巨人戦の視聴率の低迷を歓迎する

この記事は約4分で読めます。

頭を抱えるビジネスマン

私のプロ野球の贔屓チームは地元の横浜ベイスターズだから巨人戦の視聴率がどうなろうとあまり関係ないが、メディアの報道姿勢に腹立つことが多かった。

それは8月を過ぎて巨人が首位と大差がついたBクラスに甘んじてるときでさえ、「巨人が優勝するためにはもう負けられません。」とアナウンサーが吼えることと、パシフィックリーグで優勝をかけた首位攻防戦が行われているときでさえ、つまらないBクラス同士(巨人戦)の対戦を時間延長までして(つまり他の番組の放送時間がずれ、録画に支障が出たり、遅く始まる番組を見たいときは眠いのを我慢しないといけなくなる)放送していたことだ。

2001年2月に発刊された海老沢泰久氏の著書「巨人がプロ野球をダメにした」にも書いてあるように、巨人はFAと逆指名の制度を使い、金にものを言わせて有力選手を買いあさった結果、他球団とは見た目の戦力差が大きくなりすぎ、心ある野球ファンの離反を招いている。

つまり、リーグ戦は常に強力なライバル、あるいはダークホースの存在がいてこそ盛り上がるのであって、大リーグ級のチームと高校野球チーム級が対戦するゲームを1年中見ていて面白いはずがないのだ。

長嶋人気とマスコミが彼を批判できない風潮を楯に、「長嶋監督の欲しがり病」などと抜かしてプロ野球をつまらなくしたフロントの責任は球界からの追放に値する。

いくら長嶋監督が有力選手を欲しがっても球団が億の金を出せなければ、彼だって2軍の選手から有望選手を見出す努力をするはずだからだ。
今や巨人の2軍選手は「1軍行きの希望のない練習生」と成り果て、かつての「熱狂的な巨人ファン」が次々と「巨人ファンやめた」宣言をするのを私は目にするようになってきている。

私がプロ野球中継をほとんど見なくなったのは、メディアが大絶叫した2000年のON対決以降だ。
この年の日本シリーズ前にダイエーのある選手は「ON対決」と絶叫するメディアの陰で、「戦うのは俺たちなのに」とこぼした。

そしてこの年は巨人と、連覇を狙う星野中日が優勝争いをしていたのだが、星野監督(当時)が「審判まで巨人の味方だ。」と吐き捨てた試合もあった。
私はこのとき、日本のプロ野球界を見捨てた。

一生懸命やってる選手を、応援するファンをこれほど冒涜する行為はないと思った。
ONは尊敬に値する選手なのは間違いないが、とっくに引退した彼らの名前を冠しなければ盛り上げられない発想の貧困さに嫌気がさした。

それにも増してミレニアムという節目は巨人に優勝してもらわなければ、という硬直したスポーツメディアの発言に最も吐き気がした。
そして、日本シリーズは絵に描いたような逆転劇(連敗の後の4連勝)で巨人が勝った。

そして今や大リーグを目指す選手と、FAで巨人を目指す選手には大きな特徴がある。
前者は自分の実力に自信がある、あるいはそれを試したい選手、後者は引退後の生活の糧を築きたい選手だ。

それはあるマスコミの有力者が吐き捨てた言葉で裏付けられる。
「プロ野球の解説者は巨人出身者と古田(ヤクルト)以外はいらない。」

プロスポーツ選手の寿命は短い。
彼らだって引退後の生活設計は重要だ。
つまり、レギュラーポジションに空きがないと誰もがわかるほど埋まっているのに、FA宣言して巨人に来るのはこういう理由だと私は思う。

当然、そういう選手は野球を死に物狂いでやろうとするよりは、巨人のユニホームを長く着ていることを考える。

そういった意味で「清原が来るなら俺の居場所はない」と言って巨人を去った落合(現中日監督)と、居場所がないのをわかっていて(しかも他球団の誘いを断ってまで)巨人に来た広沢は対照的な例だった。
で、こんな選手がベンチを暖め、前途ある選手が飼い殺しになっているチームの野球が面白いだろうか?

最近では巨人戦の視聴率も低下の一途を辿り、ここにきてようやく番組編成の見直しに言及するところも出てきた。
日本テレビが巨人戦に固執するのは系列メディアだから許せる。

しかし、日本でたった数局しかないテレビ局がすべて巨人戦の中継権を争うことはないのだ。

もしかすると、今回の球団の再編劇と巨人戦の視聴率の低迷が、プロ野球界とメディアを変えるかもしれない。
そうなるなら、私はまたプロ野球を見るために時間を割き、球場にも足を運ぶだろう。

***************************************
今季の巨人戦視聴率、「史上最低」が濃厚に (2004.9.30 日経新聞)

ビデオリサーチは30日、9月にテレビ各局で中継されたプロ野球巨人戦ナイターの月間平均視聴率が関東地区で8.8%だったと発表した。
年間平均視聴率は9月末現在で12.2%にとどまった。巨人戦は残り5試合しかなく、1989年の調査開始以来、史上最低を記録した昨年の14.3%を下回る公算が大きくなった。

日本人選手のメダルラッシュに沸いたアテネ五輪に視聴者を奪われた8月は、8.7%と巨人戦中継で過去最低の月間平均視聴率をマーク。
テレビ局側は9月の人気回復を期待したが、巨人の成績低迷やストライキなどの影響で、視聴率は思い通りに伸びなかった。
民放キー局の中には「番組ソフトの柱が揺らいでいる」(フジテレビ)として、来年の巨人戦ナイター中継について編成を見直す動きが出始めている。〔共同〕 

**************************

コメント

タイトルとURLをコピーしました