省エネルックに思う

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日本地図とビジネスマン

2002年に起きた東電原発トラブル隠しに端を発した、今年の電力危機に際して日本の首都圏のサラリーマンの夏の装いに変化が出てきているようだ。
特に女性から酷評されていた真夏のスーツ姿が徐々にではあるが変わりつつあるようだ。

誰が何を言っても変わらなかったものが電力危機に際してようやく変化が出てきたことを歓迎したいところだが、ほかの地域の人々が何も関係ないかのように振舞っているように見えるのが気がかりである。

はっきり言って、真夏にスーツが着るというのは欧米の中でも夏でさえ涼しい地域のことであって、ほかのところではそんな格好をしているのは一部のエリートだけであろう。

これは私の旅行中の体験からも言えることなのだ。
それにスーツ自体、日本の気候風土にあってるとは思えない。

また、男性顧客がアパレル市場に参入することは経済にもいい影響を与えることになる。
いつまでも女性と子どもだけが市場にいればいいというものではないからだ。

電力消費を節約することによって、環境に好影響を与え、アパレル市場にも活況をもたらすかもしれない。
経済効果、経済効果と何でもそれに結び付けなければ行動できない日本の経営者や管理職を動かすためにはこうした論理展開も必要なのかもしれない。

もし、電力危機が去り、来年また酷暑の中のスーツ姿が報道されるようなら、円暴落による本当のエネルギー危機が起きるまでそういった茶番が繰り返されることだろう。

省エネルック-近ごろ都に流行るもの(2003.7.19 産経新聞)

この夏は、原発不祥事に瑞を発した省エネキャンペーンの影響で、服装自由化に踏み切る会社が急増。冷房控え目のオフィスで、ビジネスマンの装いに異変が起きている。

ノーネクタイはもちろん、日本男児の究極カジュアル「ゆかた」出動者も現れた。高温多湿の風土を無視した、汗だくスーツにもようやくサヨナラ?。

紳士服業界では「低迷に追い打ち」と思いきや、男性ファッションが成熟する好機と見る声もある。(重松明子)

■ビジネスマンの装いに異変

「素足に雪駄がこんなに、涼しいものだったとは!」プランタン銀座の木□雄史さん(41)は、浴衣姿でパソコンに向かっていた。担当は販売促進。「印刷会社や広告代理店の方に一瞬驚かれましたが、笑顔で対応していただけた。だらしくなく見える着崩れには気を付けています」

この百貨店では今月中旬の三日間、全従業員を対象に「ゆかた出勤」を提案。男性の四割が参加する積極性をみせた。「営業マンも商談相手によつては浴衣着用。スーツに染み込んだ男の汗臭さが気にならず、職場の快適性が増しました。大好評を受け、月末にも再実施を検討中です」と広報の福原裕紀さん(25)。

「いや-。暑いですね」「霞ヶ関も暑いよ」「28度ですって、ウチは?」産経新聞東京本社のエレベーターでも、こんな会話が挨拶がわりとなっていた。節電実施に伴い、ノータイ・ノージャケットの”省エネルッククが推奨されているのだ。

「あらめる分野の多数の企業にご協力いただいております」と東京電力広報はキャンペーンの手ごたえを語る。
別件で取材に行った化粧品会社でもこの夏から省エネ対応。
「だけど、スーツの上着脱いでネクタイ外しただけじゃ酔っ払いみたいだし・・・」と男性社員は困惑顔だった。

■電力危機がノータイ普及の好機

「ノータイ用のシャツをください」。紳士服売り場ではそんな客が目立っている。「一枚でサマになるワンピースカラーのシャツが、この夏のヒット商品」とは、オンワード樫山「23区オム」商品課の山口栄一課長(34)。

みどころとつながった襟の折り返しがエレガント。別名イタリアンカラーとも呼ばれ、ここ一年程で日本のビジネスマンにも広がり始めた。「スポーツウェアに使われる鹿の子織りのシャツ仕立ても涼しいと好評。メリハリを出したい方にはニットベストも売れている。

ブランド全体の売上は前年の二ケタ増です」と好調さをアピールする。
「『ビジカジ』(ビジネスカジュアル)の造語も登場。コットンスーツはじめ、オンオフの境界のない服がトレンドです。この流れが省エネを契機に、幅広いビジネスマンを巻き込む形になってきた。

スーツのようにごまかしがきかないから、上司より部下の方がカッコ良い、なんてことも起きてくる。男性もそれなりに洋服に投資するようになるのでは」と期待を寄せる。

「去年の夏はゴルフウェアが主流でしたが、今年はボタンダウンにチノパンが最も多い。徐々にセンスアップされてきたようです」 損保ジャパン人事部・前田均課長(41)はそう笑った。自ら半袖シャツにコットンパンツ姿で取材対応。同社は大手金融で初の服装自由化から一週年を迎えた。本来の目的は「自由でオープンな新しい企業文化の醸成」だが、この夏は省エネの観点から強化。

「営業や損害調査部門にもTPOに応じた実施を呼びかけている」と前田さん。社内アンケートでは九割以上が服装自由化に賛成しているものの、本社ですら私服勤務が六、七割どまり。長年の”制服”を脱ぐに脱げないビジネスマンが依然多い実態も物語る。

この夏の電力危地は回避された模様だが、炎天下のスーツ・ネクタイ姿は悲惨で異常だ。これを機に、日本らしい仕事着の定着を願いたい。

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