1986年2月、私が友人4人と生涯最初の海外旅行へ行ったとき、渡航先は西欧諸国だった。
メンバーの誰もがロクに英語も話せないまま自由旅行へ旅立ったとき、西欧諸国を鉄道旅行するにあたって必携の持ち物の一つが、欧州鉄道時刻表(Thomas Cook European Timetable)だった。
さすがに全員が大学生だったこともあって英語を読むことは何とかできた私たち、すべてが英語で書かれた時刻表を必死に読みこなしながら、駅の窓口では筆談で指定券や寝台券を取ったものだった。
乗車券はもちろんユーレイルパス(Eurail Pass)、挨拶とYes、NO、そしてThank youしか言えなかった私たちが自由旅行をするときの、まさにバイブルが、「地球の歩き方 ヨーロッパ」と、この時刻表だったわけだ。
そのバイブルが8月で休刊になると聞いたとき、私は一つの時代の終わりを感じた。
私は欧州鉄道時刻表(Thomas Cook European Timetable)を買ったのは、1986年に始まり、日本語解説版ができてからは1992年のギリシャ・スペイン旅行、1994年の西欧旅行、1996年のポルトガル・ベルギー・オランダ旅行、1998年のスペイン・オランダ旅行、2001年のイタリア・マルタ旅行、そして最後は2008年のフランス・イタリア・ドイツ旅行と、欧州へ旅行へ行くときは、必ずと言っていいほど持参した。
ところが、最近では欧州へあまり行かなくなったこともあるが、各国の鉄道のウェブサイトが充実し、事前にあるいは旅先でインターネットに接続して時刻表を調べればよくなったので、あえて冊子を購入して持参する必要がなくなってきていた。
特に、ここ2~3年は、私もそうだが、各国の旅行者自身がパソコンやiPadを持ち歩くようになったので、ますます紙媒体の需要が減っていたのだろう。
ところが、一旦は休刊(こういうときは自然に廃刊になることが多いが)になった欧州鉄道時刻表(Thomas Cook European Timetable)が復活するという。(International Railway Journal – European Rail Timetable to be re-launched in February)
旅の楽しみの一つが、旅行の計画そのものだということは私も肌身で理解できる。
ウェブサイトでは単発の検索はできても、列車を乗り継いで未踏の地へ行く楽しみをかきたてられることはない。
おそらく、ヨーロピアン・レール・タイムテーブル社(European Rail Timetable Limited)を立ち上げたジョン・ポッター(John Potter)氏らは、そういう需要がまだあると見込んだのだろう。
日本語解説版までが復刊するかどうかはわからないが、私も久々に欧州鉄道旅行を再開してみたいと思った。
一方、ひっそりとニュースになったのは、アメリカンエキスプレス社が2014年3月でトラベラーズチェック(TC/travelers check)の国内での発行を取りやめるというものだった。
私も最近では海外のATMから直接引き出すことが増え、ほとんど使わなくなったトラベラーズチェックであるが、弊サイトの「両替はどこでするのが得か?」で触れているように、欧州旅行の際には相変わらず有利な換金方法であるため、ユーロ建のものを買う機会は意外にあったのだ。
しかし、三菱東京UFJ銀行系列の外貨両替専門店、ワールドカレンシーショップでもアメックスのTC販売終了に伴って、3月末でTCの販売を取りやめるとあるので、横並びの日系金融機関での販売は終了とみていいだろう。
外資のシティバンクでは、他社のTCを販売することを検討中と言われたが、需要が減っている今ではなかなか難しいと思われる。
結局のところ、TCは現地での換金箇所も限定的で、空港を出るとなかなか両替できるところを探すのが大変だったりするので、これも一つの時代の流れなのだろう。
今や、たくさんのお金を持ち歩いて旅行する時代は終わったのだ。
「ヨーロッパ鉄道時刻表」来年2月復活へ・・・トーマスクックの元編集者が新会社 (2013.11.2 Response)
8月で休刊となった欧州の鉄道時刻表「トーマスクック・ヨーロッパ時刻表」が2014年2月、元編集者の立ち上げた新会社により事実上の「復活」を遂げる見込みとなった。
鉄道業界誌インターナショナル・レールウェイ・ジャーナル(オンライン版)が報じた。英トーマスクック社の欧州鉄道時刻表は1873年に創刊。
その後140年間、世界各国の旅行者や関係者に親しまれてきたが、同社の出版事業撤退により8月で休刊となった。休刊後、元編集者のジョン・ポッター氏らが復刊を目指し、「ヨーロピアン・レール・タイムテーブル(European Rail Timetable Limited)」社を設立。
同社がトーマスクック社から時刻表を出版する権利を譲り受け、2014年2月から欧州鉄道時刻表を発売することとなった。
同社はすでにウェブサイトを立ち上げており、同サイトには2014年初頭に第1号を出版する予定とのメッセージが書かれている。
関連記事
- 「トーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表・日本語解説版」休刊のお知らせ (2013.8.19)
- Telegraph – The end of the line for Thomas Cook’s rail ‘bible’ (29 Aug 2013)
- Telegraph – European Rail Timetable ‘saved’ (04 Nov 2013)
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アメリカン・エキスプレス・トラベラーズ・チェックは、2014年3月31日をもちまして、日本国内での販売を終了させていただきます。
国内での販売は終了いたしますが、アメリカン・エキスプレス・トラベラーズ・チェックは、2014年4月以降も従来通り、世界中でご利用いただけます。
また、国内でも引き続き換金いただけますのでご安心ください。
お客様にはご不便、ご迷惑をお掛けいたしますことをお詫び申し上げます。■ 本件に関するお問い合わせ先:
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