民主党怒涛の308議席、ついに政権交代

この記事は約4分で読めます。

2009年8月31日 民主党への政権交代を報じる新聞

去る8月30日の総選挙で民主党が308議席を獲得して衆議院で第一党となり、来る16日召集の特別国会にて鳩山代表が首相に選出されることが確実となった。(関連記事:日系メディア BBC Financial Times/日本語訳版付

このことに関して詳しく書くのは別の機会にするとして、私が思うに、硬直した日本の政界でようやく民主主義国家としては当然とも言うべき「与野党の獲得議席逆転による政権交代」が実現したということが一番大きなことだと思う。

今まで自民党がどんなに悪政をやろうが、それに代わる野党がなかったことが、1955年体制以降、細川・羽田連立内閣の時期を除けば、55年間も政権交代がないという、世界でも稀有な存在であり得たのだ。

今回、民主党に投票した人の多くは、一度政権交代をした方が日本のためであるといった動機だろう。

私もたびたび書いているが、今までの選挙でも、たとえ野党の政策が不満でも、自民党の長期政権が官僚を堕落させ、政治・行政に緊張感を欠いたと信じているからこそ、彼らに入れてきた。

今回とて、民主党の政策に共感してというよりは、自民党の老醜議員を駆逐するための千載一遇のチャンスとみたからだ。
民主党の政策集にはいろいろ書いてあるが、自民党政権との一番の差異は情報公開になるだろうか。

当然ながら一般紙やテレビでは報道すらされなかったようだが、民主党の鳩山代表は5月16日の代表就任後の会見で政権交代の暁には官邸の記者会見をすべてもメディアに開放することを宣言している。

今週発売の週刊誌、夕刊紙が一様に「歓迎民主党」なのはそういった側面もある。
逆に、テレビ局が早速あら捜しを始めているなどと聞こえてくるのは、記者クラブ開放が彼らにとって割を食うからか。

また、閣僚就任が予想される顔ぶれを見ても、少なくともITがダメなどという老醜議員が大臣になるようなことは確率的に少なくなるだろう。

そういった意味ではITを使った電子行政が進むことも期待できるし、役所のウェブサイトに情報を載せるとオレの仕事(役所の情報をもったいぶって支持者に知らせること)がなくなる、などというバカな地方議員もいなくなるだろう。

理想を言うならばシンガポール並みになって欲しいとも思う。
それに、今まで無駄金ばかり使って役に立たない電子申請システムも、大臣自らが検証できるような人材がトップになれば、今後は改善されるだろう。

電子投票もそうだ。
現行制度下だと全国の自治体で選挙のたびに大量動員される公務員の人件費だってバカにならない。

例えば、電子投票先進国とされているブラジルは、国際経済的にはBRICsの一角を占めているが、未だにスラムなども多く、コンピュータなど知らない住民も多いだろうに、電子投票が全面的に導入されているのだ。

もはや、こういう時代において、自分の名前を自書してもらいたいなどと言って、電子投票法制に反対していた自民党の老醜議員にはお引取りいただくしかない。

一方、大きな懸念は、右派系の人ならずとも気になる外交と国防・治安政策だ。
奇しくも前回の細川連立政権のときの新生党代表幹事は現在の民主党代表代行の小沢一郎氏、彼が当時の社会党に国防政策の「踏み絵」をさせ続けたことが社会党の連立離脱を生み、仰天の村山政権誕生となっただけに、今回も同じ轍を踏まないとも限らない。

当時と今とではお互いの衆参両院の議員数は天と地ほども違うが、今回、民主党が社会民主党、国民新党と連立政権を組むのは、今の参議院の情勢を見据えたものだから来年の夏の参議院選挙まで小沢氏が社会民主党に我慢できるかというのが大きなカギになるに違いない。

何と言っても連立相手の一つ、社会民主党の福島瑞穂党首は「警察官の拳銃使用は絶対反対。犯罪者と言えども人権はあるから傷一つ付けてはいけない。たとえ凶器を持った凶悪犯と言えども警察官は丸腰で逮捕に向かうべき。警察官がそれで殺されてもやむを得ない。無理に犯人を捕らえなくともいいのでは。」などとテレビで公言して、スタジオ中を仰天させた経歴の持ち主、民主党の隠れ極左議員ともども国防・治安政策のガンになりかねない。

それでも今は日本の政権交代を祝しておきたい。
その理由は最初にも書いたとおり、戦後60年以上たってようやく大正デモクラシー以来の複数政党制が機能することが立証できたからである。

コメント

  1. 過去への旅人 より:

    上記の記事の読み方がわかりません。
    縦読みではないようですが。
    まさか、文字通りではないですよね。
    一体どういう人が民主党に一票入れたのか、調べています。

  2. カルロス より:

    >一体どういう人が民主党に一票入れたのか、調べています。
    お疲れさまです。
    分析結果が出たら当然公表いただけますよね。
    今からで結構ですので、貴殿のウェブかブログのURLをお教えください。

タイトルとURLをコピーしました