新年相場は期待できるか

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投資のイメージ

ワールドインベスターズの香港オフから帰国して以降、世界市場が緩い上昇カーブを描き始めている。

これが一時的な反発なのか、底打ちのサインなのかはわからないが、最近行われたメリルリンチの月例調査(Merrill Lynch survey)でも悲観論が若干和らいでいるとの見方がされた。


今日のロイターニュースでも、クレディ・スイスが日本を除くアジア株式市場について、「オーバーウエート」リストのトップに挙げた、と報じられ、一筋の光明が見えてきたような感がでてきた。(日本以外のアジア株をオーバーウエート、回復をけん引=クレディ・スイス

果たして新年相場は期待できるのか。
キーはやはり米国のビッグスリーの行方次第か。
16日にFRBが政策金利を0-0.25%へ引き下げ、実質上のゼロ金利政策と量的緩和策の導入を決定した(FRBが政策金利を0-0.25%へ引き下げ、一段の措置示唆)ことにより、金融政策面では、すべての手を打ち尽くしたとも言える。

このカンフル剤のおかげで投資家の悲観は和らぎ始めており、悪材料にもそれほど過敏に反応することが少なくなってきているようだ。
もし、敢然と買いに入るなら、プロのファンドマネージャーが「まだ買い急ぐときではない(There was no rush to buy yet.)と言っている今がチャンスとも言える。

依然として米国市場の行方が世界市場に与えるインパクトは小さくないが、現在の反騰相場が、オバマ次期大統領就任後、100日間のハネムーンと呼ばれる期間(メディアや議会が大統領の信任に譲歩し挙国一致で共同歩調を取る期間)で終わるのか、あるいは歴史に名を刻むような経済政策を実施することができるのか。

もし、ハネムーン期間だけの反騰であれば、それこそ1930年代初頭の暗黒時代へタイムスリップすることになる。
米国大統領選でケネディの再来とも言える人気を博したオバマ氏、その手腕には今後10年の世界経済の浮沈すらかかっていると言っても過言でないだろう。

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Investor pessimism eases at year end-Merrill poll (投資家の悲観は和らいでいる)
By Jeremy Gaunt, European Investment Correspondent
(Dec 17, 2008 Reuters)

LONDON, Dec 17 (Reuters) – Pessimism among investors is levelling off and there are fewer fund managers expecting the global economy to get worse next year, a monthly Merrill Lynch survey showed on Wednesday.

The U.S. financial firm’s December poll of 196 fund managers across the world also showed a widespread perception that equities are cheap after more than a year of steep declines, although few are prepared to jump back into stocks yet.

水曜日に発表されたメリルリンチの月例調査によれば、投資家の間では悲観論が横ばいになってきていて、来年の世界経済が悪化すると予測するファンドマネージャーはより少なくなってきていることを示した。

また、世界中の196人のファンドマネージャーによる米国の金融会社の12月の調査は、1年以上にわたる急落により株価が割安であることは広く認識されているが、今のところ株に戻る準備がなされているのは少数派であるということも示した。

“Pessimism seems to be bottoming,” said Karen Olney, a Merrill equity strategist.
The poll showed a shift in sentiment about the global economy, which is widely seen to be in a recession.

Although most respondents — 63 percent — continue to expect more deterioration in 2009, the numbers are falling.
At 26 percent, more than a quarter now expected the world economy to improve over the next 12 months. That compares with 22 percent in November and 16 percent in October.

メリルリンチの株式ストラテジストのカレン・オルニー氏は「悲観論は底打ちしたように思える」と述べた。
この調査は景気後退の中にあると見られている世界経済に関して投資家心理の変化を示した。

それでも大部分の回答者(63%)は、2009年はもっと悪化すると予測し続けているが、その数は減少してきている。
四分の一以上の回答者(26%)は今後12ヶ月間に世界経済が改善すると予測した。これは、11月の22%と10月の16%に匹敵している。

“(There’s) a little bit of light at the end of the tunnel,” said Gary Baker, Merrill’s head of EMEA equity strategy. “There are tentative signs that the (survey) panel is seeing the pace of economic deterioration starting to moderate.”

メリルリンチの欧州・中東・アフリカ(EMEA=Europe, the Middle East and Africa)株式投資戦略部門の責任者であるゲーリー・ベーカー氏は、「トンネルの向こうにかすかな光が見える」と述べ、また、「調査の回答者たちが経済の悪化の速度が鈍化し始めていると考えている不確かな兆候がある」とも述べた。

He said part of this could be put down to the growing belief among fund managers that monetary policy globally is about right for the economic conditions.
This was particularly the case regarding the United States, which slashed rates to juts 0.25 percent on Tuesday after the polling, and Britain. Policy in the euro zone and Japan are still considered too restrictive, Baker said.
“The debate has moved on to fiscal policy,” he said.

彼は、「この結果の一部は、金融政策がこの経済情勢にとって世界的に概ね正しいというファンドマネージャーの間で高まる信仰に帰すことができよう」と言う。
これは、この調査後の火曜日に突然に0.25%に金利を下げたアメリカとイギリスの場合で顕著だった。ユーロ通貨圏と日本では効果があまりに限定的なため今後も織り込み済みと見られよう。
議論は財政政策に移っている、と彼は述べた。

NOT STOCKS YET(株はまだ)

The poll showed fund managers consider stocks to be cheap, with 86 percent saying equities are fairly valued or undervalued.
But there was no rush to buy yet. Cash and bonds remain in favour.

Specifically, 56 percent of respondents were underweight equities while 51 percent are overweight in cash and 47 percent overweight in bonds. Within stocks, only U.S. equities were favoured.

この調査は86%のファンドマネージャーが株が相当にお買い得であるか過小評価されていると言うくらい安いと見ていることを示した。
しかし、まだ買い急ぐレベルではなく、現金と債券は相変わらず好まれている。

具体的に言うと、回答者の56%は株をアンダーウェイト(資産配分を決定する際に、ある投資対象への配分比率を、基準となる資産の配分比率より少なくすること)にしていた上に、51%の回答者は現金をオーバーウェイト(資産配分を決定する際に、ある投資対象への配分比率を、基準となる資産の配分比率より多くすること)に、47%の回答者は債券をオーバーウェイトにしていた。
株式の中で米国株だけは気に入られていた。

Baker said all this — including the heavy cash positions — pointed to investors adding to recent small gains on stock markets.
“We see all the ingredients in place for the current rally we are seeing to be sustained into the new year,” he said.

ベーカー氏は、大きなキャッシュポジションを含めて、これすべてが、投資家たちが株式市場で小さな利益を増していることを示した。そして、「我々は新年を持ちこたえると予想しうる、最近の反騰相場のすべての要素を適切に調査している」と述べた。

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コメント

  1. ジョニー より:

    判断に難しいところですね。
    機械的な買い増しは資金難に来たので止まってますが、余裕資金があれば1/3くらいは入れたいところです。
    100年に一度ならまだ下げ半ばですね。

  2. カルロス より:

    >100年に一度ならまだ下げ半ばですね。
    そうなると日米ともに国民生活は悲惨ですね。
    私も安穏としてられなくなります(苦笑)
    そうならないことを祈りたいものです。

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