24時間ATMに潜むリスク

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耳を塞ぐ女性

私は去る2003年5月29日付の「財産ないから銀行破綻やペイオフ関係ない!なんて言ってないか?」というコラムの中でこう書いた。

ペイオフ解禁が議論されていた当時、多くの人たちは思ったはずだ。
「私には銀行に資産が1000万円もないから関係ない、ああいうのは企業や金持ちの問題だ!1000万円までは潰れても返ってくるから関係ない」と・・・

本当にそう思うか?
私は今月、海外でさえ掏られたことのない財布を掏られ、その中にメインバンクのキャッシュカードを入れていたことからしばらくの間、といってもわずか1週間くらいだったが、手持ちの現金が不足してどう資金繰りしていいか考えなければならなかった。

で、何を言いたいか?
資産の分散というのはこういうリスクに対処する意味もあるのだ。
ピッキング強盗などで通帳を盗まれたときなど、金融機関によっては無責任にもほとんどノーチェックで預金を払い出すなんてことで裁判になっているケースもある。(記事

それで下の読売新聞の記事を読んでみよう。

偽”識別機”で騙されたことに対しては同情するが、要はその盗まれた金額の大きさだ。
私は100万円の間違いかと思って目を疑ったほどだ。

つまり、日常使うキャッシュカードの口座に無防備にも多額の金を入れておけば、データが盗まれたときにそれが一瞬で全部パーになるというリスクがあるということを肝に銘じないといけない時代になったということだ。

ましてキャッシュカードの磁気データに暗証番号が記録された旧型のものを持っている人は、手間や手数料を厭わずすぐにでも交換しないといけない。(キャッシュカードの磁気情報

今では都市銀行に関しては昨今の統廃合でその心配はあまりないが、郵便局、地方銀行、信用金庫、農協などの口座は要注意と言えよう。

ただ、この記事のケースでは偽”識別機”に暗証番号も打ち込ませたと思われるため、磁気情報に暗証番号が入っているか否かはあまり関係ないが、単純にサイフを掏られたときなどは盗難の連絡をするぐらいの時間稼ぎはできるだろう。

昨今ではネットによる取引も普及してきて確かに便利だが、「IT社会で一番得をしたのは誰だかわかるだろう」、とうそぶく詐欺師の告白本「あなたの隣りの詐欺師たち (コスモ文庫)」にもある通り、「技術革新で本当に便利になるのは真っ当な人でなく犯罪者」というのは真理なのだから・・・
だから新手の犯罪で皆が振り回されているのだとは思わないか?

それにしてもほとんど利子もつかない円普通預金口座に1,000万円か!
私は犯罪の内容よりも、これだけの大金を何もしないで寝かせておける身分の方が羨ましいと思った。

そして、このスキミングをやった人間は、ウハウハで新手の犯罪に取り掛かっていることだろう。
二度同じことをやらなければ逮捕されることもないかもしれない。

いまどきの日本では頭脳犯罪者は最新のITスキルを使って高速船で逃げ、捜査側は手足を縛られて(法律で行動を制約されて)寒中水泳をしているようなものだ。
追いつけるわけがないのだ。

ATM入り口 偽”識別機”のワナ -防犯のためカードを通してください- (2004.10.9 読売新聞)

■愛知-主婦、1000万引き出される

三大都市圏を中心に普及が進む「24時間ATM(現金自動預け払い機)」を深夜帯に利用する際、キャッシュカードを差し込んで顧客か否かを識別する不審者侵入対策を逆手に取り、入り口に、識別装置に見せかけたカード読み取り機を設置し、カードのデータを盗み取る新手のスキミングが、愛知県内で初めて確認された。

写し取ったデータでカードを偽造したとみられ、約1,000万円が引き出されていた。
愛知県警は支払い用カード電磁的記録不正作出容疑などで捜査している。

調べによると、愛知県半田市の主婦が8月上旬、自宅近くの都銀のATMを利用した際、入り口に「防犯のため、この機械にカードを通してください」と書かれた張り紙があり、キャッシュカードを挿入する機械があった。

主婦は指示に従い、カードを挿入。その後、知らない間に口座から計1,000万円が引き出されているのに気づき、同25日に地元警察署に届け出た。

偽造したと見られるカードが名古屋市内の別々のATMで複数回、使われていた。
防犯カメラには見知らぬ男が映っていたという。

問題のATMでは24時間サービスは行われておらず、識別装置も設置されていなかったが、主婦はカードを入れたことによって自動ドアが開いたように勘違いしたらしい。

この都銀は、東京、大阪、名古屋の約320箇所に24時間サービスのATMを設置している。
銀行側は「24時間ATM以外に識別装置は置いていない」と注意を呼びかけている。

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