止まらないとの論調のニュースを多く見かけるようになった。

特に、日本の得意分野である製造業の高さに比べて、サービス産業やサラリーマンなどホワイトカラー職場の生産性は伸び悩んでいるという。(2017年4月26日 ブルームバーグ-日本のホワイトカラー、なぜ業務の効率化進まない?-生産性はG7最下位 Even Japan’s Automated Factories Can’t Fix Its Productivity Problem一心不乱に働いても手取りは増えず、おまけに国際的な労働生産性も低いままというのでは、現場のサラリーマンは踏んだり蹴ったりだろう。
おまけに、年次有給休暇の取得率は常に韓国と最下位争いを繰り広げているありさまだ。(2016年12月15日 We Love Expedia-「世界28ヶ国 有給休暇・国際比較調査2016」  日本の有休消化率、2013年以来3年ぶりに最下位に)(Expedia Viewfinder on November 15, 2016 – 2016 Expedia Vacation Deprivation Report

そのせいなのか、「『熱意ある社員』6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査(2017年5月26日-日経新聞)」という記事も掲載された。

なぜ、こんなことになるのか。

いろいろなエコノミストや評論家の意見があるが、労働生産性を低下させている日本のホワイトカラー職場の根底にあるのが、日野瑛太郎氏の「脱社畜ブログ」にある「いい仕事をすればするほど、仕事はつらくなっていく(2013年12月12日)」や、Atusi氏のブログ「お前ら、社畜で人生楽しいか?」にある「『仕事の報酬は仕事』で優秀な人間を使い潰し腐らせる社畜環境はゴミ(2017年7月29日)」、「喜んで非効率な仕事をした気になる日本の労働環境はカスだ!(2017年8月16日)」だと私は確信している。

実際、私もフルタイムで働いていた頃に友人に言われたことがある。

友「カルロスは仕事が早く終わったら、周りの人の仕事を手伝ってあげないの?」

私「基本的にしないね。私が仕事の改善を進めて時間を空けているのは、チーム全体の業務効率化と自分の時間の確保であって、進捗状況が芳しくない人(できないクン)の仕事は、例え、上司が言ってきても特別な理由がなければ絶対に手伝わない。」

友「それって日本の職場には合わない考え方だよね。」

私「合うとか合わないとかではない。それを無条件に許せば、上司とできないクンの仕事に対する考え方は、締め切りまで終わりそうもなければ、私に丸投げすればいいということになって、成長がなくなる。さらに言えば、部下の仕事の差配は上司の能力と手腕の問題で私の仕事ではない。」

友「それって外国人みたいな考え方だね~」

いかがだろうか。
私に賛同できるか、私の友人の言っていることが正しいと思うかによって、貴方が職場に居させられる時間が決まってくるのだ。

前出のブロガー、Atusi氏は言う。
「何処かで日本の生産性が最低とか記事を見たことがありますが、あれってぶっちゃけ個人の資質ではなくて100%企業が悪いんですよね。本当に日本の社畜は仕事を頑張っても報酬に全然反映されることが無く、むしろ頑張れば頑張るだけ損をするという国ですからね・・・

私は彼の論旨に100%同意するし、私はその点ではまだ恵まれていたと言えるだろう。
報酬は金でもらえないなら休暇で寄越せという態度を全面に押し出し、その通りになってきたからだ。

もっとも、私はこういう人間だから組織内の出世などには縁がなかったし、興味もなかった。
特に投資をやって、早期リタイアが視野に入ってからはますます縁遠くなったと言えようが、それはそれで全然構わなかった。

投資で確定申告を本格的にやり始めてからは、労働(給与)所得は政府の搾取の対象でしかないことが良く理解できるようになったからだ。

仮に、私が友人に言われたようなことが職場で慢性化すれば、できるビジネスマンほど、仕事をペースダウンさせ、できないクンに歩調を合わせるようになる。

そうなれば、その会社の生産性は劇的に落ち、何で皆が一生懸命働いている(フリをされているだけ)のに、我が社は・・・と上層部は嘆き、いつの間にか経営は傾き始め、できるビジネスマンは泥船から颯爽と逃げ出すという図式になる。

かつての大蔵省(現財務省)がやってきた金融機関の護送船団方式が国際競争力を劇的に削いだのを見ても、我関せずとばかりに自分の職場で護送船団方式をやっている上司はバカの極みとしか言いようがない。

「教え込まれた協調性 イイ子はイイ子でしかなれないよ」と歌われた安室奈美恵のChase The Chance、日本の組織で最高に求められる従業員の資質、協調性という言葉に私は非常に違和感を感じている。

協調性の意味は一人じゃ何も出来ない奴が他人の足を引っ張る口実だ!(2017年8月8日)」と書いたAtusi氏の方がむしろ本質を衝いているのかもしれない。

さて、先ほどの日本の労働生産性の問題だが、私が思うに、2017年6月11日付のアメリカ大学院留学ブログの記事「アメリカから見た、日本人の労働生産性が低い根本的な理由と改善策。」が比較的いい感じでまとまっていると思う。

日本の良いところと悪いところを取り上げ、改善策まで提言してあるので、記事としては読む価値が大いにあるだろう。
その中でも「サービス残業を徹底的に取り締まる。仕事をジョブ・ディスクリプション制(job description=職務記述書に基づく契約)にする。」は傾聴に値すると思う。

ただ、こういった抜本的な改革は、安倍首相が目指す憲法改正よりもはるかに困難で、働き方改革などでは無理と言わせていただこう。
この問題は安倍首相を取り巻く官僚や財界人の誰もが口に出さない暗部だからだ。

そして、人事コンサルタントの城繁幸氏が、2010年1月29日に初版を出した著書「7割は課長にさえなれません」にある「優秀な若者が離れていく国-日本企業だけは勘弁してください」は、私の周辺でさえ現実のものとなっている。

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