中国株投資家の憂鬱

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落ち込む男性

昨年は飛ぶ鳥を落とす勢いだった中国株の代表的指数の一つであるCSI 300 Indexが下げ止まらない。

イースター休暇で欧米・香港市場が休場だった今日も陰線引けとなり、4,000ポイントの大台を割って3,857.09ポイントで引けた。
昨年秋には6,000ポイントを抜こうかという勢いだったことを思えば隔世の感がある。


その中国株の代表的銘柄であるペトロチャイナ(PTR 0857.HK 601857.CH)の株価は昨年秋に記録した最高値の水準からいずれも半値以上下げている。

2月28日付のBusiness Weekの記事”The Squeeze on PetroChina“(邦訳は3月17日号の日経ビジネス「ペトロチャイナの憂鬱」)によれば、親会社の中国石油天然気集団(CNPC/China National Petroleum Corp)が残虐行為がはびこるスーダンに投資しているとして人権擁護団体の標的となっている。

それにも増して、中国国内の産油量減少を補うため、国際市場で1バレル当たり100ドル払って石油を輸入しなければならないと同時に、中国政府からは国内消費者向けの燃料価格を補助しろと命じられているとのことだ。

これらが相俟って、2007年通期決算は前年比2%増益となったものの、アナリスト予想を下回り、中国市場における同社の株価はさらに下落した。
Business Weekはペトロチャイナについてこう締めくくっている。

「海外での割高な原油調達価格と政府が決定する国内販売価格との差額を埋められるようになるまで、ペトロチャイナの収益と株価には重圧がのしかかるだろう。(Yet until PetroChina can close the gap between the high price of oil it buys abroad and the subsidized prices at which it must sell it at home, its earnings and stock price will remain under pressure.)」

要するに、原油先物価格が今のまま下落を続けて中国政府の言う適正価格になれば同社の収益も改善するという読みだろう。
しかし、意外な局面で共産主義の本性を現した中国政府に対する投資家の懸念が消えるまでにはしばらく時間がかかるかもしれない。

さらに、それに輪をかけるように14日にはチベット自治区で暴動が発生した。
今のところ、これが第二のミア・ファロー(Mia Farrow)を生むことになっていないが、予断は許さない状況にあるとも言える。(米フィデリティとバークシャー、ペトロチャイナ株売却運動の標的に

また、中国政府が国威発揚と期待するオリンピックもWHOが北京の大気汚染に警告(WHO fears over Beijing pollution)を発し、IOCも望ましくない(IOC says Beijing air not ‘ideal’)と公言するに至って、それこそ成功に暗雲が漂い始めている。

このままいけばさらなる中国売りが加速する可能性もある。

もし、CSI 300 Indexが半値を割るようなことがあれば、それこそ天安門事件の再来があるかもしれない。
何と言っても中国の庶民は「政府が株を買い支えてくれる」と真剣に思っているのだろうから・・・

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