先月25日、京都府警高速隊の巡査部長だった男性が、地方公務員法で禁じられている無許可兼業をしていたことで懲戒処分を受け、本人は依願退職したという記事が掲載されていた。
この公務員の兼業規制は、国家公務員については、法第103条(私企業からの隔離)、第104条(他の事業又は事務の関与制限)、人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について、で規定され、地方公務員については、法第38条(営利企業等の従事制限)に規定があるのだが、これは公務員が特定企業と癒着するといった職務上の地位や権限を利用して甘い汁を吸うことを防止しようというものだ。
厳密に言えば、彼が報酬を得て事務に従事していたと取れるかもしれないが、私に言わせれば、自らの趣味と才覚を生かして一時的な謝礼をもらっていたに過ぎない。
それを自ら退職するように仕向けた(と思われる)のはどうなのだろうか。
彼が罰せられるくらいなら年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に天下って公的年金資産に大穴を開け続けているヤツを罰しないのかと言いたい。(俺流ヘッジファンド運用報告書-GPIFの新興国株投資の裏に天下り利権あり!)
私が思うに、これからは公務員といえども終身雇用であることを当てにせず、いざというときには自分の才能を発揮して稼ぐくらいの気概があった方がいい。
そういった意味でも職務上の地位や権限に関係ないようなところでは副業規制を緩和すべきだと思う。
具体的には、ITを使った週末起業などは許可するぐらいの規制緩和をしてもいいだろう。
自分たちがそういったスモールビジネスをやってみて何でこんなところに古臭い規制があるのか、と思ったらそれを変える原動力になることも期待できる。
公務員がコスト意識がないとかビジネス感覚がない、とか言われるが、体得する機会がないのだから、そんなものは当たり前の話だ。
今のままでは、公務員が報酬を得る手段が地位にしがみつく以外にないのだから、いくら中高年公務員を早く辞めさせようとかいう議論をしても全く中身がないものになる。
民間企業の中高年サラリーマンが失業した後、収入が途絶えて、最悪の場合、自殺しているという悲劇の原点がどこにあるのか考えれば自ずと答えは出るだろう。
できれば、民間企業と官公庁が本人の能力次第で行き来できるシステムができれば望ましいのだが、官民ともに世界でも稀な新卒至上主義を貫いている現状では、そんなものは私が生きている間にすらできるかわからない。
ところで、海釣り名人が退職した(させられた?)ことが記事になるように京都府警が発表したということは、公務員全般に対して一罰百戒としているように思われる。
しかし、公務員の給与水準は、今後も日本経済の凋落に合わせるようにさらに下がり続けることは想像に難くない。
そのような中で公務員の副業規制についてまともに議論しなければ、十数年後には日本の公務員が、今の発展途上国のように平職員までが袖の下を要求することになるかもしれない。
将来、日本の役所でそのような不正が横行すれば、国民にとっても悲劇である。
今でこそ、市役所の窓口職員や交通警官が袖の下を要求するなんてことにはなっていないが、霞ヶ関の幹部官僚たちの醜い天下りは形を変えた袖の下の要求と言えなくもない。
*****************************************
警官、釣り専門誌に記事書き報酬得る・・・依願退職 (2012.8.25 読売新聞)京都府警高速隊の男性の元巡査部長(40)が、在職当時の2006年~今年7月、複数の釣り専門誌で記事を執筆し、計約30万円の原稿料を得たほか、釣り道具会社7社から、記事で紹介した釣りざおなど約150点の無償提供を受けていたことがわかった。
府警監察官室は、地方公務員法で禁じられている無許可兼業にあたるとして、今月9日付で本部長訓戒とし、元巡査部長は依願退職した。
同室によると、元巡査部長は「海釣り名人」として評判だったといい、釣り仲間が専門誌に紹介。
原稿料をもらい、実名で釣りざおやルアーなどの感想や釣果に関する約30本の記事を執筆した。民放テレビの釣り専門番組にも数回出演しており、上司が偶然見つけ、発覚した。
専門誌、番組とも警察官の肩書は伏せていた。******************************************
コメント