奥祖谷の名頃のかかしの里(Nagoro Scarecrow Village)へ行ってみた

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奥祖谷の名頃のかかしの里
私が先日の四国旅行で奥祖谷(おくいや)の、それも名頃のかかしの里(Nagoro Scarecrow Village)という、ほとんどの人が聞いたこともないであろうところへ行こうと思ったのは、ほんの偶然とも言えることからだった。

奥祖谷の名頃のかかしの里

実のところ、名頃(なごろ)という村のことは私が行った前日(2017年7月29日)にテレビ朝日の番組「なかなか行けないニッポンの秘境! スター野宿旅!!」で紹介されたことにより、俄かに脚光を浴びているかもしれないが、私がここに着目したのは、奥祖谷(おくいや)の観光名所である二重かずら橋(Double Vine Bridge)に行くための三好市営バスの時刻表を調べていた時に、複数のバス便の終点として出てきた地名だったからだ。

一般の人は、奥祖谷(おくいや)を観光するのに、自家用車やレンタカーを利用するので、こんなことで悩まないが、二重かずら橋まで行くバスが一日2本と、超絶に不便な観光地で、その手前の名頃まで行くバスが何本かある。

奥祖谷の名頃のかかしの里

名頃(なごろ)に泊まって、朝の散歩を兼ねて、山道を歩けば健康のためにもなるし、と思った私はインターネットで検索を始めた。

まずは、三好市の大歩危・祖谷観光NAVI奥祖谷の宿泊施設を調べてみる。
民宿などはウェブサイトがないところもあるが、住所に「京上(きょうじょう)」や「菅生(すげおい)」と書かれているところが多いことがわかる。

おそらく、名頃にある民宿などはなさそうだなと思いながらも、念のために「三好市 名頃」で検索すると、出てきたものは民宿などがあるとはとうてい思えないコラムの数々だった。
人形村“かかしの里”に見る限界集落の現実(nippon.com-2014年7月28日)」「Explore the hidden Japanese village where dolls replace the departed (The Verge on May 2, 2014)

奥祖谷の名頃のかかしの里
最初のコラムにあった「限界集落」、ウィキペディアによれば、限界集落とは、日本独自の概念で、過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になって冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になっている集落を指すとされている。

これらのコラムで必ず登場する「かかし工房」の綾野月見(あやの・つきみ)さんも65歳を過ぎている。
彼女が存命なうちに「日本一有名な限界集落、名頃(なごろ)」に行こうと思ったのはこのときだった。

奥祖谷の名頃のかかしの里

そして、当日、私は奥祖谷(おくいや)の観光のために、あらかじめ祖谷渓タクシーを時間貸しで予約していた。

最初は、二重かずら橋と奥祖谷観光周遊モノレール(Okuiya Sighseeing Monorail)を周遊コースにしようと思っていた私は、モノレールに乗る代わりに、かかしのメンテナンスがしっかりしている間に、名頃(なごろ)を訪れようという気持ちに傾いていた。

奥祖谷の名頃のかかしの里

9時過ぎ、名頃(なごろ)集落の入り口に着いた私を出迎えてくれたのは、バス待ちをしているだろうと思われるかかしだった。
このバスの待合所の周辺にも、生きている人間は1人もいなかったが、バスの時刻表だけは本物だった。

タクシードライバーの女性は「かかしも含めて全部レプリカよ!」と言ったが、復路をバスにしようと思っていた私は、ウェブサイトから印刷したものを持っていたのだ。

不思議な気分だった。
ここでバスを待っていても本物はやって来ないというドライバーの発言が事実に聞こえるほどかかしだらけの村だった。
どこまで行っても生きている人に会うことはない。

晴れた日曜日の9時過ぎなら、いくら高齢化が進む集落であっても行き交う人がいそうなものだが、ひと気が全くない集落を歩いていると、日没後にここを歩いていたらお化け屋敷にいるより怖いだろうと思う。

奥祖谷の名頃のかかしの里

途中の一軒家で老齢の男性が出てきて、「ゆっくりと見て行ってくだされ」と言った。
軒下には「かかしノート 2016年12月~ かかしの母 あやの」とペン書きされたノートがあったので、私も一言書いておいた。

ほかにも「ペンション三嶺」と看板が掲げられた建物や、酒屋、工務店などもあったが、いずれも往時のものであって、今では全く営業してなさそうな感じだった。
それと、名頃小学校(2012年3月31日閉校)にも寄ってみたかったのだが、ここにもかかしの生徒がいるのだろうか。

奥祖谷の名頃のかかしの里

最後に「かかし工房」と書かれたところに行ってみると、かかしの作者である綾野さんにお会いすることができた。
生きている人間に会うのは2人目だ。(笑)

綾野さん曰く「元気なうちはかかしを作り続ける」とのことだが、かかし作りの跡継ぎはなかなか難しいものがあるのだろうな。
時間があればいろいろお話したり、「かかし基本台帳」なるものを閲覧したりしていきたかったのだが、残念ながらお別れしないといけなかった。

生きている人間よりかかしの方が多いユニークな集落、名頃(なごろ)、綾野さんはかかし作りも教えてくれるそうなので、時間がある方はやってみてはいかがだろうか。

ただ、自家用車がない方は超絶にアクセスが不便なので、京上(きょうじょう)バス停周辺の民宿に泊まるといいだろうか。

なお、今回の四国旅行では、英語版のウェブサイト(travel to Shikoku region in Japan in 2017)も作った際に、2017年のバス時刻表の英語版(バス停のみ日英併記)を作成したのでご利用いただくといいだろう。(四国交通:Iya Valley Bus Timetable 三好市営バス:Tsurugi Mountain Bus Timetable

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