越境の第一歩、ロングステイセミナーに参加してみた

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2013年3月23日 飯田橋の桜並木

昨日、ファイナンシャルアカデミーで行われた「ロングステイはそう遠くない世界ですセミナー(有料)」に参加してみた。

講師は財団法人ロングステイ財団の山田美鈴さんと、持田正美さんに、トロピカルリゾートライフスタイル(コスモス・プラン)の大塚公朗氏の3名、講師の顔ぶれからマレーシアのことが中心になることは容易に想像できたが、財団が実施したアンケート調査でもマレーシアはここ6年ばかり、ロングステイ希望国の第一位となっているそうだ。

直近の2011年度の回答結果でも第一位がマレーシア、第二位はタイ、第三位はハワイ、次いで第四位以下、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、インドネシア、フィリピン、台湾、シンガポールと、10位以内にアジア諸国が6カ国、英語が公用語の国が7カ国と、アジアかつ英語が通じる国がロングステイの候補地の主力となっている。

山田さん曰く、ロングステイの手始めは、財団の海外サロンがある国から始めるといい、と勧めていた。

ところで、ロングステイというのは、生活の主たる源泉を日本に置きながら海外の一ヶ所に比較的長く(2週間以上)その国の文化や生活に触れ、現地社会での貢献を通じて交際親善に寄与する海外滞在型余暇という定義だそうだ。

単純に言えば、余暇を過ごすということなのだから、基本的には働かないということで、財団が提供するビザの情報も「退職者査証等」ということになっている。

私が早期リタイアを夢見た10数年前は、オーストラリアやニュージーランドの投資家ビザの取得要件も手が届きそうなレベルだったのが、今やビジネスオーナーにならない限り、つまりサラリーマン投資家では不可能なレベルにまでになっている。

従って、私の狙い目はタイ(Thailand)かフィリピン(Philippines)ということになるのだが、セミナーではこれに加えてマレーシア(Malaysia)の長期滞在(MM2H)ビザの説明がされた。

聞いてみると、国によって日本で申請できる場合と、現地でないと申請できない場合があり、年齢要件がない国の場合でも、ビザ取得に必要な資産要件(収入や預貯金)は、50歳以上の方が少なくて済むのだが、その年齢に到達するまでにいっそう円安が進行してしまうと、目論見が狂ってしまうリスクは大いにある。

大塚氏曰く、マレーシアのMM2Hビザは、申請にあたって年齢要件不問、10年有効で、ビザを取得した人は配偶者や21歳未満の子ども、60歳以上の両親の同行が可能とのこと、しかもビザを取得したからといってマレーシアに居住する必要はないそうだ。

資産要件は、収入や銀行預金について英文の証明が必要だが、日本語の場合は英訳してそれに証明を添付して提出するそうである。

ちなみに、ロングステイにおける医療保険については、海外旅行傷害保険への加入を勧めていて、日本居住者であれば、「日本の健康保険の海外療養費払い戻し制度について」も参考にして欲しいとのことである。

そして、現地の生活コストについては、セミナーの資料として財団発行の季刊誌「LONGSTAY」から抜粋した生活者の体験談が資料として配られていたので、それを読んでみた。

クアラルンプールで暮らす夫婦は、家賃(2,500リンギット)込みで月額8,800リンギット(約266,000円/1リンギット=30.2円で計算)、バンコクで暮らす夫婦は家賃(8,000バーツ)込みで月額35,000バーツ(約112,000円/1バーツ=3.2円で計算)となっていた。

セブ島で暮らす夫婦は、家賃なし(持ち家)で月額89,000ペソ(約205,000円/1ペソ=2.3円で計算)と書かれていたが、これは贅沢に暮らした場合のようである。

バンコクで暮らす場合は、私の友人のレポートによれば、家賃、ビザラン費用込みで月額平均57,000バーツ(約183,000円)、日本人のレベルの生活を維持するには最低でも40,000バーツ(約128,000円)あった方がいいと言うので、もう少しかかるように思える。

タイにビザなし滞在の場合、基本的にビザランは往復空路となるゆえ、その費用はバカにならないと思った方がいいだろう。
バンコクのロングステイの夫婦の場合は、その費用がないものとして計算した方が間違いないように思う。

最後の質疑応答のところで、私は現地の銀行口座開設について聞いてみた。

マレーシアについてはMM2Hビザの仮承認書(MM2H Conditional Approval Letter)を持って行くと現地口座が開設可能、私が興味があったタイについては、バンコク銀行なら観光ビザでも開設可能とのことだが、このあたりはインターネットで流れている直近情報と違っているような気もしたので、再確認が必要かもしれない。

ただ、財団のアンケートでは海外銀行に口座を開いて利用している人は少数派で、「キャッシュをどこに保管すればいいのか」という質問があるほどだという。

要するに、昨年まで為替相場の基調が全般的に円高傾向であったことや、ロングステイといっても日本の非居住者になっている人ばかりでないことが主な要因なのだろうが、私にしてみれば結構驚きであった。

従って、財団の人たちはそれほど各国の銀行口座開設要件に通じているわけではなさそうで、大塚氏の回答してくれたマレーシア以外の案件は自分で確認しないといけないだろう。

とりあえず、越境の第一歩、ロングステイセミナーはこんな感じで終わった。
驚くことに、このセミナーの参加者は私よりも上の50代が多いのかと思っていたが、蓋を空けてみると、30代や40代が出席者の大半であった。

私の友人の石田さんが最近出した本で「越境せよ! 日本で絶望するより国境のない世界で稼げ」というのがあるが、そのようなことを言われなくとも越境しようという人で会場は溢れていたのだ。

また、昨年の11月17日に東京ビッグサイトで行われたロングステイフェアは9,000名以上の参加者で溢れかえっていたそうで、私も行こうと思ったときには満員で締め切られた後だった。(財団のウェブサイトによれば今年も11月に開催の予定)

やはり東日本大震災(311)の後の方が海外ロングステイに関する相談が増えている、と講師の人たちは言う。
今回のセミナーの出席者の年齢層の想像以上の若さは、彼らの感じる日本居住リスク、つまり危機感の表れと言えなくもないだろう。

関連サイト

コメント

  1. FireFox より:

     ども、
     タイは現状 非居住者は口座開設できません。
    数年前までは証券口座を開設時に紹介状を発行してもらい、
    それで開設するのが唯一の手段でしたが、
    現在ではそれも閉ざされたようです。
     さらにタイの銀行は非居住者に対しては一切対応しません。
    唯一ネットバンクとコールセンターだけです。
    私はSCBに口座もっていますが、開設した支店が統合され、
    証券口座と連携できなくなり、証券会社から教えてもらって、初めて知りました。
    その時は証券会社の社員がわざわざ私が送った通帳をもっていってくれて
    変更処理してくれたので回復できましたが、
    そうでない非居住者の口座は多分没収になっていると思います。
     また、タイは沈没組を追い出すために、ほぼ毎年ビザ規定を変更しており
    結局は地元のビザ業者に3-4万の手数料払ってVisaを買っているのが実態です。
     あとフィリピンのSRRV Visaも毎年2-3万の会費いるのでバカらしいし、
     まあ、マレーシアが順当なところだと思いますが。

  2. カルロス より:

    FireFoxさん、さっそくのコメントありがとうございます。
    フィリピンは年会費がいるのですか。
    なるほど、それで大盤振る舞いなんですね。
    やはり、マレーシアですか。
    タイの銀行口座も厳しくなりましたね。

  3. 海外移住希望者 より:

    こんにちは、ご無沙汰です。
    移住計画、順調に進んでいるようですね。
    私は全然です。
    2年前だか旅行博に行ったらロングステイのセミナーを無料でやっていた(多分この財団法人ロングステイ財団)ので、そこで少し話を聞きました。
    そのくらいですかね。
    さて、先日台湾でHSBCの口座を作りました。
    が、今は亡き日本のHSBCと同じくらい使えないです(日本在住だとそれ以下)。
    台湾在住者でないとネットからは何もできない(残高確認のみ)。
    テレホンバンキングのみです。
    まぁ、台湾に行く時用と割り切ってますが。

  4. カルロス より:

    海外移住希望者さん、お久しぶりです。
    移住計画というか話を聞きに行っただけですよ。
    台湾のHSBCは使えないですか。
    やはり日本人のとっては香港が一番いいのでしょうかね。
    税金が気になる人は、日本の国税局とツーカーだからヤダという人もいますがね。
    私は申告もしているので気になりませんが・・・

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