スワップ狙いのFX投資で早期リタイアは実現するか

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パソコンを操作する女性

つい先日、ワールドインベスターズの仲間との飲み会で「今度FXをやってみようかと思う」と言ったらビックリされた。

FX(外国為替証拠金取引)は、「貧者の味方」と言われるように少額からでも投資できるため多くの人がやっているし、HSBC香港でワラント投資などやっている私はFXをやっていて当たり前と思われたのだろう。

そんな私がFXに興味を持つようになったのは、昨年9月の香港・ギリシャ・ドイツ旅行の道中で読んだ「働かずに毎年1000万円稼げる 私の『FX(外国為替保証金取引)』超活用術(野村雅道著)」がきっかけだった。

しかも、このときはサントリーニ島のビーチにいて気分も高揚していたので、こんなことが実現できるなら私も帰国したらさっそくやってみるか、と思ったものだった。
しかし、現実はそんなに甘くなかった。

野村氏のように、仕事をやめてスワップ金利収入だけで食べていくためには、低いレバレッジ(2倍か3倍)でも十分なスワップ収入が期待できるほどの元金があり、かつ急激な円高に際しても余剰資金を投入できるだけの余力がなければならなかった。

そうかといって書店でたくさん売られている「FXのトレードで儲ける方法」など実践する気にもならなかった。

それで連戦連勝で儲けられるなら私は今までやっているワラント投資でとっくに大金を稼げているからだ。
そうこうしているうちに欧州経済危機から来るリーマンショック以来の円高の波が押し寄せ、FXのことなど忘却の彼方へいってしまった。

転機はあっさりと訪れた。
若林栄四氏が昨年6月に述べていた「2012年2月、円高は最終局面を迎える!?」が的中したからではない。

もちろん、それは私の外貨投資においてトレンドに変化は追い風になることは確かだが、野村氏のやっているような投資法を実践している人が私の身近にもいることがわかったからだ。

ここでは当人の名前を伏せさせてもらうが、ワールドインベスターズの仲間たちの意見を聞いた限りでは、低いレバレッジ(2倍か3倍)をかけた豪ドル(AUD)/円(JPY)のロング(買)のみでスワップ収入を得続けるといった投資法は、いわゆる「金持ちの投資」としては実現可能だという感触を得た。

ここでなぜスワップ派にAUD/JPYの通貨ペアが人気かというと、日本の短期金利(0.1%)が上がることは財政破綻によるハイパーインフレが来ない限り、ほとんどあり得ないことと、オーストラリアが資源国かつ財政的に安定した国であり政策金利が米ドル(USD)のように低下するリスクが低いからだ。(2006年4月22日-オーストラリア政府は累積債務解消へ

もちろん、私にとって野村氏の域に達するには資金面でのハードルが高すぎる。
そこで何とかならないかと思い、探して見つけたのが、パンローリング社から出ている「FXで究極の海外投資 為替変動に左右されない金利貯蓄型運用(結喜たろう著)」だった。

そこに書かれていたのは

  1. スワップ金利は毎日変化する。
  2. 円で投資している場合、ベース通貨(AUD/JPYとある場合のAUD)の対円レートが下がると(つまり円高になると)スワップポイントも下がる。
  3. スワップはベース通貨と円との関係で決まる。
  4. 外貨同士の通貨ペアの場合、その外貨同士の為替レートはスワップには影響しない。

このうち最初の3つはFX投資家ならほとんどの人が知っているだろうが、最後にある「外貨同士の通貨ペアの場合、その外貨同士の為替レートはスワップには影響しない。」ということを意外と知らない人が多い、と結喜氏は書いている。

ところで、結喜氏はスワップ狙いのFX投資家にとって重要なことを書いている。
言われてみるとそうかと思うのだが、投資家の常識に反することなので思いつかないのだろう。

つまり、スワップ狙いのFX投資においては、双方の通貨の金利差が十分にあり、かつ為替相場が凪いでいることが最良の状況であるという。
オプションやワラントの取引はもちろんこと、投資全般において相場が凪いでいて得することなどほとんどないだろう。

しかし、スワップ狙いの場合、目的は金利収入だけなので、相場が激しく動くことは強制ロスカットのリスクが高まるだけ(もちろん大儲けできる可能性もある)で、スワップ派本来の投資目的からすると何のメリットもない。

そこで、スワップ派の目的に最も適う通貨ペアは、USドルとドルペッグ制を採用している香港ドルということになる。(円高に影響されないペッグ制通貨-FX初心者の為の外国為替講座

ただ、双方の政策金利差が0.25%しかないため、満足のいくスワップを得るためには高いレバレッジをかける必要があり、しかも一時的にロング(買)、ショート(売)ともにスワップ金利がマイナスになるという大きなリスクがある。

この米ドル(USD)/香港ドル(HKD)の通貨ペア、スワップ派にはローリスクな投資法として人気があったようだが、私としては安定したスワップ収入が見込めないのであれば投資を避けたい。

ちなみに、この投資法を実践したい場合、2011年8月以降、日本ではFXのレバレッジの倍率が25倍以下に規制されてしまっているので、そういった意味でも投資妙味はなさそうだ。

余談になるが、政府がFXのレバレッジを規制したのは、表向きの投資家保護という美名の裏で、ピーター・タスカが言うように官僚の屈折した心情が浮き出ているような気もした。(Newsweek Japan 2004.3.31 PDF – 日本の景気回復を望まない人々

一方、結喜氏が提唱するのは、豪ドル(AUD)/円(JPY)のロング(買)と、加ドル(CAD)/円(JPY)のショート(売)、又は英ポンド(GBP)/円(JPY)のショート(売)の組み合わせで為替相場の激変リスクにヘッジをかけ、スワップの差額を安定的に得ようというものである。

つまり、スワップ目的の投資であるがゆえに、似たような値動きをする通貨ペアのロング(買)とショート(売)を組み合わせて、最悪のケース、つまり中国経済不安の顕在化によって急激な円高外貨安となり、ロングポジションが強制ロスカットされるリスクを極力減らそうということだ。

ちなみに、今日現在の外為オンラインにおけるスワップポイントは、AUD/JPYの買が107円、CAD/JPYの売が-28円、GBP/JPYの売が-20円、スワップ派の場合、通貨ペアの為替の変動は気にしないというスタンスなので、この差額が利益ということになる。

ところで、ギリシャの次と言われる日本の実質的な財政破綻が懸念される昨今、結喜氏の提唱する通貨ペア(CAD/JPY、GBP/JPY)によるリスクヘッジは、円安局面が続くと逆に利益の出ているAUD/JPYの足を引っ張ることになりかねない。
そこで、私は昨年の欧州経済危機の局面で、円と同じように高値を付けたスイスフラン(CHF)に着目してみた。

OANDAの為替レート履歴で、世界株高時代の2007年1月1日から2012年2月29日(先月末)までのAUD/JPYとAUD/CHFを比較してみると、かなりの相似形だが、外為オンラインで取引すると売のスワップは-115円と話にならない。

一方、CAD/CHFやGBP/CHFを見ると、やはり欧州経済危機後のスイスフランの強さが際立っていて、今からスイスフラン買を入れるとリスクヘッジの効果がほとんどないような気もする。

私としては懸念される日本のX-DAYのことも考えると、中国経済不安の顕在化による豪ドル安のリスクヘッジは、円買いよりもスイスフラン買いの方がいいように思えるが、この場合、マイナスのスワップを考えると、CAD/CHFやGBP/CHFの通貨ペアで売をすることになろうか。

それに加えて、少額の投資であれば、NAFTA(North American Free Trade Agreement=北米自由貿易協定)に属する米ドル(USD)/メキシコペソ(MXN)のショート(売)(スワップは+12.8米ドル)を組み入れるのも面白いだろう。

これらを自由に組み合わせるためには、トレーディング・ポイント社(スワップポイント/Swap Value in Pointsは、取引条件のスプレッドのページからリンクしているPDFファイルで確認できる)のような海外のFX業者の方が便利そうだ。(参考:香港マイタン日記-キプロス紀行 FX会社『トレーディングポイント社』訪問

もっとも、FX会社、特に海外のものは会社が破綻した場合の信託保全(証拠金の分別管理)が不安要素の一つであるが、こればかりは多額の資金を一箇所に預けない、あるいは大規模な業者を使うなどの策を講じるしか手がない。

いずれにせよ、私はFXに関しては取引も勉強も始めたばかりなので、各社のデモ口座でのシミュレーションを重ねながら、少額の投資をしていこうと思っている。

これで結喜氏の理論が自分自身で実践可能だとわかったとき、まとまった小遣いが稼げるレベルの投資に格上げし、9年前に書いた「金持ち父さんへの道(The journey to financial freedom)」の続編を出すことになるだろう。

私は今、どうしたら早期リタイアへのロードマップを実現できるか考えるだけで高揚感が溢れてくる。
早期リタイアへ至るには乗り越えないといけないハードルがたくさんあるが、それを乗り越えたとき、私は水が滾々と湧き出る新たな泉を見つけることができるだろう。

私は今回「スワップ狙いのFX投資で早期リタイアは実現するか」という表題を付けたが、今後数年以内には60歳でも早期リタイア(もしかすると熟年就職難民かもしれないが)と言われる時代が来る。
そのときになって家計の資金繰りに頭を抱えても遅いのだ。

野田政権が先送りした年金支給開始年齢の68歳への引き上げと、近い将来予想される支給額の切り下げが現実化すれば、老後の生計を年金だけに頼ろうとする現役世代の人たちは文字通り死ぬまで働くことになる。
まさに終身雇用ではなく、終身労働である。

そして、円高とデフレでようやく維持できている庶民の生活は、ギリシャの次と言われる日本の実質的な財政破綻によって、超円安と悪性インフレが来れば壊滅することは間違いないのだ。

『ひきこもり国家』日本-なぜ日本はグローバル化の波に乗り遅れたのか」を書いた高城剛氏はこう言う。

僕は、成功への確率が変動になった状態のことを”カクヘン(確率変動)モード”に突入したと言っている。

パチンコやパチスロのそれと同じ、当たりの確率が大きくなった状態ということだ。気づいた国・個人だけがカクヘンモードに突入し、当たりを引いている。

その中で日本は未だにカクヘンモードに入っておらず、しかもそんな仕様があるとも知らずに、ぼーっとしながら玉を呑まれ続けている。

グローバル社会となり、カクヘンモードが発動された今、僕らは新しい時代を切り拓いていかなければならない。

そう、9年前に私はこうも言った。
「1997年11月24日の山一倒産で終身雇用本線年金暮らし行きの列車は脱線する可能性があることがわかり、最近では終着駅にある年金の泉も枯れそうだとわかっていながらそれに乗り、まして満員の特急目指して立ち席覚悟で切符を買うのは馬鹿げているのだ。」と・・・

コメント

  1. カルロス より:

    はたなか様 弊サイトご訪問ありがとうございます。
    お申し出の件、検討させていただいてから回答致します。情報提供ありがとうございました。

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