私が7月6日に「原油高はどこまで続くのか」というコラムを書いたときからすると想像もできないほど外貨もオイルも急落している。
結果論から言えば、このときがすべての高値だったという気がしないでもない。
さて、円高も原油安も日本にとっていいニュースであるのに、なぜかメディアは悲観的なコメントばかり流している。
確かに日本の基幹企業であるトヨタやソニーの業績は円安によって悪化するのは間違いないが、1990年代の超円高時代を乗り切ってきた力があり、今でも世界のトップカンパニーの1つなのだからそれほど悲観することはないだろう。
むしろ、食料もエネルギーも輸入に頼らなくてはならない日本にとって、円高は大いにメリットがあることではないのか。
原油価格が最高値を更新し続けた夏場に、あれだけ生き死にの問題だと騒ぎ立てた人たちは、今のうちに備蓄を増やすチャンスだ、将来に備えて安いオイルを買え、と政府になぜ言わないのか、メディアはなぜそれを主張しないのか、呆れてものを言う気にもならない。
それに、そういうことは経済産業大臣である二階俊博氏の仕事のはずであるが、何も聞こえて来ないのは来る総選挙のことで頭がいっぱいなのであろう。
まさに、これらは日本がいかに内向きで、国際化というのは言葉だけが一人歩きしていることを如実に示している。
おそらく、これで日本は千載一遇のチャンスを逃すだろうし、近い将来、原油価格や外貨が反騰すれば、日本は第三次石油危機を迎える可能性が大いにある。
かつての石油危機のときは日本が高度成長時代のことだったので、官民が一丸となって乗り越えることができたが、第三次が来るとすれば、そこには泥沼のスタグフレーションが待っているだろう。
もし、そうなったら誰が首相になろうと1年や2年でリカバリーすることなんて不可能だし、下手すれば第二、第三の夕張市が出て、いよいよ公務員ですら失業する時代がやってくる。
私が思うに、そのババを政権奪取のチャンスと意気込む小沢民主党に引かせようと、自民党はアホのフリをしている(もしかすると本当にアホかもしれないが)としか思えないほど無策である。
ところで、短期的に見れば原油の先物価格が最高値の半値を割っているのだから、航空運賃の燃油サーチャージや市井のガソリン価格も冬に向けて下がることが期待できる。
ただ、燃油サーチャージに関して言えば、2008年の第4四半期(10月から12月)に適用される3ヶ月間のサーチャージは、改定時には原油価格がピークを付けていただけに、第3四半期(7月から9月)よりも上がっているところもあるようだ。
そういう論理でいくと2009年の第1四半期(1月から3月)は下がることが期待できるが、改定時点での直近3ヶ月間のシンガポールケロシン市況価格(Singapore Kerosene-Type Jet Fuel Spot Price: 1バレル当たりの金額(米ドル)に換算するには、表示額×0.42)の9月の価格を見ると、それほど落ちてはいない。
もっとも100ドルの大台を割ってからの原油価格(Crude Oil Price Forecast)は崩落の状態なので、2007年くらいのレベルには落ちる可能性もある。
もし、これから海外旅行などを企画するのであれば、今が外貨両替のチャンス、そして旅行の時期は1月から3月がいいのではないだろうか。
一方の市井のガソリン価格はどうであろうか。
こちらも石油情報センターの全国のレギュラーガソリン平均店頭価格によれば、8月4日の最高値の185.1円から順調に下げが反映しているようだが、それでも5月時点のレベルである157.4円、地域によってはこれより安いところもあるが、今春の道路特定財源を巡る政界のドタバタ劇は何だったのかとならないように祈るだけだ。
NY原油下落、1バレル=64.15ドル (2008.10.25 読売新聞)
【ニューヨーク=山本正実】24日のニューヨーク原油先物市場は、世界的な景気後退への懸念から売りが優勢となり、原油価格は反落した。
標となるテキサス産軽質油(WTI)の12月渡し価格は一時、1バレル=62.65ドルまで下落し、約1年5か月ぶりの安値を付けた。終値は前日比3.69ドル安の1バレル=64.15ドルだった。石油輸出国機構(OPEC)は24日、日量150万バレルの減産を決めたが、市場の反応は薄かった。
新興国を含めた景気後退による需要減を見越した売りに加え、米欧の投資ファンドが手元資金を確保するため換金売りの動きを強めている。*************************************
ガソリン店頭価格、4円安の157.4円で11週連続下落 (2008.10.22 読売新聞)
石油情報センターが22日発表した全国のレギュラーガソリン平均店頭価格(20日時点、1リットルあたり)は、前週(14日)比4.2円安の157.4円で、11週連続の下落となった。
調査開始以来の最高値185.1円を記録した8月4日時点から計27.7円の下落となった。160円割れは5月7日時点以来、約5か月半ぶりで、東京や大阪など33都道府県で160円を下回っている。原油価格の下落が続いた影響で、新日本石油と出光興産は27日からガソリンなどの卸価格を4週連続で値下げする方針で、今後の店頭価格も値下がりが続く見通しだ。
全国のハイオクガソリン平均店頭価格(20日時点、1リットルあたり)は前週(14日)比4.3円安い168.2円、軽油は同3.5円安の144.0円、灯油(18リットルあたり)は同57円安の2,018円だった。
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