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2019年1月19日 ダイヤモンド富士

先日の日経新聞に「一円起業」で設立された企業が特例をはずれて巣立っているものが274社にのぼっていることが載っていた。


これは最低資本金規制の特例制度「第155回臨時国会で可決成立した新事業創出促進法の一部を改正する「中小企業挑戦支援法」(中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律)」を利用するもので、新事業創出促進法第2条第2項第3号に該当する創業者(事業を営んでいない個人が新たに会社を設立し、当該新たに設立した会社で事業を開始しようとする個人であって、2ヶ月以内に開始する具体的計画を有する者)のうち当該創業者に該当することについて、経済産業大臣の確認を受けた者が設立する株式会社及び有限会社については、最低資本金未満の資本金で設立することが認められ、その設立から5年間は資本の額が最低資本金未満でよいというものだ。

つまり、ベンチャー促進法とも言えるこの法律によって起業をためらっていた者がどんどんとやってくれることは好ましいことである。

ただ、5年間という限定条件付ということもあるが、元手を一切持たずに起業してうまくいくかというと、そうは問屋が卸さない。
やはりきちんとしたファイナンスと事業のプランを最初から持たない者は失敗するのである。

本来であれば、これにセットした形で公的ファイナンスや、ジャンクボンド(債券)の市場などが整備されることが望まれるのであるが、そのあたりはどうなのだろうか?

いずれにせよこうした新しい企業家がどんどん出るのはいいことだが、片や1999年のネットバブルのときのような怪しげな輩のフロント企業の設立に使われないような施策も望まれるところだ。

そういった意味では、2005年の通常国会に出されるという最低資本金規制の撤廃を含む「会社法案」がそうならないことを祈りたい。


「一円起業」で企業巣立つ-特例制度導入1年-利用8000社超、卒業は274社(2004.2.4 日経新聞

一円しか元手がなくても会社がつくれる最低資本金規制の特例制度を利用して、短期間で特例を「卒業」」する企業が増えている。

設立後に増資に成功し、法で決められた期限前に特例からはずれた成長企業は全体の3%強の274社に達した。

2003年2月の制度施行から約1年で利用企業は8000社を超えた。同制度はベンチャー企業の「ふ化器」として定着しつつある。

2004年2月4日 日経新聞

商法なとは会社を設立する際の最低資本金を定めており、株式会社で1000万円、有限会社で300万円が必要。特例制度は2008年3月までの5年間限定で、サラリーマンや主婦などの非事業者を対象に、これ以下の資本金でも会社設立を認める規制緩和措置。創業を促し、経済を活性化する 狙いで導入された。

特例制度を利用して設立された会社は1月30日時点で8545社。このうち資本金が一円の「一円起業」会社は367社で4%強を占める。2002年度には日本で85000社の会社が設立された。同制度の利用企業はこの約1割に相当する計算。

特例利用企業は五年内に資本金を増やし、通常の最低資本金規制をクリアする必要がある。経済産業省が設立後に増資を実施してすでに最低資本金をクリアした会社を調ベたところ、1月30日時点で274社あった。内訳は株式会社が98社、有限会社が176社だった。

増資に成功した「卒業組」は設立直後から売り上げを伸ばし、出資者を獲得した成長企業が多い。業種は業務受託サービスやコンサルティングなどが目立つ。少ない元手で会社を設立したうえで過小資本状態を早急に脱して信用力を強化し、大企業との取引開始などにつなげる狙いがある。

例えば、臨床検査受託の米井アンチエイジングラボラトリーズは(東京都台東区)は設立から6ヶ月で特例からはずれ、通常の株式会社になった。2004年12月期の売上高は1億円を見込む。

ホテル運営受託の日本ヒューマンブライト(東京都千代田区)は宴会場の配膳業務などを一括して請け負う事業で成長。2003年末に第三者割当増資を実施、創業から5ヶ月で特例からはずれた。
卒業組の中には、脱サラ組が前の職場で培ったノウハウを活用して成長している例も目立つ。

都市再開発コンサルティングのパワーランド(東京都中央区)はゼネコン(総合建設会社)出身の社長が2003年9月に資本金100万円で設立し、11月に増資した。

ベンチャー論が専門の大江建・早大大学院教授は「特例を使えば、まず会社を設立して、最適な時期に行動を起こすことが可能になる。特例は有効な起業の手段」と強調する。

ベンチャー経営戦略の選択肢が広がり、起業家が新事業を展開しやすくなれば、日本経済の活性化にもつながる。経産省は「特例制度が浸透すれば、適用対象からはずれる成長企業もさらに増える」(新規産業室)とみている。

■「用意周到組」が成功-設立前から増資にメド

最低資本金規制の特例利用企業の経営スタイルは二つに大別される。一つはあらかじめ明確な事業戦略を立案し、法で義務づけられた増資のめどを立ててから会社を設立する例。もう一つは事業を立ち上げてから増資の機会をうかがうケースだ。

いち早く特例からはずれた企業は前者の「用意周到組」が多い。経営の巧拙で設立後の明暗が分かれている。いち早く最低資本金をクリアした卒業企業の多くは、早くから事業計画を固めている。

2003年末に資本金一円で設立した慶応義塾大学発ベンチャー、エコスコーポレーション(神奈川県藤沢市)は近く資本を増強する予定。住宅購入者への予算作成サービスを四月から始める計画をまとめて出資候補者にいち早く提示、「三月までに増資を完了する」(四十万靖社長)という。

政府は時限措置である現行の特例制度に代え、最低資本金規制の撤廃を含む「会社法案」を2005年の通常国会に提出する方針。将来の事業計画を練り上げたうえで、事業を具体化しながら資金を集められる特例メリットを使いこなせる起業家が増えれば、規制緩和効果も大きくなる。

ただ、大半の特例利用企業は明確な事業戦略を持っていない。スピード重視のベンチャー企業にとって、少ない元手で素早く事業に着手できるのは大きな利点だが、定められた五年内に増資できるか不透明な面も多い。
「とりあえず会社を興した。増資のメドは立っていない」(大学発ペンチャーを設立した首都圏の大学教授)という声も出ており、安易な創業が増えている面もある。

特例制度を卒業した企業の例
社名 所在地 事業内容 資本金
(万円)
さるちん 東京都町田市 映像製作 200→300
日本ヒューマンブライト 東京都千代田区 ホテル運営委託 600→1000
バース さいたま市 雑貨販売 100→300
パワーランド 東京都中央区 都市開発コンサルタント 100→1000
ひづめ 長野県千曲市 訪問介護 20→300
プログレッシブ・システムズ 東京都中央区 情報システム開発 1→10726
米井アンチエイジングラボラトリーズ 東京都台東区 臨床検査受託 200→1000
ラポール・イシハラ 東京都中央区 情報システム開発 5→300

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