国債の評価損は大きくなる一方じゃないのか

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外貨と英字新聞

朝日新聞によると、2003年度の日銀の赤字決算は、国債の評価損が原因の一時的なもので、今後はこの理由によって赤字になることはないという。
その理由は資産の評価法が変わるからだということらしいが、根本的なところで赤字が解消されるわけではないらしい。

財務省は2003年春以降、市中で消化し切れない国債を国民に売りつけようとやっきになっており、コンマ以下の金利差につられてお年寄りがたくさん買っているらしい。

こういうことは本来であれば息子や娘がやめさせるべきなのだが、核家族化で一緒には住んでいない人が多いし、当の息子や娘が「1円でも利子が多く付くなら」という考えを持っている場合すらある。
この考えに国民を誘導することは政府の策略であり、それに乗せられることは実に危険だ。

政府は狡猾にも物価連動国債(インフレ連動債)を「機関投資家」に対してのみ売っている。
つまり将来のインフレヘッジのできる国債を目端のきく外国人投資家には売るが、自国民にはインフレになれば無価値になる国債を平気で売り続けようとしているのだ。

日銀の持っている国債が評価損になっているということは、個人が持っている国債を中途換金しようとすれば、同じ運命が待っているとは思わないか?
政府が売っている個人向け国債は長期金利に応じて半年毎に金利が見直されると言うので人気があるらしいが、私は今のデタラメな経済運営が続く以上、投資の対象とは考えられない。

要するに、コンマ以下の国債を買うということは満期になるまでデフレが続き、得をするという経済認識でいるのと同義なのだからだ。
そういうことを意識できない老親を救うのはあなただ。

国債の購入はコンマ以下の金利差で決めることではなく、あくまでも他人(政府)に金を貸すのだから借主(政府の財政政策)が信用できるかどうかで決めることなのだ。

日銀をはじめとする日系金融機関の国債残高は政府のバカげた経済政策のおかげで増え続けるに違いない。

景気回復(株価上昇)に伴って、国債価格が下落し、邦銀が大量の保有国債を投売りし始めたとき、悲劇のゴングが鳴ることだろう。
それは案外と近いのかもしれない。(週刊現代(2003.2.8) 「怒りの大特集」 国債は間違いなく暴落、紙くずになる

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日銀32年ぶり経常赤字-原因は国債の評価損 (2004.6.7 朝日新聞 by 星野眞三雄)

日本銀行(8301)の2003年度決算は32年ぶりの経常赤字(222億円)だった。
米国が金・ドルの交換停止を表明した「ニクソン・ショック」で急激な円高となった1971年度(2298億円の赤字)以来の赤字転落となる。

赤字の最大の要因は、日銀が保有する国債の評価損だ。
日銀は量的緩和政策のもと、月に1兆2千億円の長期国債を買い入れ、巨額のおカネを供給している。

2003年度末の国債残高は初めて100兆円を超え、1年間で11兆3707億円も増えた。
一方、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りは2002年度末の0.7%から2003年度末は1.435%に上昇(債券価格は下落)。長期国債の評価損などで1兆1299億円の損失を計上した。

一般企業の当期利益の相当する当期剰余金は、銀行保有株の買い取りに伴って2002年度に積み立てた株式取引損失引当金658億円をすべて取り崩し、黒字を確保した。
それでも2002年度比9割減の555億円で、株価の上昇がなければ当期赤字に陥る可能性もあった。

自己資本を増強するため当期剰余金のうち83億円を法定準備金に繰り入れたこともあり、国に納める国庫納付金は472億円。1964年度以来の低さだった。

ただ、保有国債が原因で赤字に陥ることは、今後なくなりそうだ。
これまで日銀の国債の評価方法は低価法で、時価が簿価を下回った場合、すべて損益計算書の損失に計上していた。
このうち満期まで保有する長期国債は、2004年度決算から償却原価法に変更し、金利が国債の価格に与える影響はなくなるからだ。(有価証券等への時価法の導入

日銀の財務体質が弱くなっても、日本銀行券(紙幣)の信用がすぐに失墜するわけではなく、国民生活への直接的な影響は考えにくい。
しかし、ニクソン・ショックで1ドル=360円の固定相場が崩れた「異常事態」以来の赤字は、いかに日銀が大量の国債を買い支えているかという「隠れた異常事態」を浮き彫りにした。

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