就活の狙い目はライフライン系企業か

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ビジネスをする男女

去る15日の朝日新聞に「有休の取得率47% 祝日多く取りにくい? 2009年調査」という記事が掲載されていた。

ここで休暇のことを書いても、8月15日に書いた「ワークライフバランス、太平洋戦争の敗戦から65年目に思うこと」の重複になるし、少なくとも20年以上、この問題に関してウォッチしている私に言わせれば、いくら政府が法改正をしようが、キャンペーンを張ろうが、「お役所の掟」や「在日日本人」の著書がある故宮本政於氏が言ったような「滅私奉公の強要」と、それに対する「自粛」いう日本人サラリーマンに巣食う根本的なメンタリティを正さない限り、是正は不可能だと思っているので、今回は別の視点から書こうと思う。

いわゆるブラック企業と呼ばれる会社に間違って(!?)就職すると、人生が台無しになるとさえ言われる昨今、その実態を暴露した情報がウェブ上には散見する。

例えばブラック企業ランキングや夕刊フジに掲載されている“ブラック企業”従業員の告白などがこれに該当するだろうか。
これらの企業に勤めたからといって「人生が台無しになる」というのは大袈裟だと言う人もいるだろうが、私に言わせれば台無しである。

なぜなら「人生を楽しむ」ということが可能なのか、という視点から見た場合、クレスチョンマークが100あっても足らないからだ。
そこで逆の視点から物事を見ると、ブラック企業とは別世界の美味しい会社(!?)が見えてくる。

厚生労働省が発表した2009年の就労条件総合調査で有給休暇取得率74.2%と最も高かった電気・ガス・水道業、これらはいずれもライフライン系企業だ。
学生の就職先人気ランキングにも登場しないような地味な企業のため、公務員と違ってマスコミの餌食にもなりにくく、しかも好不況に左右されにくい。

もしかすると独占企業体にありがちなコネ入社組が多く、狭き門なのかもしれないが、ベンチャー(起業)よりも安定を望む日本人にとっては大きな狙い目とも言えるだろう。

ちなみに、先月泊まったバルセロナのChiquitoという日本人宿で、ある旅行者が私に言ったことがある。

「ここに泊まっている人で女性はほとんどが社会人ですね。勤め先は市役所とか勝ち組企業ってやつですね。」
私が「勝ち組企業」って例えばどんなところ、と聞くと、彼は「まあ、東京電力とか東京ガスとかですね。」と・・・

いかがだろうか。

財産を無くす人財産を残せる人」の著者である事業再生研究会の会員、税理士の清水洋(しみず・ひろし)氏はこう言う。

「バブル崩壊過程で資産を失った人の多くは政府や企業、金融機関の言うことを聞いてきた『正直者』たちだった。本来ならば『正直者がいい結果を見る』社会でなければいけないのだが、これからもそうはならないだろう。従って、彼らの言うことだけを鵜呑みにするのではなく、むしろ彼らの言うことに常に疑問を持ち、反対のことをやった方がいい。」

彼の言葉はそのまま就職活動にも当てはまる。
本質的に企業の経営者と労働者は利害が対立するものだ。
従って、経営者の眼鏡に適うようにするための就活マニュアルには「人生を楽しむための就活術」なんて項目があるわけがない。

普通の会社に勤める普通の人々」で書いたように、私に言わせれば、バブル経済の最盛期でさえ、日本の企業の中から今で言うブラック体質でないところを探し出すことは、ピーターリンチの言うテンバガー(ten-bagger=買値の10倍騰がるような優良株)を見つけるほどに難しかったのだ。

労働市場が未成熟な日本において人生を台無しにしないためには、地味なベタ記事から拾った地味な統計調査を参考にするといいだろう。
さもなければ、外国で稼げるだけのスキルを身につけるか、雇われないで済む(自分が経営者になる)方法を考えるしかないようだ。

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有休の取得率47% 祝日多く取りにくい? 2009年調査 (2010.10.15 朝日新聞)

厚生労働省が14日発表した就労条件総合調査によると、2009年の年次有給休暇の取得率は47.1%(前年比0.3ポイント減)で、10年連続で50%を下回った。
企業が従業員に与えた年間の平均日数は17.9日だったが、取得は8.5日。有給休暇を取ることをためらう傾向が続いている。

従業員30以上の企業6143社を対象に調査し、4406社が回答した。
企業規模別の取得率は1千人以上では53.5%だったが、300~999人は44.9%、100~299人は45.0%、30~99人は41.0%にとどまった。

業種別では電気・ガス・水道業が74.2%で最も高く、宿泊業・飲食サービス業が31.4%と最も低かった。
与えられる有給休暇日数が年間25~30日と多いイギリスなど欧州各国では、取得率はほぼ100%。

日本の場合、祝日などが欧州各国より年間4~7日多い。厚労省の担当者は、「祝日の多さも取得率伸び悩みの要因の一つになっている」と分析する。
厚労省は、計画的に有給休暇をとりやすくする制度を導入した企業への助成金制度を2008年度に導入。

今春には労働時間等設定改善法に基づくガイドラインを改正し、労使で有給休暇の取得状況を確認した上で、取得率の数値目標を設けることを努力義務にした。

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コメント

  1. かじ より:

    こんにちは、ブラックの企業を辞めた人間です(笑)。
    自分でもよく病気に(精神も含め)ならなかったと思っています。
    地方では。
    (1) 公務員 (県庁、市役所、村役場勤務、教師、保育士、警官、消防士、バスの運転手、国の出先機関の職員など多種多様)
    (2) 議員(村議会、町議会、市議会、県議会議員など)
    (3) 電力会社、ガス会社 勤務
    (4) 地方銀行、信用金庫等、地場金融機関 勤務
    (5) NTT、郵便局、JR(私鉄、公営交通機関含)勤務
    (6) 農協、漁業組合、林業組合、商工会議所など、業界団体に勤務
    ここまでが勝ち組で残りが負け組
    (7) 農業、漁業、林業 従事者
    (8) 飲食店、小売店の店員
    (9) 工場のラインワーカーとか旅館など宿泊施設の従業員
    (10) 介護職
    ですよね・・・・国民のほとんどが(7)以降です。

  2. カルロス より:

    かじさん、こんばんは
    最近じゃ地方銀行、信用金庫等、地場金融機関 勤務
    は勝っているとも思えないですが、都会と地方では感覚が違いますか?

  3. かじ より:

    そうですね、最近はだいぶ落ち込んでいるようですが。
    銀行は正社員なので、平均年収は公務員並みと聞いています。

  4. カルロス より:

    >銀行は正社員なので、平均年収は公務員並みと聞いています。
    労働時間のうちサービス残業とかを入れて計算すると、地方の銀行員は意外に高給でもないかも・・・
    まあ、それでも羨ましいという人はいるんでしょうが

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