REIT(不動産投資信託)の宴は終焉間近か

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エンパイアステートビルからの眺め

私のコラムの中で最も多くの訪問者数を誇る記事に、2012年4月22日に掲載した「500万円の投資で毎月10万円、年率20%の分配金で束の間の宴を楽しもう」というものがある。

このとき私が投資した海外REIT型投信がダイワ米国リート・ファンドで、2012年6月に投資した元本とほぼ同額の税込分配金を貰い終えるのが、現在の水準が維持されると仮定すれば、2017年2月となる予定だ。

しかも、アベノミクス(第二次安倍内閣の経済政策)が花開いた2013年から2015年までは、これだけの高利率の分配金を出しておきながら含み益まで出ていたお化けファンドだった。
そう、おかげさまで「3~4年で終わるかもしれなかった束の間の宴」は5年間にも及ぶロングランになったわけだ。

ところが、米国の利上げが囁かれ始めた頃からRIET指数(Dow Jones Equity REIT INDEX)は下落に転じ、ついに、日本の代表的REITファンドである「フィデリティ・USリート・ファンド」(為替ヘッジなし)の分配金率が、2016年11月(今月)から引き下げられることが報じられた。

おそらく、私の保有しているファンドも同様の運命を辿るのは時間の問題だろう。
「海外REIT型投信は利回りを重視する高齢者などに根強い人気がある。」

毎月分配型投信に関しては、いくら証券会社のカウンターでタコ足分配のリスクがあることを説明されようが(説明されたことを理解できない人も多いと思うが)、老齢年金だけでは快適な生活が営めない現実の前には無力なのだ。(2014年4月6日-公的(老齢)年金受給額試算でわかる厳しい老後の現実

もちろん、私も彼らと同じ渦中にいるようなものだから、来年以降の投資に関してはリバランスを含めてどうするか真剣に考えないといけない。

今週発売された日経ヴェリタス(2016年11月20日~11月26日号)には、「REITから外債ファンドへ」という記事が掲載されていた。

日興リサーチセンターによると、11月は為替ヘッジ付きの外債ファンドに185億円が流入したそうだ。
米国の利上げが現実化するに従って、こういった流れは加速するのだろうか。

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海外REIT型投信、減配の波 個人マネー流出危惧
(2016.11.21 日経新聞)

海外の不動産投資信託(REIT)で運用する投信で、分配金を相次ぎ引き下げる「減配ドミノ」が起きている。

11月15日にはフィデリティ投信が最大の公募投信「USリート」を減配すると発表した。
米国のREIT市況が停滞するなか、過度な分配金で元本を取り崩す現在の状況を見直す。
他の投信にも同様の動きが広がる可能性は大きく、個人マネーの流出を危惧する声が広がっている。

フィデリティは11月から「フィデリティ・USリート・ファンド」(為替ヘッジなし)の分配金を従来の100円から70円に引き下げる。引き下げはほぼ4年ぶりだ。

70円の分配金を続けた場合、現在の基準価格なら分配金利回りは20%程度に下がる見通しだ。

投信が支払う分配金は2種類ある。
運用で得た収益を分配する普通分配金と、投資家が払い込んだ元本を払い出す特別分配金だ。

運用が不振でも高水準の分配を続けるなら特別分配金を充てるしかないが、元本を支払うと基準価格が下落する。

同ファンドの基準価格は今年に入り3割近く下落しており、実態に見合った分配方針に転換する。
投信を販売する証券会社では警戒ムードが広がる。

「来週が怖い」。フィデリティの発表翌日、大手証券の営業担当者はこんな不安を口にした。
分配金が口座に振り込まれるのは21日だ。「異変に気づいた顧客から問い合わせが殺到しそうだ」と身がまえる。

海外REIT型投信は利回りを重視する高齢者などに根強い人気がある。
特に2月の日銀のマイナス金利導入から資金流入が加速し同タイプの投信には1~10月で2兆円強の資金が流れ込んだ。

純資産残高は8兆円を突破し、今や公募投信全体のほぼ1割を占める。
しかし実態は苦しい。

米REIT指数(S&Pグローバル算出、ドル建て)は2009年から一貫して上昇してきたが、今年半ばに下落に転じた。
米長期金利の上昇も不動産市況には逆風だ。
既に分配金を引き下げた海外REIT型投信は多い。
今年は10月までに22本が減らした。

ただ、純資産残高が1兆円を超える大型投信の減配はフィデリティが初めてだ。
国内では他に2本の1兆円ファンドがある。
いずれも分配金利回りは2割を超え、基準価格の下落に歯止めがかからない。

運用会社は「(分配金は)基準価格の水準などを基に毎月、適切に判断する」(日興アセットマネジメント)と説明するが、「追随するのは時間の問題」(ネット証券大手)との声は多い。

証券業界には苦い記憶がある。
かつて一世を風靡した「グローバル・ソブリン・オープン」は2009年の分配金引き下げを契機に資金が流出した。
2008年には6兆円近い資産残高があったが現在は約6500億円にとどまる。

USリートの決断もマネーの流れを変える転換点になるかもしれない。(井川遼、川上穣)

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コメント

  1. 梅屋敷 より:

    毎月分配型ファンドを買うのは恥ずかしい!
    投資の常識が欠如してると思われるから。
    投資信託は、購入手数料はゼロ、信託報酬は0.3%未満、無分配のファンドに限りますな。
    http://noload.558110.info/

  2. カルロス より:

    梅屋敷さん、コメントありがとうございます。
    常識で考えればそれが正しい選択ですね。
    私はETFも投資の初級者には勧めてますが。

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