公務員や教員、専業主婦も投資の世界へ

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投資のイメージ

去る10月15日の日経新聞に「確定拠出年金に誰でも加入、主婦・公務員も 厚労省案」という記事が掲載されていた。

現在の確定拠出年金制度(DC/Defined Contribution Plan=日本版401K)は、基本的に民間サラリーマン(厚生年金加入者=企業型)か、自営業者など国民年金の第1号被保険者(個人型)を対象としているが、数年後にはこれを公務員などの共済年金加入者や、専業主婦など国民年金の第3号被保険者まで広げて、国民総投資家計画を実施しようというわけだ。(関連資料:厚生労働省-第11回社会保障審議会企業年金部会資料-資料2 ライフコースの多様化への対応

この確定拠出年金の加入者は、法的要件に該当しない限り、原則として脱退ができないため、日本でおそらく最後まで終身雇用が残るであろう公務員の場合は、優良なる継続加入者となり得るだろう。

一方では、ここまでしないと将来の日本の金融市場は維持できないところまで追い込まれているのかとも思う。
私は、公務員と専業主婦が2001年(平成13年)10月から始まった確定拠出年金制度の適用除外になっていたのは、自分たちに適用されると困るようなものだからではないかという穿った見方をしていたからだ。

もっとも、日経新聞の記事によれば、公務員などが加入するものは個人型確定拠出年金になるとのことなので、加入は任意ということになるが、老齢給付金は原則60歳から受給可能なので、定年退職(現行60歳)から公的年金受給年齢(現行は原則65歳)までのつなぎ資金を満たすという目的には叶うかもしれない。

もちろん、そのためには自分が選択した運用関連運営管理機関(金融機関など)が提供する金融商品に投資していかざるを得ないのだが、どうしても投資リスクを負いたくないという人は、金融商品の選択肢の一つとして元本が確保できるもの(いわゆる円預金)がある。

しかしながら、相場下落時の資金退避以外の目的で円預金を続けても、少なくとも初期手数料(現行2,777円)と、例月の事務手数料(現行103円)分は目減りするし、実際にはほかにも手数料がかかることになるので、そういった方は最初から個人型確定拠出年金に加入しないという選択肢を取るしかない。

もし、何らかの拍子、要するに一般の個人年金などと間違って加入の手続きをしてしまった、などという場合は、腹を括って投資の勉強を始めるしかないというわけだ。(参考:ここで学ぼう確定拠出年金!)

ただ、私が思うに厚生労働省のウェブサイトに掲載されている登録業者を見る限り、自分の資産を預けたくないところばかりだ。(笑)
ところで、公務員や教員の方は今までのように投資と無縁でいても大丈夫なのかというと、そうとも言えないだろう。

アベノミクス(第二次安倍内閣の経済政策)はインフレ政策なのだから、円預金は実質的に目減りする傾向にあるし、消費税の増税と円安が相俟って老後の生活設計はますます厳しくなる一方だ。

まして、公的年金制度に内在するマクロ経済スライドは、10月16日付の日経新聞で「マクロ経済スライド 年金給付を自動抑制」と報じられているように、経済環境が完全にインフレに転じれば老後の生活設計に際して大きな爆弾となる。

それに退職金による投資デビューをしようとするサラリーマンは金融機関からすればカモでしかない。
従って、公務員や教員の方でも個人型確定拠出年金制度が導入されるのを契機に、これに加入するしないは別として、投資の勉強をすることはいいことだと思う。

日本の政府閣僚や、厚生労働省の官僚が明言することはないだろうが、今回の日経新聞の記事は「もはや公務員でさえ老後の生活設計は公的年金だけでは賄えません。あとは民間サラリ-マン同様、自助努力をしてください。」と宣告されたのと同じことなのだ。

事実、友人などから聞く限りでも、今や公務員の共済組合や福利厚生部門が主催するライフプランセミナーなどで、次第に投資に関する講演が増えてきているという。
参加者がどの程度いるかはわからないが、公務員や教員に対してさえ確定拠出年金制度が導入される情勢では、今後ますますこういった需要が増えるだろう。

最後になるが、私が職場の福利厚生部門主催の経済セミナーに参加したとき、ファインナンシャル・プランナーの三輪鉄郎氏が

これからの現役世代の老後は行動する人としない人で大きく二極化する。これからの日本は円安かつインフレになる傾向があるのだから、それに保険を掛ければいい。

具体的には円安やインフレに強い商品を買うことなのだが、その金融商品を損害保険だと思えばいい。損害保険は保険金が貰えなかった(儲からなかった)と言って怒る人はいない。

しかし、実際に事故が起これば、掛けていて良かったとなる。そうすれば一時的な損失に一喜一憂することもなくなる。

世界の主要通貨が全部下がるとは考えにくいので、初心者ならまずは米ドルに投資するといいだろうか。円が上がれば米ドル投資は損する可能性が高いが、輸入商品価格は下がって今までのように安く買い物ができるのだから良いことなのだ。

と言っていた。

一般の投資セミナーならいざ知らず、投資に関しては保守的なサラリーマン相手のセミナーでこういった講演が行われること自体に私は一種の驚きを感じざるを得なかった。

そして、同日に行われたセミナーでは、前段としてライフプランシート(参考:日本FP協会-家計のチェックツール)を使った老後の生活設計に関するグループワークもやったのだが、これは是非やることをお勧めしたいと思う。

まして投資リスクを負えないと言う人は必要不可欠と言っておきたい。
「これからの現役世代の老後は行動する人としない人で大きく二極化する。」という意見に私は全面的に同意できるからだ。

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