ミセスワタナベが熊に襲われるとき

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上野動物園

私の友人であるPharmさんが、ワールドインベスターズという海外投資のSNSで面白いことを書いていたので、彼の了承を取って一部を転載してみた。

「日本人損させ仮説」、彼は、多くの日本人が工夫次第によっては豊かな生活を送れるのに、付和雷同的な性格が邪魔をして、自分たちの生活を自ら貧しくしているのではないか、ということを言っている。

ただ彼は、できるだけ人と同じ行動は避けたいとしながらも、日本のサラリーマンである以上、避けがたいプレミアムコストを払うときもあると苦渋のコメントを述べている。

同じようなことは、内藤忍氏も「休日を分散化すれば、日本の観光地はもっと低コスト・高品質になる」と書いていて、内藤氏が言及している星野リゾートの星野佳路氏の発言については、私が2010年1月31日付で書いた「観光は日本の基幹産業となり得るか」でも触れているが、観光庁の休暇分散化ワーキングチームの行った実験は、惨憺たる結果に終わり、当時のネット上の発言から読み取る限り、日本のサラリーマンの多くは現在の横並び休暇を変更したくない、と宣言したに等しい結論を出したのだ。

Pharmさんは、こういった類のことを「誰も幸せにしない日本システム」と呼んでいる。

ところで、Pharmさんは「日本人損させ仮説」の例として、日本人サラリーマンの三大休暇シーズン(ゴールデンウイーク、お盆、年末年始)になると、為替が円安外貨高傾向に振れることが多いことを挙げている。

要するに、ただでさえ高額の海外渡航費を負担させられるのに、渡航先でも円安外貨高によって損失をこうむっている、と彼は言う。
そうかと言って、日本国内を旅行をしたとしても、旅先ではサービスのキャパシティを超えてしまって、相対的に貧弱なサービスしか受けられないことが多い。

そして、不思議と日本人の帰国ラッシュのニュースが流れると、為替は円高外貨安に戻ることが多いと、彼は書いている。(現に昨日の外国為替市場では円高への巻き戻しが見られた。)

日本人サラリーマンの三大休暇シーズンに円安外貨高傾向が出るということは、欧米のメディアが「ミセスワタナベ(Mrs. Watanabe)」と呼ぶ日本のFX(外国為替証拠金取引=Foreign exchange)投資家の行動からもある程度説明ができそうだ。

この三大休暇シーズンの前にはゴールデンウイークを除いて、サラリーマンにはボーナスの支給がある。
そのボーナスの一部を原資にしてFXをやろうというのは、給与収入が年々減り続けている現在の日本の経済情勢では至極当然に思える。(参考:平成23年分 民間給与実態統計調査

スワップポイント(金利)を毎日貰えることからロング(円安)ポジションを張る傾向のあるFX投資家に、海外旅行の準備に備えて円を外貨に両替する旅行者が相俟って為替が円安傾向に流れる可能性が高いと言えそうだ。

ここで、彼らがそんなに世界の為替に影響を及ぼすのか、と言いたいところだろうが、欧米のメディアが日本のFX投資家を「ミセスワタナベ」と呼び始めたのは、彼らの影響力が無視できないほど大きかったからだと言われているのだ。

そして、そんな「ミセスワタナベ」の行動様式も、一般の日本人同様に付和雷同的であることは、もはや世界に知れ渡っている。
しかも、「ミセスワタナベ」は根が安全志向で臆病な草食系と見られているので、相手(外国人投資家)はいつ狩ろうか待ち焦がれていることだろう。

そんな草食系動物をおびき出し、一網打尽にする餌が、経済誌でもない一般の週刊誌などに流れる推奨記事というわけだ。

年末年始休暇が終わり、来週以降そういった週刊誌の見出しに「復興増税に負けるな!減った給料をFXで取り戻せ!アベノミクスに乗り遅れるな!」とかいう見出しが躍ったら一旦ロング(円安)ポジションを全部閉じるか、ショート(円高)ポジションで保険を掛けよう。

そのときが、熊が出没する警報が鳴るときだ。

コメント

  1. 匿名 より:

    私は週刊誌に踊らされる短期売買のFX投資は懲りているのでやらない主義で、原則としてスワップをもらう長期投資しかしていない。当節、どの通貨も金利が下がり、スワップでの取り分が小さくなっているが、銀行預金よりも遙かに効率が良い。
    ただし、少々のストップロスでは熊が出てくると必ずストップロス狩りに引っかかるので、スワップなど一気に持って行かれてしまう。いろいろ試行錯誤したが、現時点で金利の良い通貨はオーストラリアドルであるが、これは猛烈にボラティリティーが高く、長期投資の場合は50円くらいで買わない限り、ストップロス狩りでカモにされるだけである。
    次に金利が良いのが南アランドで、これは10円付近だから如何にストップロス狩りが行われてもまさか10円も下がることはあり得ない。更に金利の良い通貨もあるかもしれないが、調べていない。
    そこで、FX会社を2社決め、どちらも最初は適当なところで1万通貨をロングにし、一方のFX会社はストップロスは1円下に、他方のFX会社は2円位下に入れておく。テイクプロフィットはどうでも良いがどうせ長期投資だから5円くらい上に入れておく。
    そして、更に次のようにロングポジションを注文しておく(最初のロングポジションを仮に10円とする)。
    ロングポジションをlp、ストップロスポジションをsp、括弧内の数字を通貨量とすると
                    A社    B社    
    最初のlp         10円(1万) 10円(1万)    
    最初のsp         9円(1万)  8円(1万)
    2度目のlp       9.1円(3万) 8.1円(10万)
    2度目のsp       8.1円(3万) 6.1円(10万) 
    3度目のlp       8.2円(3万) 6.2円(20万)
    3度目のsp       7.2円(3万)4.2円(20万)
     南アランドもストップ狩りが行われ、2円程度のストプロスまでは付いてしまったので、2万円ずつ、合計4万円のロスが発生したが、現時点ではそれ以上のストップロスは発生していていない。
    落ちるときは急激であるから指値をしておかないとなかなかポジションを取れないが、戻るときは緩やかなので、適当なところで適当にロングポジションを取ればストップロスで失った金額も比較的早い時期に取り戻せる。このとき大きなポジションを取れば儲けも大きいが、再度ストップロス狩りが行われる可能性もあるので、取られた分を取り返す程度のポジションとしている。
    このような方法で現時点では一方のFX会社では約1年くらいポジションを持っており、スワップが1万5千円ほど、キャピタルゲインと併せて15万ほどの利益が出ている。他のFX会社はスワップは不明だがキャピタルゲインと併せて10万円ほどの利益が出ている。
    このまま放置していても少々のストップロス狩りが行われたとしても、先ず狩られる心配は無いであろうし、更に下の値段のロングポジションを取れば仮にストップロスに引っかかってもスワップが取れるのであるし、適当なところでキャピタルゲインとスワップを引き出しておけば、利益だけは確保できる。
    その後の行動は値動き次第であるが、あまり上値追いのロングポジションを取るとストップロス狩りにひかっかり、元も子もなくなってしまう可能性もあるので、あとは少額であるがスワップの溜まっていくのを待つと同時の、再度下値でロングポジションができるように指値をして昼寝を決め込んでいる。
    1万5千円の利息などたいしたことは無いが、今時それだけの利息を稼ぐのは容易なことではなく、運が良ければキャピタルゲインまで頂戴でき、焦らずこつこつとやっていけばそこそこの利益が取れるのでは無いかと思っているが、果たしてうまくいくかどうか。
    得られる利益は小さくても、このように常時ポジションを持つようにすれば常に相場に注意が向くし、相場の変動でパタバタ慌てて動くこともなく、そこそこの利益も確保できるので非常に良い方法であると思っている。
    勿論、チャンスがあればキャピタルゲインを取るためのロングおよびショートの出陣もしているが、これは運任せであるから常時うまくいくものではない。

  2. カルロス より:

    >得られる利益は小さくても、このように常時ポジションを持つようにすれば常に相場に注意が向くし、相場の変動でパタバタ慌てて動くこともなく、そこそこの利益も確保できるので非常に良い方法であると思っている。
    ローリスクのポジションでスワップを取りにいくやり方ですね。
    相場観を鈍らせないためにもいい方法かと思います。
    私もトレードは高収益狙いでいかないので、そこそこ利益が出ればいいかな、という気持ちでやってます。
    詳細な情報ありがとうございました。

  3. 浜田 より:

    1971年の360円から40年間続いた「超円高時代」は2011年10月末の75円31銭で終了したようですね。
    2012年2月、米ドルが76円から84円に急騰し、「長期円安時代」の号砲が高らかに鳴り響きました。
    ユーロ債務危機の深刻化で、一時円高になったものの、2012年9月から本格的な円安時代がスタートしたようです。
    日本経済は、貿易収支の記録的な赤字が定着し、2012年1月及び11月には、経常収支が31年ぶりに赤字になった、2016年には経常収支が通年ベースでも赤字になるらしい、巨額な国歌債務への対応から消費税が増税になる・・・・・円安要因がオンパレードです。
    一方、米国では、景気が5年ぶりに回復基調に入り、不動産市場も回復し、金利が上昇傾向に入ってきた。また、シェールガス・新エネルギー革命が進行中で、米国は将来エネルギーの「輸入国」から「輸出国」に転換し、貿易収支が劇的に改善し、「強いアメリカ経済」が戻ってきそうだ、ということで、長期ドル高(円安)が予想されているようです。
    2015年~2016年には、米ドルが130円 ユーロは140円と予想されています。
    http://www.sc.mufg.jp/report/mt_report/index.html
    ◆米国のシェールガス革命と長期ドル高(円安)について。
    .http://kiyoshi-imai.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-31bc.html

  4. カルロス より:

    浜田様
    長文のコメントありがとうございます。
    >日本経済は、貿易収支の記録的な赤字が定着し、2012年1月及び11月には、経常収支が31年ぶりに赤字になった、2016年には経常収支が通年ベースでも赤字になるらしい、巨額な国家債務への対応から消費税が増税になる・・・・・円安要因がオンパレードです。
    確かにそうですね。
    私がこのたび書いたのは短期的、というか一時的にリバウンドなのですが、どうも今のトレンドでは1日か2日の円反騰ですぐに円安に振れるので、かなりトレンドは強いですね。
    中長期的には、今度こそ長期円安傾向という識者も多く、私も日本に残した資産をどうしようか思案中です。

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