昨日の朝日新聞の一面、「分裂にっぽん-下 雇用回復の足元」という記事の中で非常に気になるところがあった。
5月22日、東京都内で開かれた航空機の客室乗務員組合の労組。『成果主義が安全を脅かす』との声が出た。
例えば日本航空は『乗客のおしかりメールの比率を23%以下に』との数値目標を掲げる。
出席者の一人は『乗客に携帯メールを注意して苦情が来たら減点。安全のためのお願いもしづらい』と嘆く。
はっきり言って、離着陸のときに携帯電話などの電子機器の電源をオフにしてくれ、というのは乗務員側の正当な要求であるし、どのフライトでも同じことを言われる。
その注意を受けたことについて逆恨みメールを送りつけられたことまで減点にされるのでは、たとえ正当行為であっても相手方の逆恨みを買うようなアクションを起こす者などいない。
実際、日本航空客室乗務員組合の春闘のページの「安全問題」のコーナーにはそういうことを匂わせる記事もある。
言い換えれば、今やJALの機内は「金を払えば、あるいは客だと言えば、何をしても許されると思い上がっている低レベルな連中」の天下とさえ言えるのではないか。
今や、昔と違って、電車内の携帯電話の大声を注意しただけで、逆恨みされたり、子どものことで注意しても相手の親は詫びるどころか、罵詈雑言を浴びせたあげく注意した主に蹴りを入れてくることもある時代だ。
そんな知性も常識も欠け、逆恨みして人を刺しにくるような輩の戯言まで「正当な苦情扱い」をするなど正気の沙汰ではない。
最近では、その手の苦情の方がまともな苦情よりも多いように思える。
傍若無人な振る舞いをする輩に対して甘くなれば、「類は友を呼ぶ」でどんどんと似たような者が集まってくる。
同じ路線でも海外籍の航空会社にそういう輩が相対的に少ないように感じるのは、日本の領空を出れば国籍国の法律が適用されるし、厳罰もあり得ることを彼らが本能的に察知するからだ。
この現象について、聖路加国際病院精神科部長の大平健氏は、「大人(中高年)は、相手が弱い立場で反撃できないとみると、徹底的に攻撃する。ずるいんですよ。乗客に反論しにくい立場の人間に”キレる”のはその典型ですね。」と言う。
ちなみに、日本で安全阻害行為等(機内迷惑行為)を法的に処罰できるようになったのは平成16年(2004年)1月15日からで、それでもたいした罪には問われない。
もっとも、外国人乗客でも非常識な行為をする人間はいるが、何より問題なのは今の日本では法律があっても正義がほとんど通じないし、非常識な人間がことさらのさばれる環境にあることだ。
だから私はそういう輩を跳梁跋扈させるような(顧客第一主義を通り越し、歪な隷属主義とさえ思える)営業スタイルを取る日系航空会社にはますます乗る気がなくなるのだ。
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