今朝、目覚まし代わりに鳴るラジオ番組のJ-Waveから流れるヘッドラインニュースに驚きを隠せなかった。
内容は簡単なものだった。
自民党の新憲法起草委員会が、「表現の自由」「結社の自由」に制限を加えることを検討している、というものだった。
そして通勤途上の携帯電話WEBから流れるニュースも同様の内容で前日の夜に配信していた。
私は普段は滅多に読まない新聞を駅で買うと、一面から順を追って読んでみた。
買った新聞がいけなかったのか、そのことには一行も触れてなかった。
権力に腰砕けになる大マスコミでは、こんな重要なことでも触れないことは十分に考えられたので、帰宅後にWEBを検索してみると、そのことは半月以上も前の読売新聞で触れられていたことだった。
書いてあることはもっともらしい理由だ。
しかし、日本では法律のみならず、憲法までもがないがしろにされても最高裁ですら咎めない国なのだ。
第一、「青少年の健全育成に悪影響を与える可能性のある有害情報」なんて、普通の人はエロや暴力を想像するだろうが、こんなものは弊サイトのエッセイや「今日の一言」だってこじつけで該当させることは可能だ。
なぜか?
エッセイの1つ、「イラク戦争に思う」で私は日本が独立国でなく、実質的地位はアメリカ合衆国日本行政特別区(The goverment of the Japan Special Administrative Region (JPSAR) of the United States of America)かもしれないと書いているからだ。
日本が独立した民主主義国で三権分立が機能していると学校で教えている以上、私の論文は十分に「青少年の健全育成に悪影響を与える可能性のある有害情報」だ。
それに「国家や社会秩序を著しく害する目的で作られる結社」も普通の人はオウム真理教(現在のアレフ)などのカルトを想像するだろうが、例えば、反体制の旗手とも言える、大前研一氏の主催する一新塾の塾生は全員逮捕され懲役刑を受ける可能性がある。
なぜか?
彼は体制側を徹底批判しているからで、これは腐れ政治家に言わせれば十分に「国家や社会秩序を著しく害する目的」を持っていることになるのだ。
そんなバカな・・・と私の言っていることが大げさ過ぎると言う人は歴史に学ぶといい。
参考までに第二次世界大戦前に存在した大日本帝国憲法の一部を紹介しよう。
- 第28条 日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス
- 第29条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有ス
この「法律の範囲内において」という法律の留保によって、結果的にすべての自由が制限されてしまったことは1世紀前の日本で現に起こったことなのだ。
世界の民主主義国・自由主義国の制度の根幹を為すのは「複数政党制」と「言論・表現の自由」だ。
ほかのことはともかく、この原則に合致しない憲法が制定された国においては政府の批判すらできない状況にある。
自民党がいくら高尚なふりをしようが、この原則を捻じ曲げたものを新憲法草案などと言うからには、その醜悪な正体を我々は見抜かなければならないのだ。
今、情報規制下にある中国の深センに住む人は、弊サイトにどうやってもアクセスできないということに対し、「アダルトサイトやinfoseekなどの一部のサイトは中国政府によって規制が掛けられておりますので、現在お使いの同サーバー(Cside Net)の方が掲示したもの(ウェブページ)が政府に何らかの害があるということでサーバー自体へのアクセスが不許可になっているのかもしれません。」というコメントを寄越している。
私は、近い将来、日本がそうならないことを願ってやまない。
自民党新憲法起草委 有害図書、結社は「制限可」
権利・義務小委が論点メモ (2005.2.13 読売新聞)自民党新憲法起草委員会の「国民の権利及び義務小委員会」(小委員長=船田元・元経企庁長官)がまとめた憲法改正の論点メモが12日、明らかになった。
論点メモは、現行憲法第三章の「国民の権利及び義務」の改正点として、船田小委員長が作成した。奴隷苦役の禁止、思想良心の自由、居住移転・国籍離脱の自由など18の権利・義務について「おおむね残すべき権利義務規定」とする一方で、信教、表現、結社の自由と財産権の制限について「一部修正すべき権利規定」と位置づけている。
信教の自由(第20条)については、「政教分離原則を守りつつ、国や地方自治体の地鎮祭関与や玉ぐし料支出については、社会的儀礼や習俗的行事の範囲内であるとして、許容する」と明記した。
表現の自由(第21条)については「青少年の健全育成に悪影響を与える可能性のある有害情報や図書の出版・販売は法律で制限・禁止できる」とした。
結社の自由(同)についても「国家や社会秩序を著しく害する目的で作られる結社は、制限できる」としている。
財産権の制限(第29条)には目的に「良好な環境の保護」を加えるという。
追加すべき新しい権利規定は、「知る権利(情報アクセス権)」「個人のプライバシーを守る権利」「犯罪被害者の権利」「環境権」「外国人の権利」「知的財産権」「企業その他の経済活動の自由」の7項目を挙げた。
外国人の権利については「在日外国人の地方参政権にも道を開くべきか」として、外国人参政権問題が論点になると付記している。
追加すべき新しい責務(義務よりもより普遍的な責任)としては、「国防の責務」「社会的費用を負担する責務」「家庭を保護する責務」「環境を守る責務」「生命倫理を尊重する責務」の5項目を列記した。
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