世界金融危機の中にある一筋の光明

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幸運の神様 ビリケンさん

世界中の経済ニュースはGlobal Financial Crisis(世界金融危機)一色である。
英経済紙のFinancial Timesはまさに特集を組んでそれを報じているくらいで、わずか一年前には世界が株高と好景気を謳歌していたのが嘘のような様変わりだ。


そして、先週のニューヨークのダウ平均株価(Dow Jones Industrial Average: ^DJI)の下げは史上最悪(worst ever)だったそうだ。
3日の終値が10,325.38ドル、そこから10日の最安値7,773.71ドルを挟んで終値が8,451.19ドルと、わずか1週間で2,000ドル以上も落ちたのだ。

この安値水準はITバブル崩壊後の最安値を付けた2002年10月10日(7,181.47ドル)付近の水準に匹敵するものである。
もっとも6年前は、下げの主役がナスダック総合株価指数(NASDAQ Composite Index: ^IXIC)だったこともあり、脚光を浴びるほどの下げを記録したようなイメージはない。

また、キャリートレードの手仕舞いによる円高の主役は、1998年のロシア金融危機の時とは異なり、米ドルでなく、英ポンド、ユーロ、そしてオセアニア通貨だった。

為替サイトのOANDA(時系列)によれば、3日から10日までの対円レートの推移は、ユーロ(Euro)が146.956円から137.341円へ、英ポンド(GBP: British Pound)は186.603円から173.521円になり、この間の最高値と最安値の幅は20円もの差となった。

ちなみに、オーストラリアドル(AUD: Australian Dollar)は82.8935円から69.4448円へ、ニュージランドドル(NZD: New Zealand Dollar)は70.5976円から61.4409円と、いずれも10円前後の円高となり、オセアニア通貨の為替水準は、2002年10月時点に戻ったと言えるだろう。

そう、この当時、私は「初心者のための外貨投資入門」というエッセイを書いたのでよく覚えているのだ。

そのほか、日経平均株価も10日の安値8,115.41円は、バブル崩壊後最安値を付けた2003年4月28日の7,603.76円とほぼ同レベルである。

もし、9月4日のコラム「仕組債で儲ける方法」で取り上げたような仕組債を買っていれば、債券の受渡日からわずか数週間でノックイン価格に到達して損失を蒙り、逆に日経平均先物を売るか、日経平均のプットワラントを買っていれば大儲けできたということになるだろう。

ハンセン指数(Hang Seng Index: ^HSI)は、10日の下げで、2007年10月30日に付けた最高値31,958.41ポイントの半値を下回り、9月から続く下げ相場で、2006年12月28日に20,000ポイント超えをしてから連日のように3桁の上げ相場を記録した2007年の中国人投資家主導のバブル相場の余韻は跡形もなく消え去った。

しかし、この記録的なダウの下げによって少なくとも21世紀最初の10年におけるダブルボトムを付けたという見方をすれば一筋の光明が見えなくもない。

短期的に見ても米金融株指数に反比例するベアファンドである、UltraShort Financials ProShares (SKF)の10月10日の高値205.35ドルは、7月15日の高値211.75ドルとダブルトップを形成する可能性がある。

なぜなら、その直後のSKFの下げが似たようなチャートを描いているのに加え、このSKFの200ドルというのが金融株指数の下げの限界値のような気もするからだ。

そして、何よりも10月というのは十数年に一度起こる大きなクラッシュが最もピークになる月であるということだ。
私は世界的な株安によるキャリートレードの解消によって大幅な円高が来たときがセリングクライマックス(売りの最終局面)であると予想している。

つまり、これは1998年のロシア金融危機の例が繰り返されると予想したことによるのだが、それが先週であるとするならば、絶望の淵から這い上がる兆しがあるとも言える。

もちろん、世界中のメディアはそんなことは書いていない。
市場が弱気一色、投資家は絶望感に浸り、底値が見えないことによる恐怖におののいている時こそ、チャンスがあるとも言える。

「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育つ。楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えてゆく。」とはよく言われることだが、相場の格言に言う「人の行く裏に道あり花の山」とは、人生の成功者になりたければ、誰もやらないことを黙々とやれと言っているのだ。

そして、「The time of maximum pessimism is the best time to buy and the time of maximum optimism is the best time to sell.(人々の悲観が最大になるときが最高の買い時であり、人々の楽観が最大になるときが最高の売り時である)」と言ったのは偉大な投資家の一人、ジョン・テンプルトン(Sir John Templeton)である。

コメント

  1. たびちゃん より:

    三角持合、下向き一気かもよ。w
    為替的には、ドル円次第でしょう。98で止まるかな、、まだまだ、いきそうな気がしますね。全部出し切れていない、みたい。
    もう、みんな、戻り売り待ちまくっているから、、上がって来い、上がっておいで、上から、殴ってあげるから、、、赤頭巾ちゃんですね、、こうなると。

  2. カルロス より:

    >三角持合、下向き一気かもよ。w
    9月下旬に世界株ショートファンド買うといったたびちゃん、儲かりましたか?(笑)
    でも当たり屋に付け、という法則からすると、まだまだプット(ショート)ですか。
    ちなみに私は曲がり屋に陥ってますからね。
    だから泣きたくなるの(爆)

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